俺はタツヤの料理を見たことがある。
あれはパトーシェが食材を冒涜した日のことだった。
詳細は省くが、その日の一件でパトーシェは食事当番から外され、またしばらく修行の日々を送ることになる。
残されたのは、パトーシェにより頽廃的なな味付けをされた生焼けの肉、几帳面な角度とサイズで切断された野菜の群れ。
俺がどうしたものか考えていると、タツヤが不意に立ち上がり、その戦斧で野菜と肉をミンチにし始めた。
あまりの出来事に、俺は呆然とそれを見ていたし、止めようもない。戦斧を振るっているタツヤに近づくのは自殺行為ではないかと思う。
「ぶぁ」
と、タツヤは呟いて、最後にミンチにしたそれらに火を通し、香辛料をおぼつかない手つきで大量に振りかけ、最終的に自らの口の中に放り込んだ。
そのとき俺は知った。
タツヤが辛党であること。それから、いくらタツヤでも食べたくないものがあるということだ。