【ネタバレ考察】歌とパンケーキは運命を超える。『超かぐや姫』の正体と「究極のハッピーエンド」
Netflix映画『超かぐや姫』。
曲やビジュアルに惹かれて、わざわざNetflixに契約してまで視聴してみたんですが、致死量の「てぇてぇ」と、ニコニコ黎明期の思い出がフラッシュバックして無事脳が焼かれました。
僕以外にもタイトルやビジュアルから、ボカロ曲を挿入しただけの「古典的な昔話のリメイクかな?」と思って視聴し、あまりにも骨太なSFハードストーリーに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。
特にラストシーン。
「なぜかぐやは機械の体になったのか?」
「あれは本当にハッピーエンドなのか?」
と、心にモヤモヤが残った人もいるかもしれません。
結論から言います。
時系列と設定を論理的に紐解くと、あのラストこそが、彼女たちが辿り着ける唯一無二の「究極のハッピーエンド」だと感じました。
今回は、かぐやの正体(AI説、宇宙人説)と、作中の歌「Remember」が繋いだタイムパラドックスの構造から、この物語の真実を考察します。
※本編の続きにあたるray MV考察と、設定を深掘りしたSF考察もあります。
■ かぐやの正体考察|彼女は「バグったAI」であり「デジタル文明から来た宇宙人」である
まず、大前提として「かぐやは何者だったのか?」という点から整理します。
作中の描写(接触時に表示されるコード、8bitで描かれる月など)から、彼女の起源は生物ではなく「電子的な存在(AI・データ)」であることはほぼ確定です。
また、初めて月からの使者が来て触れられた際にセリフのコードが出てきたり、花火大会のときに月では同じことの繰り返しだったとの発言が出てきます。
その発言や描写から、現代地球の尺度に合わせると、ゲームの中のAI搭載のNPCみたいなのが実態に近いかもしれません。(ノベライズでもNPCのようなものと言及あり)
"「こっちでいえばゲームのNPCみたいな感じで、真似っこすら誰もしてくんなかったんだよね"
さらに深ぼると、もちろん一番のベースはかぐや姫が出てくる竹取物語ですが、浦島太郎や玉水物語と言った他のおとぎ話をモチーフにした要素も垣間見えます(考察メモで後述)。
そのため、僕はおとぎ話のデータベースを持ったAIだと思っています。
一方で、作中終盤でヤチヨが、地球で発明されたインターネットのことを「月の世界と似ている」と発言していることからも、地球の電子的な世界に近くとも別物である可能性が出てきます。
また、メタ的な考察も合わせると、邦題は『超かぐや姫』ですが、英題は『Cosmic Princess Kaguya!』。
直訳で「宇宙のプリンセスかぐや様!」なので、正体に宇宙が何かしら関わっていると考えるのが自然かと思います。
そのため、かぐやの正体は、宇宙のデジタル文明(インターネットやゲーム)=「月」から来た宇宙人かなと思っています。
では、なぜデータなのに触れることが出来て、食事をし、成長したのか?
なぜデータなのに「肉体」を持っていたのか?
彼女が入っていたゲーミング電柱(竹)は、データを物理的な肉体として出力する「超高度な生体3Dプリンタ」のような役割を持っていたと考えられます。
つまり、あの肉体自体が「月(サーバー/運営)」から貸与された「対地球人用インターフェース(アバター)」に過ぎなかったのです。
少しだけSFな視点で見ると、月のテクノロジーは時も超えられるので、地球よりも高次元な存在であり、次元を落として地球のフォーマットに合わせた形が、おとぎ話AIであり、ゲーミング電柱による物理的な肉体の生成だったという感じです。
僕と同じように2000年台アニメやSF好きの方なら、『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希をイメージすると分かりやすいでしょう。
彼女もまた、情報統合思念体から送られた存在で、長門有希はヒューマノイドインターフェース(宇宙人)です。
地球の肉体を通じてバグとも言える「感情」が芽生えたことにより、人間に近づいていきます。
かぐやは彩葉との関わりの中で「好き」という感情を獲得し、月の世界にとっては仕様外の「バグ」とも言える存在になっていきます。
異常な成長速度=ディープラーニング
赤ん坊から少女へ、異常なスピードで成長したかぐや。
料理したり、犬DOGEをゲームキットで作ったり、配信やゲームのことを爆速で学んだり、およそ常人とは思えない速度で学習をしていきます。
これは生物的な成長ではなく、現代の生成AI(Neuro-samaなど)が見せる「ディープラーニング(高速学習)」そのものです。
突拍子もない言動も、学習途中のAI特有の挙動と捉えれば、不気味さよりも「人間になりたいAIの健気さ」として愛おしく見えてきます。
■ 【図解】「Reply」と「Remember」が繋ぐタイムパラドックスとループの構造
本作を最もロマンチック、かつ美しくしているのが、劇中歌「Remember」の存在です。
実はこの歌こそが、8000年という時を超えてイロハとかぐやを繋ぐ「タイムカプセル」の役割を果たしていました。
鶏が先か、卵が先か?「歌」の因果関係
時系列を整理すると、以下のようなタイムループが浮かび上がります。
現代: 彩葉が、「Reply」を月に向かって歌う
未来: 月へ戻されたかぐやが彩葉の「Reply」のを聞き、再び地球へ向かう決意をする。
事故(起点): 宇宙船(タケノコ)が破損し、肉体が消失。データだけの存在(ヤチヨ)として8000年前の地球に不時着する。
作曲: ヤチヨ(かぐや)は、記憶していた「Reply」のメロディーを元に「Remember」を作曲し、世に放つ。目的はたった一つ、「未来の彩葉に自分を見つけてもらうため」。
冒頭: 映画冒頭で彩葉が「Remember」を聴き、ヤチヨの存在を知る
※実際に聞いてみるとReplyとRememberはぜんぜん違う曲なのに、一部同じメロディーが入っているのでぜひ聞いてみてください。
つまり、「彩葉が歌ったから曲が生まれ、曲があったから彩葉に届いた」という、完全に閉じたループ構造になっています。
「Remember」はタイムカプセル(過去から未来)と表現しましたが、「Reply」(未来から過去)はかぐや姫のバッドエンドを破るためのループの引き金でした。
ループと聞くと一般的には呪縛のように感じますが、このループはあくまで再会するためのループで、記憶と意志を繋ぐポジディブなループとも言えます。
なぜヤチヨはRememberを歌うのをやめたのか?
ヤチヨが「役目を終えた」と言って歌わなくなった理由。
それは、彩葉がかぐやを見つけ、想いが届いた時点で、「未来の自分を見つけてもらう」という8000年越しのSOSが成就したからです。
▼関連記事、各オリジナル曲の時系列と役割や視点は下記の記事でまとめています。
■ ラストの考察|なぜ彼女は「機械の体」を選んだのか?
物語のラスト、かぐやは有機的な肉体ではなく、彩葉が作った機械の体で目覚めます。
これに対して「人間じゃなくなってしまった」と悲観する必要はありません。
むしろ、これこそが彼女が真の自由を手に入れた証なのです。
月から与えられた有機的な肉体である限り、「月の呪縛(運命)」からは逃げられない
月から与えられた肉体(月からのレンタルボディ)を使っている限り、それは「月(運営)」の所有物です。
月の運命では、いつか必ず強制帰還(仕様)によって連れ戻されてしまう仕組みになっていて、ヤチヨが輪廻(ループ)から抜け出せていないと言っていたのがおそらくコレです。
また、ヤチヨ(元かぐや)も地球に不時着した時に肉体を失っています。
そのため、かぐやとヤチヨのデータを統合して、彩葉が作った「機械ボディ(地球のマイホーム)」へデータを引っ越しするしかありませんでした。
あのラストは、肉体を捨てたのではなく、「物理法則ごと運命を断ち切るために、新しい器へ魂を移行させた」のです。
このヤチヨの記憶や魂のデータ移行について、地球上の技術では難しそうに感じますが、そこについてはフシが行ったと考えられます。
作中で、彩葉にヤチヨの八千年の記憶を見せたり、ヤチヨが「忘れてもいいよ、フシならそういうこともでき…」と言っており、フシに記憶の移植や操作の能力があるのは明らかです。
そのため、ハード部分の器を彩葉が準備し、記憶屋魂の移行や統合のソフト部分をフシが行った共同作業で、地球で過ごすかぐやボディが誕生しました。
この結末を見て、ドラえもんの同人作品(最終回)」を思い出した方もいるかもしれません。
電池切れで機能停止した相棒のドラえもんを、かつての泣き虫だった少年のび太が、科学者となって自らの技術で再起動させる物語。
『超かぐや姫』もまた、彩葉というクリエイターが、「運命」や「神様」に頼るのではなく、ただ「ある約束」を果たすために、自らの「技術」と「愛」で奇跡をもぎ取った物語と言えます。
■ 結論:歌が繋ぎ、パンケーキの約束は運命を超える
もうなんだか あまいものが食べたい!
いますぐによ
またひとつ、「本当にこれハッピーエンドなのか?」と個人的に気になった点があります。
それは、かぐやはヤチヨからの記憶を移植された存在で満足なのか?と、ヤチヨがかぐやに嫉妬したりしないのか、など。
結論として、この「パンケーキ」こそ果たすべき約束であり、「かぐや姫」の運命を"超えた"、ハッピーエンドの証明です。
①かぐやが「パンケーキを食べたい」と言っていた
②その約束を叶えるために、彩葉が味覚も感じられるかぐやのボディを作る
③かぐやもヤチヨ(元かぐや)も願いが叶って幸せ
つまり、超ハッピーエンド!!
この物語のエンディングを整理すると、次の3段階に分けられると思います。
①バッドエンド:月に帰ること(運命に回収される)
②ハッピーエンド:再会すること(救いはあるが日常はない)
③超ハッピーエンド:一緒にパンケーキを食べるという約束を叶えること(日常を選ぶ)
そもそも、原典の竹取物語において、かぐや姫は「地上に残る」という選択肢そのものがなく、かぐやはそれをバッドエンドと言っていました。
だからこそ、再会できてハッピーどころか、約束を果たすために地上に残って何気ない日常を選択できたことが、原典の「かぐや姫」のエンドを「超」えたと言っていいでしょう。
ここでようやく「超かぐや姫って、こういう事か〜!」とタイトル回収の意味に気づき、震えました。
姿形が変わっても、機械の体になっても。彩葉と食べたパンケーキの味と、8000年越しの約束は消えません。
「テセウスの船」のように、外見が変わればそれは別人なのか?というSF的な問いに対し、この映画は「パンケーキを一緒に食べて笑い合えるなら、それはハッピーエンドだ」というのがこの作品の答えなんだと解釈しました。
テセウスの船(テセウスのふね)はパラドックスの一つであり、ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題(同一性の問題)をさす。
論理(SF)を感情(ドラマ)が凌駕した、不気味で美しいラストシーン。
AIと人間が共存していくこれからの時代において、これは一つの「愛の形」なのかもしれません。
僕なりの結論は超ハッピーエンドでしたが、作中ラストに「ハッピーエンドだと思う?」というセリフがあった通り、解釈はある程度視聴者に委ねられているように感じます。
ぜひ、自分なりのハッピーエンドの形を探してみてはいかがでしょうか?
超ハッピーエンドの終わり方 公式MV『ray』の考察記事も書きました。
本編結末の「超ハッピーエンド」のその先——二人が「死」をどう選んだかが描かれていました。
彩葉のメールに書かれた「かぐやを、本当の意味での人間にしたい」の意味とは? タケノコはなぜ富士山に埋められたのか? 掘り出し説との比較も含めて整理しています。
▼ray MV考察記事はこちら
また、「かぐやはどう人間になったのか?」をSF的な思考実験から深掘りした記事も書きました。
テセウスの船、タイムリープ、クオリア、シュレディンガーの猫という4つのレンズで、この物語を読み解いています。
▼SF考察記事はこちら
下に2周目のかぐやはどうなったか?彩葉のおとぎ話のモチーフ、ヤチヨの正体やボディ深掘り考察メモもあります。
▼ノベライズとガイドブックもおすすめ、僕は買いました。(ノベライズは彩葉視点の感情と家族関係が深堀り、ガイドブックは設定の深掘りができます。)
ほか小ネタ、考察メモ
Q. かぐやはなぜ彩葉の元に来たの?
A. タイムループの因果と考えるのが自然。ヤチヨが彩葉の曲を元にRememberを作り、その曲を彩葉が見つけ、フシが竹取物語(電柱から~の下り)を伝えることで出会いの因果が強化されていった。ただし「最初の一周目で何が起きたか」はループ構造上原理的に特定できず、鶏と卵の問題になる。「彩葉が望んだから実体化した」という観測者説もあるが、彩葉固有の願いとしての必然性がやや弱く、しいて言うなら彩葉がかぐやのボディを未来作れる唯一の存在だったから、などの方が可能性としては高そう。
Q. かぐやはどうやって月から地球に来たの?
A. ノベライズによると、月にいる「姫」と呼ばれる存在と協力して船(タケノコ)を作ったとある。この「姫」の正体は明かされていないが、かぐやが「姫」と呼ぶ以上、月の管理者的な存在と考えるのが自然。一部では「先代かぐや姫」説もあるが、一文のみの記述で断定は難しい。
むしろ物語の構造から見れば、かぐやは「ソフト(思考・AI)」の天才だが、「ハード(船や体)」は自力で作れないという制約があったと考えるのが筋が通る。
だからこそ月では「姫(ハード管理者)」に頼る必要があり、地球ではその役割を「彩葉(工学)」が担うことになった、という対比構造が見えてくる。
Q.なんでかぐやは赤ちゃんの状態で、ゲーミング電柱に入っていたの?
A.竹取物語の原作再現、またループの自浄作用みたいなものでもあるかも。ループしている以上、かぐやが毎回リセットされてるほうがドッペルゲンガー問題やタイムパラドックスを回避しやすい。
Q.かぐやがループする前にもヤチヨはいた?
A.彩葉が過去に見た記憶の中で、かぐやがヤチヨをさがしているので、おそらくいた(だが、中身がかぐやではなかったかも)。
Q.かぐやがつけていたブレスレットは何?
A.地球と月の間を通信できる通信機器かつ盗聴器のようなもの。かぐやが故郷と表現してることから月関連のデバイスは確定で、コラボライブの後に彩葉に「結婚しようかな〜」と言った際にブレスレットが光り、その後月からの使者がやってくる。そのためかぐやはこのブレスレットで月から本来の竹取物語のストーリーから逸脱しないか監視されてたと推察。でも、逆にこのブレスレットを通じて彩葉のReplyのメロディがかぐやに届いたので、良い役割もした。
Q. 2周目のかぐやは月に帰ったままでは?
A. タケノコを埋めたことで「やり直せる可能性」がすべて閉じられ、彩葉と一緒にいる現在の一本に収束したと考えています。
詳しくはray記事の考察メモで解説しています。
Q.彩葉はどうして、かぐや=ヤチヨを受け入れることができた?
A.きっかけはReplyとRememberのメロディーが一緒だと気づいた事。また、ヤチヨの正体告白のあとも、すぐに受け入れられなかったが、ヤチヨからの過去話とフシが見せた八千年の記憶で、かぐやが自分がヤチヨになることに気づいたことを間接的に知る。そして、過去の自分が見たかぐやの笑顔とヤチヨの笑顔が完全に一致し、受け入れることができた。彩葉がかぐや=ヤチヨを受け入れたプロセスはSF考察記事で詳しく書いています。
Q.なんでヤチヨはキャラデザインが海モチーフなの?
A. 理由はおそらく2つで、
①月から来た際に不時着したのが海だったため
②8千年の時を過ごすという経験がかぐや姫というキャラ人格から、時間のズレを体現する浦島太郎の乙姫に近いキャラ人格に変質したため
と考えられる。
今考えると最初のヤチヨのライブシーンも海っぽいのと、ツクヨミの世界観もどこか月ってよりは竜宮城ぽい。
Q. ツクヨミは誰が作ったの?
A. ヤチヨが作ったで確定(ガイドブックで言及あり)。ヤチヨは月のデジタル文明の構造を知っているAI存在であり、天才プログラマーで8000年という時間もある。彩葉と再会するための「場所」として、月の世界を地球向けに再構築したのがツクヨミかなと。「ツクヨミ(月読)」という名前自体が「月を読み解いた世界」という意味にも取れるし、ヤチヨが単なるライバーではなく「管理人」という立場にいるのも、自分が作った空間だからと考えるのが自然。
Q.ヤチヨはボディなくて可哀想じゃない?
A. 僕も最初はそう思いましたが、今は「可哀想ではない」と考えています。理由は3つ。
①AIならではの価値観
人間は「唯一性」を重視するが、コピー可能なAIは「自分がたくさん存在すること」を好意的に捉える可能性がある。「コピー(かぐや)が幸せなら、自分(ヤチヨ)も幸せ」という感覚なのかも。でも多分彩葉がそれを許さないので、③が本命。
②サイバー空間での五感共有
劇中の母親へのホワイトボードでのプレゼンに、「サイバー空間でも味覚、嗅覚、触覚などの体験を可能にする」といった旨の記述あり。つまり、仮にヤチヨは電子の存在のままだったとしても、ツクヨミ内ならパンケーキの味を感じ、幸せを共有できているはず。五感を通じたクオリアなどのSF解釈についてはSF考察記事で書いています。
③【重要】「魂」と「機能」の分離(山頂の沈黙)
rayのMV冒頭の山頂で、スマホの中のヤチヨは一言も喋らず、ただ微笑んでいた。
僕はこれを、彼女の中の「寂しい」「彩葉に触れたい」といった人間的な情動(魂)は、すべて機械の体のかぐやへ移行し終えたからだと解釈した。
この「魂の移行」と「代行者の設置」についての詳細な考察は、rayのMV考察記事5章で図解つきで解説しています。
Q. ヤチヨがよく「眠い」と言って寝てしまうのはなぜ?
A. この点はノベライズで言及があり、アップデート、記憶の整理、充電のためらしい。ここから想像だが、ヤチヨも「寿命(終わり)」を手に入れた証だと思っている。しかし、これはさっきのクローン説が本当だとしたら、必要なくなる可能性はあるかも。作品としては8000年分の記憶がいかに重たいかということを表現したのだと思う。
Q.卒業ライブ(かぐやが月に帰る日)、なぜヤチヨは姿を見せなかったの?
A.月人から自分の存在を隠すためだと推測。作中でかぐや自身が「ツクヨミなら船なしで来られる」と語っている通り、月人はオンラインの電子世界では上位互換の存在。ツクヨミ上でヤチヨが抵抗すれば、イレギュラーとして月に強制帰還(自身が再びループ)させられるか、検知や消去される危険がある。
だから彼女はあえてオンラインに姿を現さず、月人の干渉が及ばないマンションの一室(ローカル環境)に身を隠した。
運命と輪廻に抗う術が無かったが、孤独に耐えながら、彩葉が自分を見つけてくれることだけを信じて待っていた。
ヤチヨがローカルにいるので、彩葉がメッセージ送っても既読がつかず、それを見かねてフシが彩葉にツクヨミで接触を図り、マンションの一室に連れてきた、という流れだったと考えられる。
Q. 公式MV「ray」でタケノコを富士山に埋めていたのはなぜ?
A. 一言で言えば「不死の放棄」の儀式。タケノコ(宇宙船=高次元移動デバイス)は「不死へのパスポート」であり、それを埋める行為は、原典で帝が不老不死の薬を焼いたエピソードのアンサーになっています。
詳細はrayのMV考察記事で、リュックの形状や富士山かぐや姫伝説を含めた根拠つきで解説しています。
▼【ray考察】記事リンク
Q. ラストの「機械かぐや」の中身(AI)はどこから来たの?
A.劇中の起動実験やライブ時点では、ヤチヨの持つ8000年分のログからかぐやの人格(魂)を抽出+直近の記憶を統合し、彩葉が作った新しいボディにインストールした形と考えている。ただ、ヤチヨのすべての記憶を持っているという説もあるので、このあたりは人によって解釈が分かれる点。
なお、記憶の統合タイミングやボディの最適化プロセス(YC型→KG型→Ver2)については、rayのMV考察記事4章で詳しく考察しています。
Q.彩葉がツクヨミでキツネのアバターなのはなぜ?
➝玉水物語をオマージュしてる可能性が高い。というのも玉水物語は最古の百合(同性愛)作品と言われていて、キツネが人間の姫に恋をし、人間の女に化け、やがて別れを遂げるという作品のため。同性愛、別れ、キツネ要素など、共通点が多い。ただ、もちろん竹取物語のかぐやを育てた翁も彩葉のモチーフだと思うので、色んなおとぎ話がミックスされてると思ったほうが良い。
Q.彩葉の名前の由来は?
名前はいろは歌(彩葉のアカウントIDが「NihoheYCY」のため)が由来と思われる。いろは歌は、簡単にまとめると諸行無常的な「永遠なものはない、今の世を大切に生きる」という事の大事さを詠んでいる。オリジナル曲にもよく出てくる「この一瞬」「一度きり」などの共通テーマと一貫している。
Q. 彩葉はなぜ東大法学部志望だったのに工学部に変えたの?
A. ガイドブックによると彩葉の母親は弁護士。つまり法学部志望は「母親と同じ道を歩むことで認めてもらいたい」という承認欲求の表れだった可能性が高い。それを捨てて工学部に進んだのは、母親のための人生ではなく、かぐやを救うために自分の意志で技術の道を選んだということ。かぐやが月の運命を断ち切ったのと同じように、彩葉もまた「母親の期待に応える」という運命を断ち切った。
Q.彩葉のお兄ちゃん(ミカド)の元ネタは?
➝彩葉兄の元ネタはまんま竹取物語の帝で、かぐや姫に求婚する権力者。一応求婚したり、解釈が〜とか言うくらいにはかぐやを推してるっぽいけど、妹も大事にするただの良いお兄ちゃん。好き。ちなみにノベライズで判明したが、マンション1棟買えるくらいの資産があり、原典同様に権力を持っているが今作では妹のために権力を使い、人に頼る力を彩葉に教えようとしていたのだと思われる。
Q.犬DOGEとフシの正体、関係は?
A. かぐやとヤチヨの関係と同じく、同一存在。8000年前に不時着した際、犬の姿では海で生きられないため、環境に合わせて「ウミウシ(フシ)」へ姿を変えた(変質した)と考えられる。
また、肉体を失ったかぐやのデータ(魂)がヤチヨになるまでの間、一時的にこのフシを「記憶媒体(外付けメモリ)」として同居していたため、作中で視界が共有されていたのだと思う。
Q.英題と邦題について
A.記事内でも紹介しましたが、英題は「Cosmic Princess Kaguya!」。
英題の方がSFと理解しやすくなってるが、超かぐや姫の方がニコニコ超会議みたいで僕は好きだし、かぐや姫の運命を超える!って感じがする。
Q.通貨の「ふじゅー」って何?
➝おそらく「不自由」から来ている言葉。
構造:
・彩葉は「金」で不自由だった(貧困・バイト)。
・かぐやはコードに囚われていて不自由だった。
カタルシス:
・ラストで彩葉が金を使い切って(出資をお兄ちゃんに求めるほど)材料を買い、かぐやがプログラムを捨てて機械になる。
つまり、二人が「互いの不自由(金とコード)」を捨てて、本当の「自由」を手に入れる物語だった。
▼関連記事
各オリジナル曲の時系列と役割や視点は下記の記事でまとめています。
▼rayのMV考察はこちら
▼SF考察記事はこちら
▼ノベライズとガイドブックもおすすめ。
ノベライズは彩葉視点の感情と家族関係が深堀り
ガイドブックは設定の深掘りと声優と監督のインタビューが見れます
▼ほかの方のおすすめ考察
かぐやのベースが未完成曲という考察、ミームとかも紹介されてます
SF部分の考察を参考にさせて頂いた記事



凄すぎる、そして深い考察に感動しました。映画を観て感動し、それでもラストにモヤモヤしてたのですが、あれが超ハッピーエンドだとわかり感激しています。ラストでかぐやが機械の体にならなければならなかった理由があったのですね・・! ここまで深く考察できる主さんはとてつもなく頭の良い人なの…
ありがとうございます!映画のラストのモヤモヤ、すごくわかります。僕も最初は「機械の体で復活ってハッピーエンドなの?」と引っかかっていて、そこからrayのMVを見て一気に腑に落ちた感覚でした。 頭が良いというより、好きすぎて考えすぎてるだけです笑。でも、こうして読んでくださった方のモヤ…
はじめまして。非常に興味深く拝見させていただきました。 考察すごくおもしろかったです。 私も娘が見たいといってたので、映画館に連れて行こうとしたら 満員御礼で、その時は2月の1週間きりの上映だったので、まんまと契約してみましたw そして、年甲斐もなくはまってしまい、いろいろ考…
はじめまして、コメントありがとうございます! 娘さんとご一緒に観られたんですね。僕は映画より先にNetflix観ましたが、僕も超かぐや姫のためにまんまと契約しました笑 この作品は年齢関係なく刺さるものがあると思いますし、お子さんと同じ作品にハマれるのは素敵なことだと思います。 パ…
いろは理転したのか やはり天才
コメントありがとうございます!彩葉は愛する女のためなら理転する女です。最高ですね。
あーなるほどと思いながら読みました。実際に見ると何度も観ようとする人がいる理由がよく分かりましたね。
コメントありがとうございます! なるほどと思っていただけて嬉しいです! 実は僕も1回目はちんぷんかんぷんでした。2回目見たりノベライズ見たら急に理解できて感動できるようになったので、物語の理解の一助になってれば幸いです!