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腕を失ったトレーナーとライスシャワー/Novel by 七草

腕を失ったトレーナーとライスシャワー

5,128 character(s)10 mins

昔似たようなことを経験しました。
事故処理をしていたら後方から突っ込まれてガードレールで切断という事故です。
その時失ったのは腕ではなく首でしたが…

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 空を覆う灰色と足を鈍らせる大地を気にもせず3200mの芝を走り終えた漆黒のウマ娘は地下バ場で待つトレーナーの元へ駆け寄った。

「勝ったよ!お兄さま!」

「ああ、しっかり見てたよ」

そう言ってトレーナーは左手を上げた。
その仕草を待ってましたとばかりにライスシャワーは頭を差し出す。トレーナーはその小さな頭に手をそっと置き優しく撫でた。

「よしよし。偉いぞ」

「えへへ……」

 この光景を見る者は皆一様にこう思うだろう。まるで親子のようだ、と。
しかし当人達はそんな事など気にする様子もなく、互いに満足するまで触れ合っていた。
しばらくすると、トレーナーはゆっくりと手を離す。
ライスシャワーは、撫でられた頭を大事そうにさすりながら言った。

「ありがとう、お兄さま。ライス次のレースも頑張るね!」

「そうだな、頑張っていこうな」

そうして2人は並んで帰路につく。
その道すがら、ふと思い出したようにライスシャワーが尋ねた。

「ねぇ、お兄さま」

「どうした?」

「お兄さまはなんでライスとずっと一緒に居てくれるの?」

「なんだいきなり」

 唐突な質問に、トレーナーは少し面食らう。
だがすぐに気を取り直し、落ち着いた声で返答をした。
トレーナーにとって、それは当たり前のことだったからだ。

「まあ俺はライスの担当だからな、ずっと一緒にいるさ」

ライスシャワーはその答えに目を丸くすると、嬉しそうにはにかんで、トレーナーの腕を抱いた。
トレーナーもそれを受け入れ、彼女の頭に手を置く。

「長距離走って疲れただろ?ちょっと車呼んでくるから腕を放してくれないか?」

しかし彼女は離れようとしない。むしろ強く抱きついてくる。

「仕方ないな……」

 トレーナーは困惑した表情を浮かべるが、すぐに諦めたように笑うとそのまま二人で並んで歩いた。

Comments

  • 悪魔博士

    成仏してクレメンス

    March 28, 2025
  • mat-riku0201

    次は右手だけ残して逆シャンクス状態

    March 31, 2024
  • のぐち りょう

    このトレーナーに更なる事故をひとつまみすると……ライスちゃんのメンタルが死にます。

    March 29, 2024
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