炊き出し続ける牧師 浪速教会の金鐘賢さん(63)

安井健悟
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 路上生活者が多い大阪市西成区で、24年前からおにぎりとみそ汁の炊き出しを続けてきた。

 曽祖父の代から牧師を務める韓国のクリスチャン一家に生まれた。

 信仰心に目覚めたのは中学生のときだ。校則に従って丸刈りにしたら、頭部の形をからかわれていじめを受けた。母親に「どうして自分を生んだんだ」と詰め寄ったこともある。

 神に思いを寄せると心が楽になった。いじめた同級生も自然と許せるようになった。

 大学と大学院で6年間神学を学び、牧師になった。「一番苦しいところで神の教えを広めたい」。ソウル近郊の貧しい農村へ赴き、雨漏りがする小屋で暮らしながら、地域の人と助け合って教会を設立した。

 1996年、大阪市の教会から誘いを受けて移住した。まちなかで段ボールにくるまり、身を縮める路上生活者を目の当たりにして衝撃を受けた。「こんなに多くの人が苦しんでいるとは」

 「何とかしたい」。あいりん地区などで、困窮した韓国人を見つけては声をかけた。時には自宅に招き、多いときは10人ほどで共同生活を送った。

 炊き出しは97年から始めた。1個350グラムもある巨大なおにぎりと、豆腐やキャベツなど具だくさんのみそ汁を提供してきた。当初は食料を買う資金の工面に苦労したが、活動を続けるうち、多くの寄付や差し入れが届くようになった。最近では毎回200人分を用意している。

 炊き出しに集う人たちの暮らしの悩みに耳を傾けてきた。約半数は生活保護を受給し、中には寂しさから酒やギャンブルに明け暮れている人もいる。どうすれば生活を立て直してもらえるか。いつも悩みながら、誰もが自力で歩み始める日が来ると信じて向き合っている。

 いま炊き出しで中核を担う約15人のボランティアは、支援を受けた結果、生活を立て直せた人たちだ。長年活動を続けてきたことで、こうした「循環」が生まれ、手応えを感じている。

 昨年までは教会や公園などで週に4回食料を提供していた。新型コロナウイルス対策で、いまは屋外での活動に絞っている。カップ麺など持ち帰りできる食料も配っている。

 炊き出しは生涯続ける。そう心に誓っている。「困っている人を見て見ぬふりはできません。命ある限り続けたい」

     ◇

 キム・チョンヒョン 1957年、韓国南部の全州(チョンジュ)生まれ。96年に日本へ移り住み、浪速教会の前身の礼拝所を設立した。翌年から生活困窮者向けにおにぎりとみそ汁の炊き出しを始めた。現在は毎週金曜に西成公園(大阪市西成区津守1丁目)で活動している。

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