これについては話を整理すべきだと思います。
大前提として、今人気の作品を展示すること自体は全く問題ありません。
ただ、国立・公立美術館の展覧会は、「この作品にお墨付きを与える」という責任があります。
美術館には、そこにあるだけで作品が「やたらすごく見えてしまう」現象が起きます。これはミュージアム・エフェクトと呼ばれます。
美術館は、作品や作家に「お墨付き」を与え、歴史的な価値を決定づける役割を持っています。
美術館がコレクションに加えたり特別な展覧会を開いたりすることで、その作品は単なる「今の流行り」から「将来に残すべき文化」へとランクアップします。
世の中の流行り廃りに関係なく、作品の価値を守るセーフティーネットの役割も果たしているのです。
だからこそ、いままさに大人気のエンタメ作品の大規模な展示をやるのであれば、「この展示は100年後に振り返ってもやる価値があった」と言える覚悟が必要です。
世界的に見ても、ただチケットを売るためだけに人気のテーマばかりを並べる集客重視の展覧会には、厳しい声も多くなっています。
文化庁が掲げる「自己収益の目標」を達成するために、テレビ局や新聞社にそそのかされて、単なる集客イベントの企画展として消費されることは、美術館の存在意義を揺るがす大きな問題になりえると思います。