「正直、インサイドを使いすぎた」元WBC投手コーチが疑問視した若月のリード…「ドジャースの山本由伸とは配球が違った」侍ジャパン敗戦の見落とされた盲点
まさかの逆転負けを喫したWBC準々決勝ベネズエラ戦。元WBC投手コーチとして世界一を経験した武田一浩氏が、敗因を分析する。【《検証WBC》全4回の2回目/第1回〜第4回も公開中】 【写真】「これはエモい…」19歳山本由伸と若月の“かわいい”2ショット&「かなり顔色が悪い…」じつはマイアミで発熱していたロッテ種市などすべて見る ◆ WBC準々決勝、日本の先発マウンドには、“世界一の投手”山本由伸が立っていた。誰もが彼の快投を信じて疑わなかったはずだが、結果は4回を投げて被安打4、69球を費やして2失点。エースとしては、決して満足のいく内容ではなかった。 なぜ日本の至宝は、この大一番で試合の主導権を握りきれなかったのか。武田氏は、その一因が女房役である捕手のリードにあったという。オリックス時代からの盟友であるはずの若月健矢のリードに、武田氏がおぼえた“違和感”とは何だったのか。 「まず、由伸自身の調子が決して万全ではなかった。いきなり先頭のアクーニャJr.にホームランを打たれたけれど、特に、彼の武器の一つであるカーブの曲がりがいつもと違った。もっと鋭く縦に割れるはずのボールが、横に流れてしまっていた。だから空振りがとれず、カウントを稼ぐのに苦労していたね」 武田氏はさらに、山本自身のコンディションがベストではなかったことを指摘する。昨年ワールドシリーズ最終戦まで投げた身であり、さらに3月は、プロ野球選手にとってもともと調整が難しい時期でもある。 「長年3月末開幕に合わせて体のリズムを整えている野球選手にとって、ひと月早い調整は非常に難しい」と武田氏も言う通り、様々な要因が、山本のピッチングに微妙な狂いを生じさせていたのだろう。しかし、それでも2失点にまとめるあたりは、エースたる所以だ。武田氏の視点は、その“らしくない”エースを、いかにして捕手が導くことができたか、という点にある。
「インサイドを使いすぎた」
「見ていてクビを傾げたのは、若月健矢のリード。初戦の台湾戦から気になっていたんだけど、インサイドを使いすぎているなと思った。外国人打者の多くはインサイドを苦手としているが、それはあくまでセオリーにすぎない。困ったときに本当に頼りになるのは、アウトローへの配球。でも、この試合ではその基本が徹底できていなかったように見えたんだよ」 武田氏の指摘通り、この試合で日本が浴びた2本のホームランは、いずれもインサイドを狙って甘く入ったボールを完璧に捉えられたものだった。 「インサイドを投げるのは、投手にとっても非常に難しい技術。少しでも甘く入れば、長打のリスクが一気に高まる。隅田(知一郎)が打たれたホームランもそう。インコースにしっかり投げ切れていれば抑えられたかもしれないボールが、わずかに甘く、高く入ってしまった」 さらに武田氏は、オリックス時代とメジャーでは、山本由伸という投手そのものが進化している点を考慮すべきだったと語る。 「オリックスでずっと組んでいたから、という理由で若月を起用したんだろうけど、メジャーに行った由伸は、もうオリックス時代の彼とは違うピッチャーだ。配球の考え方も、ボールの質も、この2年間で大きく変わっている。そのアップデートに、若月が対応しきれていなかったのかもしれない。彼の頭の中には、まだオリックス時代の“成功体験”が強く残っていたのではないか」
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