先日、板橋区立美術館の「焼絵 茶色の珍事」展に行きました。

199337BF-6570-4170-A4AE-66BDECED1C4B

焼絵・・・


日本・東洋美術史学研究室に修士までいたのですが、一回も聞いたことがないジャンルです。

板橋区立美術館は、西洋の絵画を模倣した結果、ニンテンドー64みたいな立体感を醸し出している江戸時代の洋風画をフィーチャーしたり、花形の狩野探幽でもない、奇想系の京狩野でもない狩野常信とか狩野養信とかにもスポットをあてたたり、「え、これみんな見に行くんかな・・・?私は見に行くけど・・・」と思わせてくれる展覧会を数多く届けてくれています。

(いざ展覧会に行ってみると結構大入りなことが多いです。板橋区立美術館は「私は見に行くけど・・・」と多くの人に思わせるのがめちゃくちゃうまくて、私みたいな人がたくさん行ってるんでしょうね)

去年、「戦後80年 戦争と子どもたち」という展示があり、見応えある内容に満足して帰ろうとしたところ、次回の展示予告に「焼絵」のポスターが。

「えっ・・・」と目を疑いました。知らないジャンルすぎたからです。

はっきりと「え、これみんな見に行くんかな・・・?私は見に行くけど・・・」と思いました。


ある土曜日、四谷くんが「ボルダリングに行きたい」とリクエストしてきたので、前に行ったジムが美術館と同じ三田線沿いにあるからというこじつけで「ボルダリングの前に展覧会行かへんか」とちょろまかして会場へ。


IMG_9291

焼絵、一応大学院で美術史をかじったはずなのに、徹頭徹尾知らないことだらけで激アツでした。

IMG_9280

焼絵は熱した鉄筆やコテで紙や絹に絵や文字を表した作品です。木材におす烙印などはなんとなく見たことがありましたが、紙やシルクをこがして茶色の絵を描いたものは記憶にありませんでした。

平安末~鎌倉時代頃の文献に「焼絵」が紹介されているらしく、古い歴史があるようですが、現存するのは江戸時代以降の作品のようです。

江戸時代に焼絵を再興した絵師がいて、その中でも稲垣如蘭という人がスターっぽくて・・・という「知らんジャンルの知らんクラスタの知らんスター」の存在を知れたことの喜び・・・。「快」で毛穴が開いた感がありました。

しかも、朝鮮半島や中国にも焼絵の伝統があるようで、江戸時代には焼絵交流の記録も残っているのだとか。ああ、知らんジャンルの知らん交流・・・!毛穴・・・・!

IMG_9292

茶色のみで勝負する焼絵。ツートーンで勝負する水墨画と似たような方向性でありながら、ウッディな雰囲気・トーストな雰囲気が強くて好きでしたね・・・。

作品の解説やデータを記したキャプションも面白く、どういうキャンバスにどういう素材でかいたかを表すのに「紙本焼絵」と書かれていました。

これ、キャプションになじみない人には伝わりにくいと思うのですが、一切見たことのない文字列でめちゃくちゃギョッとします。だいたい「紙本墨画」「絹本着色」なところに「紙本焼絵」・・・・。なんと言えばいいのでしょうか、ラーメンの麺の硬さの「バリカタ」「ふつう」の中に「よく焼き」が入ってる感じですかね・・・。「え?なにそれ?ほんで茹でるんじゃなくて焼くん?」みたいな・・・

あと、解説に「焦がし描きした~」というかつて目にしたことのない複合動詞があるのも、毛穴が開きに開きました。

帰りに、『定本 焼絵考』(著:田部隆幸)を購入しました。



本を読むと、どうやら、柳宗悦が焼絵について語ったことがあるようです。民藝まわりのことも少し読んではいましたが、完全に見落としていました。

あと、焼絵のスター・稲垣如蘭と、虫の絵がめちゃくちゃ上手な長島藩主・増山雪斎が義兄弟の関係だったこと、「最後の文人」と言われている富岡鉄斎も焼絵をやっていたことなども初めて知り、知っていた人たちと焼絵が接続しはじめて「うおーーー!!」と高まりました。

世の中、掘りしろだらけや・・・と打ち震えましたね・・・。


大阪にも巡廻し、中之島香雪美術館でも展示があるそうです。関西の方はぜひ!