2026/03/30(月) 12:00 1 11
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は“豊後の虎”がラストラン見せた不屈の競輪好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
小野俊之(49歳・大分=77期)が3月26日、別府ナイターFIの最終日の2Rを最後に引退した。選手生活の終盤は頸椎、左ヒザ、右ヒザと重いケガに襲われ「体が動かない」と低迷を極めた。2004年のグランプリ覇者は苦しみ抜き、それでも目の前の自分と戦いながら、デビューから30年の時が経とうとしていた。
「力が入らない。体が『もうやめろ。頑張ったやろ』と言っている」
レースでそう感じた時、引退を決意した。最終戦は地元の別府。この舞台で、子どものころに父に連れてきてもらった思い出の場所で、引退する。3走にすべてを…。だが、体は動かない。「体が動かず、もどかしい」。2日間は「ファンにいい姿を見せられなくて」と悲壮な表情。そして、ラストランを迎えた。
この開催には同世代で戦ってきた選手が多くあっせんされており、佐藤慎太郎(49歳・福島=78期)もそこにいた。「朝からセッティングをやっていたよ」。全盛時から小野の生命線はセッティングだった。「修正能力は高いと思っているので」と最後の一戦に全神経を研ぎ澄ませた。
片山直人(44歳・福岡=87期)が突っ張り先行、番手の寺崎祐樹(38歳・熊本=97期)が懸命の援護。小野の前2走は前と離れるほどだったが、この日は違った。この日だけは…。最終ホームで小林史也(40歳・和歌山=107期)と並走になると、ドーン! 場内のファン、選手たちからも歓声が上がる。この日も、離れてゴールするのでは、と誰もが思っていた中での爽快な走りっぷりだった。
そして、最終3角。小野の後ろに降りていた同期の松尾淳(51歳・岐阜=77期)が踏み込んでくる。松尾は「普通なら行かないですが、小林君が頑張ってくれた以上」と仕掛ける。往年の小野のヘッドパンチが、急速に画面を切り替える。最後の戦いだった。
松尾はかつて敵で戦った時、小野からブロックをもらい不発になったという。小野はレース後に「同期愛っすよ!」と笑っていたそうだ。77期はやんちゃな性格の選手が多く、ライバル心むき出しでぶつかり合っていた。
松尾が仕掛けたからこそ、小野は最後の最後に目を覚ました。そしてもう、小野俊之の走りを見ることはできない。最後の咆哮は同期たちの胸に突き刺さり、ファンの心に広がった。“豊後の虎”は歴史になった。真っ向勝負の精神は、礎となった。
満点の★5つと、競輪を“見せつけて”くれたことへ感謝の思いを送りたい。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)
素晴らしい記事をありがとうございます。
実況がたまらないです。
| 日程 | レース名 | 格 | 場 |
|---|---|---|---|
| 4/2~4/5 | 椿賞争奪戦 | GIII | 伊東温泉 |
| 4/9~4/12 | 平原康多カップ | GIII | 西武園 |
| 4/18~4/21 | 大楠賞争奪戦 | GIII | 武雄 |
| 4/23~4/26 | アジア・アジアパラ大会協賛競輪 | GIII | 名古屋 |
| 4/24~4/26 | オールガールズクラシック | GI | 松戸 |
| 5/1~5/6 | 日本選手権競輪 | GI | 平塚 |
| 5/9~5/12 | アクアリッズカップG3ナイター | GIII | 松阪 |
| 5/14~5/17 | 五稜郭杯争奪戦 | GIII | 函館 |
| 5/19~5/21 | オッズパーク杯ミッドナイトG3 | GIII | 青森 |
| 5/30~6/2 | レジェンド神山雄一郎カップ | GIII | 宇都宮 |
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