『……ありがと。』
カルマって悩み事無さそうだな〜って、ふと思ったので書いてみました。カルマって実は結構悩みに弱そうですよね。
ちなみに私はテストでした…。もー、テストって嫌ですね!勉強の合間にゲームじゃなくて、ゲームの合間に勉強でした…。、
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俺は昔から、自分の気持ちを素直に言うことが出来なかった。だから、せっかく歩み寄ってくれた人とも、なかなか仲良くなれなかった。友達と言える存在も少なく、、ただ、1年の頃から渚君とは仲良く話せた。一緒にゲームをしたり、映画を見に行ったり…友達らしいことが出来た。ただ、ある時を境に渚君とは距離を置いた。今では、クラスも一緒だから普通に話すようになったが、どこか他人行儀だ。
だから、俺は今、すごく困っている。誰かに相談した方がいいのだろうか…。いや、誰に?そもそも、悩みなんて相談できた試しがないじゃないか。それに、こんな悩みを…
こんな…このクラスにいられなくなるかもしれないなんて。
渚「あ、カルマくん!おはよー!」
今日も変わらず元気に挨拶してくれる渚君。やっぱり、1年の頃からクラス一緒だったし渚君にしようかな。いや、でも俺から少し距離を置いたんだし、…でも、他に相談できそうなやついないしなぁ。
そう、俺達はやっと3年に上がった。ただ、E組だけど。2週間の停学を開けて学校に来た時、みんなにとけ込めるか少し心配だったけどみんな気さくで話しやすかった。エンドのE組なんて言われてはいるが、居心地は悪くなかった。やっぱり最初は少し怖がられてたみたいだけどね。でも、あのタコ殺るの楽しーし。
この間、3年生のビッグ行事、修学旅行が終わった。色々ハプニングはあったけど最後は楽しく終わることが出来た。クラスの団結も深まった。これから…これからなのに…なんで居なくならなくちゃいけないんだ…。
一昨日、久しぶりに家に帰ってきた親から一緒にインドに行かないか?と、言われた。強制的に来いと言われたわけじゃない。ただ、親とあまり一緒に時間を過ごしてこなかったせいか、なにか大事な話に対して素直に自分の気持ちを言うことが出来なかった。嫌だ、今このクラスが居心地いいから。…そう言ったら、その一言を言えば解決できるのに…。久しぶりに帰ってきて、嬉しそうに期待しながら満面の笑みで話しかけてくれた親のことを思い出すと言葉が出なかった。どうしよう、明後日までに答えを言わないと…ここから転校したら日本政府に記憶を消される。ここでの思い出はすべて消えてなくなる。そんなの嫌なのに、なんで言葉が出ないんだろうな。
なんで……
「……マくん」
なん…
「カルマくん!!」
カルマ「……っ!…あれ?」
殺せんセー「授業中ですよ!眠らないでください!」
カルマ「あれ?俺今寝てたの…?」
顔を上げてあたりを見てみればみんながこっちを向いていた。しかも、時計は10時を回っている。朝、渚君に挨拶されて席についた所までは覚えてる…けど、その後から記憶が無い。そこから寝てたのか。随分寝てたな…まぁいいや。なんか体だるいし、眠いし。
カルマ「じゃあ、おやすみー。」
殺せんセー「ちょっと!!眠らないでくださいと言ってるそばから眠らないでください!!」
殺せんセーが注意してる。でもいいや今やってる数学、分かるし。寝てても問題ないし。さっき変な夢見ちゃったからね…。今度は普通に寝よ。それから考えよ。
磯貝「カルマ!…カルマ!」
カルマ「……んん?」
カルマがまた顔を上げる。回りにはクラスのみんなが囲んで見てた。
磯貝「カルマあの後また寝ちゃってさ。最初は殺せんセーもおこそうとしたんだけど、カルマ全く起きる気配ないから諦めてたよ。お前がそんなに机に突っ伏してるなんて珍しいからみんなで心配してたんだ。」
カルマ「そんなに珍しくもないと思うけど…」
磯貝「なんか顔色もあんまり良くないみたいだし。寝不足か?それとも風邪か?悩み事か?」
でた。でたよ、磯貝のお人好し。磯貝は学級委員だけあってすっごくお人好しだ。みんなはそれを慕っているけれど、俺は少し苦手だったりする。ほら、こうやって俺の答えにくいこと質問してきたりさ?
前原「でもよー磯貝。カルマに限って悩み事はねーんじゃねーか?どーせ夜遅くまでゲームして寝不足だろ。」
…まあ、こいつは軽すぎだけど。
磯貝「そーなのか?」
磯貝が尋ねる。ここでそうだよと言えばいつも通りで終わる。だけど、本当に悩んでる事がある、とは言えなかった。勇気が…なかった。
カルマ「まあそんなもんだよー。」
なにか納得しない顔をして、磯貝たちが俺の周りを離れていった。これで良かったのだろうか。俺はこの教室を離れたくない。みんなの事を忘れたくない。今、この悩みを磯貝に打ち明けたら俺にも親に断る勇気が出るだろうか…。だったら打ち明ければ良かった。でも、そんな勇気もなかった。
授業時間の約半分を寝て過ごした俺は、帰り道、渚くんと帰っていた。
渚「カルマくん、今日なんか調子よくなかったみたいだけど大丈夫?」
何だかんだで、やっぱり渚くんも心配してくれていたみたいだ。やっぱり優しいよね。渚くんになら、もしかしたら…
カルマ「……うん。渚くん、実はさ…俺……『渚ーー!!』
渚「あ、茅野!」
渚くんと俺が振り向くと、茅野ちゃんが渚くんを呼びながら走ってきた。俺の弱々しかった声は、元気な茅野ちゃんの声にさえぎられてしまった。
茅野「渚!私も一緒に帰っていい?」
渚「うんいいよー。カルマくんもいいよね?」
カルマ「うん。いいよー。」
結局、その日は誰にも何も相談できないまま1日が終わっていった。明日、明日までに答えを出さなきゃ。あれ、なんで俺こんなこと言えないくらい弱くなっちゃったんだろう…。喧嘩とかではどんな暴言も吐くことが出来たのに。
鍵を開けて家に帰りリビングにむかうと、いつもとは違い俺の晩御飯がテーブルに置いてあった。いつもは1人だから、自炊なんて滅多にしなかったから新鮮だった。恐らく、母さんが作ってくれたんだろう。
"ちょっとお父さんと出かけてきます。明日には帰ってくるから、ご飯食べてね。"
と、書き置きがあった。両親は日本に来たはいいが、日本に来るのが久しぶりすぎて日本にいる友達とも、暫く会っていなかったらしい。だから、今日はその友達の所に挨拶回りと、どこかで久しぶりの日本をエンジョイすると言っていた。ったく、相変わらず自由だな。だが、ご飯は美味しかった。お風呂に入って布団に潜ると、今日あんだけ寝たのにまたすぐに眠気が襲ってきた。今日は寝てばっかだな。明日、明日こそは誰かに相談しよう。そんな小さな決意をして、俺は眠りについた。
翌日、いつもと何ら変わらない朝だった。両親はまだ帰っていないようだ。いつもどうり学校に行く支度をして、いつもは違う少し重い足取りで学校へ向かった。
この日は季節もまだ6月だというのに日が照っていて暑かった。それに梅雨ということもあってジメジメしていた。最悪だ。E組にはクーラーがないからどんなに暑い日でも暑さが和らぐことは無い。はぁ…そんな暑い中、校舎へと続く山道を登った。
ガラガラ
音の軋む古いドア。そのドアを開けて教室に入るが、暑さはやはり変わらなかった。普段みんなが登校するより遅い時間。チャイムがなるギリギリの時間に俺はいつも学校に着く。だが、その日はいつもより随分早く学校に着いてしまった。まだ来てない人も何人かいたが、渚くんと昨日話しかけてきた磯貝たちはもういた。
渚「あ、おはよーカルマくん。」
俺に気がつくと渚くんはいつものように話しかけてきてくれる。
カルマ「おはよー。」
俺はテキトーに返すと、そのまま席に座った。まただ、また、言おうと思ったのに逃げてしまう自分がいた。クソッ!今日が最後なのに…。
そうこうしているうちに1時間目が始まった。今日は机に突っ伏して寝ることは無かったが、授業はまるで聞けなかった。しかし何故か、先生に当てられた数学の問題は解くことができた。やっぱり得意なのかな。けど、俺の様子がどこがおかしいことに先生も気づいてたみたいだ。
休み時間になった。今だ、今しかない。やっぱり渚くんかな。昨日言えそうだったし、邪魔が無ければ、相談出来る。
カルマ「渚くん。」
渚「カルマくん、どうしたの?」
カルマ「あ、あのさ…実は…お、俺…」
あとちょっと、あとちょっとで言えるじゃないか。なのに…なぜか、声が出ない。
カルマ「………っっ。」
渚「カルマくん。悩み事なら聞くよ?」
カルマ「…え?」
なんで…
渚「ほら、昨日カルマくん、帰りになにか話そうとしてくれたでしょ?」
なんで…
渚「せっかくなにか話そうとしてくれたのに、最後まで聞けなくて悪いなーって思ってて。」
なんで分かるの…?
カルマ「…なんで、なんでわかったの?俺、悩みあるなんて一言も言ってないのに。」
磯貝「そりゃ、昨日のカルマの顔みてたら誰でも気づくさ。」
と、渚くんとは違う方から声が聞こえた。声のする方へ振り向けば、磯貝を初めとするE組のみんながいた。
磯貝「昨日のカルマ今までにないくらい思いつめてた顔してたしさ。なぁ?」
前原「あーそーだな!嘘ついてることくらいすぐ分かったよ!どうしようどうしよう…って感じに今にも泣きそーだったぜ!ww」
岡野「いや、泣きそうではなかったよ!?」
倉橋「でも、なんか無理してるのはすぐ分かったよね〜。」
片岡「ねー!すぐに分かったよ!渚もそうだったんでしょ?」
渚「うん!」
渚くんだけじゃなくて…こんなに、、こんなにクラスのみんなから気づかれてたなんて…。
渚「僕達で力になれることがあれば何でも協力するから、だから、僕たちに緊張とかしなくていいんだよ?」
前原「そーそ!悩みがあるんならさっさと話せってんだ!」
磯貝「ここには、お前の悩みを真剣に聞いてくれる人がたくさんいる。だから、お前も相談してくれていいんだからな?」
渚「で、カルマくんは何を悩んでるの?」
あたたかい…。言葉が…みんなの言葉ひとつひとつがあたたかすぎて、心に染みた。すると、さっきのまでの緊張が嘘みたいに口が動いて声が出た。
カルマ「じ、実は、この間久しぶりに両親がインドから帰ってきたんだけど、その時に、一緒にインドに行かないか?…って言われた…」
渚「うん。」
カルマ「でも、俺は嫌なんだよ。このクラスから離れるのが。みんなの記憶が無くなるのは…嫌なんだ。」
渚「うん。」
カルマ「だけど、母さん達に楽しみの詰まった笑顔で言われたから、なんか断れなくて。」
渚「うん。」
カルマ「でも、嫌だって事を言わないとこのクラスにはいられなくなる。みんなとこの先、このクラスで作っていく思い出が、俺だけ無くなる。」
渚「うん。」
カルマ「だから、親にちゃんと、嫌だ、行かないって言おうと思った。けど、俺の親あんまり家にいなかったからさ、なんか緊張して勇気が出なくて…言えなくて…。」
渚「うん。」
カルマ「誰かに相談した方がいいのかな、なんて思ったけど、相談するにも勇気が出なくて…今まで悩んでた……。」
俺はすべてを打ち明けることが出来た。この数日、悩みに悩んでいた心の内を、話すことが出来た。だが、俺は俯いたまま、顔を上げる事が出来なかった。みんな、どんな顔してるのかな。なんて思ったのかな。なんて言うんだろう。そんなことを思っていたら、予想外の言葉が帰ってきた。
前原「なーんだ、そんなことか!」
カルマ「…え?」
俺は反射的に顔を上げた。
前原「そんなことなら、あとは俺達が背中を押してやるだけで良かったんじゃん!」
カルマ「……。」
磯貝「そうだな。カルマは勇気がないとか言ってたけど、本当に強い奴だってみんな分かってるから。あとは俺達がきっかけを作ってやれば良かったんだな。」
カルマ「……。」
渚「ごめんね。もっと早くに気づいてあげられなくて。」
カルマ「…そんなこと、ない。」
不思議と俺の心はなんとも言えないあたたかい色に染まっていった。きっと、この時の気持ちをうまく表せる時は来ないと思った。
渚「カルマくんなら大丈夫だよ。カルマくんがこの教室にいたいと思ってるんだったら、そのままその気持ちをお母さんたちに伝えればいいと思うよ?」
片岡「ね!きっとカルマが思ってるよりカルマの両親、分かってくれるって!」
磯貝「だから、勇気出せカルマ。このクラスにはお前が必要なんだから…。」
カルマ「……っ。」
もう、言葉にならなかった。だが、目が少し熱くなっていることは分かった。
岡野「あれ!?カルマ泣いてんの〜!?」
カルマ「は、はぁ?泣くわけないじゃん!」
そう否定はしたが、本当は泣きそうだった。この言葉にできない気持ちがあたたか過ぎて…。
いや、言葉に出来ない…なんて、もうダメだ。みんなが背中を押してくれた。なら、きちんと言葉にしなきゃ…。
『……ありがと。』
みんながクスッと笑った。
微笑ましィィ