半世紀以上も自転車で生活していると、さまざまな変化がある。私がはっきり感じるのは、一貫して自転車は悪者として扱われてきた。車道に出れば自動車優先、歩道に上がれば歩行者優先。自転車はまともにとりあつかわれてこなかった。
ある時期、行政が自転車レーンを推進しなかった職務怠慢から、自転車が車道で引っ掛けられて被害者となる事故が多発して、”事故者数が増えるのは自分たちの問題になる”と、緊急措置として自転車を歩道にあげた。それで何十年もやってきて、ここへきて自転車レーンもまともに整備しないまま、こんどは車道走行をしないと青切符という決定。
私はここ15年ぐらい、”逆走するな!”と怒鳴る正面衝突寸前のことが頻発していた。これは『自転車を歩道にあげたことによる混乱』が大きな原因だったと観察している。その理由は、自転車を歩道にあげる措置の前は、逆走問題はほぼゼロだった記憶があるからだ。その行政の見識の低さは、国立市(くにたちし)の様子を見るとわかる。谷保から国立へ向かう大通りの自転車レーンの標識が逆走でも気づかない具合になっていた。また、谷保方向へ向かって左側の桜並木では、自転車レーンが片側車線に対面方向で2レーンまとめられていて、これも逆走を平気でする感覚を育成させるものだろう。
今は無いある喫茶店で、その評議会のまとめ役の人に意見したことがある。その方、喫茶店の前のバス停のところに違法駐輪して店に入っていることが私の気になった。私はいつもその喫茶店の軒下に駐輪していました。バス停のところに停めるのはいかがなものか?。その自転車は粗大ごみで持っていかれてもよいようなひどい状態で、手入れゼロ。黄色いクルマを持っていて、そちらが宝物。自転車はどうでもよいと自ら言っておられた。
これは、さまざまなところで問題を起こす。自転車の文化を啓蒙する某団体があるのだが、3年ぐらいで人事異動。自転車が好きでも、興味も無い人がトップに立つ。
自転車にこどもを後ろに乗せる規定もそうで、”前後に一人づつ乗せる3人乗り”を許可する法律になった時、私は異議をとなえた。重い電動アシスト自転車で、こどもを2人乗せたら、きゃしゃな女性では傾いた自転車をささえられないので危険だ、と進言した。その時、啓蒙団体の人は『これは業界と市場からの要望なので、との答え。うちのほうは坂が多いので、こどをを2人乗せ、荷物を積んで立ちごけしている場面をよく目撃する。
これは小学生でも、脚の不自由な高齢者でも、まったく問題なく乗せて走行できるやり方はある。トレーラーを英国や北欧式にうしろに牽引する。あるいはオランダ式に、ハンドルの前に椅子を取り付けた前2輪の3輪車にすればよい。オランダやデンマークには、自転車を停止させると、前の2輪がそのまま車椅子になる車両がある。『三顧の礼で来たら、図面をひいてもよい』(笑)。
そして、そういう自転車を走らせられるように、道路を変えて行くのが道筋だろう。
イヤフォーンの問題もしかり、もう故人になった某自転車雑誌の副編集長に新宿の西口でバッタリ会った。もう20年ぐらい前の話。ちょうどその時、彼はMOOK本を一冊執筆して出版していた。私は目立つので、彼の方が私を見つけて声をかけて来た。
『AOY君、君の最新の本をみたよ。しかし、”ヘッドフォンステレオをして自転車に乗るのがおススメ”とか書いてあって、とんでもねぇな。』と言った。『え~~、どうしてですかぁ?カッコいいじゃないですか。』『カッコの問題じゃない。自動車の免許でも聴力は問題になるのに、ヘッドフォンステレオで両耳ふさいで運転して、いいわけはないだろ。』と言った。遅ればせながら、ようやく禁止の方向になってきた。
スマホのながら運転は、まったくどうしようもない。見ているのがほんの1秒でも3m~5m走る。本人が自爆事故をするだけなら私は気にしないが、他の自転車と正面衝突とか、高齢者をひっかけて転倒させて頭でも打ったら、命にかかわる。スマホ・ながら運転の人間は一晩、留置場にお泊りでもいいと私は思いますね。
ずいぶん、自転車に乗る人のマナーが落ちた。たまにわきを通る公園で、野球選手になって大金持ちになろうと思っている少年たちが、夕方暗くなるまで野球の練習をやっている。その公園は”球技禁止”なのだが、かまわずやっている。球技禁止のことを伝えてもやめない。その少年たちが、暗くなると無灯火で帰って行く。先日、『ライトをつけろ!おまえらのような、ルールを守らないヤツラがいるから規則が厳しくなって、世の中が悪くなるんだ、この野郎!ふざけるんじゃねえぞ!!!』と大音声で怒鳴りつけた。学生時代は教師も逃げ回る学校で、風紀取り締まり委員長をやっていたので、私が怒るとただごとでない迫力がある(爆)。犯罪率が当時ロンドン1だったブリクストンでも、からまれたとき、私が怒鳴ると道があきましたから。その時も、少年たちは『すいませ~ん』とヘッドランプをみんな点けていました。
英国では無灯火だと、すれ違いざまに『Your head light !』と言われます。日本もそうした声掛けはあってよいと思う。