「もう漁師、やってられねえ」 原油価格高騰でともる「赤信号」

進成丸に乗り込む船長の志田正さん=山形県鶴岡市で2026年3月21日午後1時48分、長南里香撮影
進成丸に乗り込む船長の志田正さん=山形県鶴岡市で2026年3月21日午後1時48分、長南里香撮影

 米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発した原油価格の高騰が、漁業や農業の現場を揺さぶっている。原油輸送の要衝・ホルムズ海峡は事実上封鎖され、供給不安は一気に強まった。政府は燃料価格を抑えるため補助金を投入するものの、全てを補えるわけではない。燃料を多く使う事業者ほど影響は深刻で、戦争が長期化した場合、経営を圧迫するとの悲鳴が上がっている。

「このままじゃ沖に出られなくなる」

 日本海に面した山形県鶴岡市の堅苔沢(かたのりざわ)漁港。冷たい海風の吹く港で3月下旬、底引き網漁船「進成(しんせい)丸」を保有する船長の志田正さん(65)が困り切った様子でつぶやいた。「『油』がどんどん高くなって、このままじゃ沖に出られなくなる。もう漁師、やってられねえレベルだ」

 冬を代表する庄内地方の味覚「マダラ」漁を手掛ける。最盛期には、まだ周囲が真っ暗な未明に港から船を出し、20キロ程度離れた漁場まで約1時間半かけて移動して、網を引く。漁を終え、港に帰ってくるのは夕方だ。

 漁船の燃料に使うのは重油で、1回の漁での消費量は約500リットル。その単価がイラン情勢の緊迫化に伴う原油高騰で跳ね上がった。

 従来は1リットル当たり120円台だったが、3月21日以降は急激な値上げ抑…

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