自分の好きなゲームを作ってたら会社が買収された話
はじまり
弊社Nukenin合同会社がインディーで自分の作りたいゲームをひたすら作っていたら、株式会社ダブルクロップ様に買収されました(資本提携)。
株式会社ダブルクロップ様は、SES、受託開発、自社サービス、研修サービス、キッズ向けプログラミングスクール等を事業としてやっており、多くのゲーム開発者も在籍する会社です。
個人でやっているインディーゲーム開発会社が買収されるというのは、少なくとも国内ではあまりない事例だと思うので、インディゲーム開発者の方々の参考になると思い経緯を記したいと思います。
M&A のオファー
ことは昨年、Jelly TroopsがGYAAR Studio Indie Game Contestで賞を受賞し支援金を受け取れることになったものの、それだけじゃ足りないなぁと悩んでいるときでした。
自分のポケットマネーを会社に貸してなんとかチームメンバーに報酬を払っているような状態でした。
そんな折、全然知らない電話番号から電話が掛かってきました。普段なら営業の電話だと思って無視するのですが、今回はなぜか気が向いて出てみることに。
電話の主は、M&Aの仲介をしている会社で、うちの会社に興味ある会社があるので紹介したいという話でした。ちなみに弊社は従業員が自分1人ですし、自分が好き勝手にゲームを作るために作ったような会社です。そんな会社に興味を持つ企業があるとは、正直「これは怪しい話なんじゃ…?」と半信半疑でした。
しかし、自分は刺激中毒なところがあるので、とりあえず話を聞いてみることにしました。
最初の交渉と破談
ビデオ会議で話を聞いてみると、仲介会社も興味を持ってくれている会社も、しっかりした企業のようでした。「買収ってなんだか面白そうだな」と思ったのですが、自分のスタンスはあくまで「作りたいゲームしか作らない」こと。
何度もその点を強調して伝えた結果、興味を持ってくれていた企業も「さすがにそれは…」と思ったのでしょう。買収の話は一旦なくなりました。
新たな候補企業の出現
しかし、仲介会社は諦めませんでした。
「直近の決算書とプロフィールを持って、他に興味を持ってくれる企業を探してもいいですか?」と聞かれました。
自分としては「赤字だし、自分の作りたいゲームしか作らないし、そんな会社に興味を持つ企業なんてあるのか?」と思いつつも、「もしそんな会社があるなら話を聞いてみたい」と伝えました。
まさかと思っていたら、なんと 2 社から応募がありました。
買収の決定
2 社とオンラインで会って話を聞いてみると、2 社目の企業には社風や考え方に共感できる部分がありました。
社員旅行があり、それを社員が楽しみにしていることや、技術力よりも人間性を重視している点などが印象的でした。「この会社なら一緒にやっていけるかも…」と思い、買収話を進めることになりました。
買収のプロセス
買収のプロセスは楽しかったです。色々勉強になりましたし、まだまだこれから色んなことを勉強できそうです。
まず、買収ってなると、株式会社にしなきゃだめなんですね。うちは合同会社だったので、株式会社化しました。
其の上で株式を51%譲渡することにしました。
自分も過半数持っておきたかったんですが先方も「過半数の株を持っておきたい」とのことでした。自分としては会社が赤字状態であることを考え、「過半数の譲渡くらいは受け入れよう」と判断しました。
周囲の反応とリスク管理
ちょうどこの時期に、周りの方にも相談していました。「周囲からは過半数なんて、大丈夫ですか?会社を乗っ取られるんじゃないですか?」っと心配されたりもしました。
しかし、Nukenin の資本はほとんどありません。人気 IP を持っているわけでもなく、資本といえるのは自分の技術力だけです。
仮に経営権が移っても、自分が好きなゲームを作ることが会社の価値になるという関係性なので、無理に方向性が変わる心配は少なかったです。先方としてもむしろ自分に好きなゲームを作らせてヒット作が出る可能性に期待したほうが得策でしょう。
それでも、自分は「作りたいゲームしか作らない」ということをある程度保証してもらいたかったので、会社の運営は自分に任せることを契約書に明記してもらいました。
というわけでNukenin株式会社の代表取締役は私ですし、基本的にこれからも今までと同様、自分の好きなゲームを自分の好きなように作るだけでやることは変わりません。
資本提携のメリット
資本提携により、Nukenin 側の最大のメリットは資金面です。
お金が尽きかけていましたが、定期的に業務委託費をもらえることになりました。これで心置きなく好きなゲームを作ることができます。
ただ、これでは「業務委託費をもらってダラダラする」ことも可能になってしまいます。
そこで、自分から「最低 3 本のゲームをリリースするなど、何か条件をつけたほうがいいのでは?」と提案しました。これはたとえ利益を出せなかったとしても「ここまで頑張れば義理を果たした」と思えるラインを設定しておきたかったというのもあります。
話し合った結果「最低でも3 年間はしっかり会社を運営する」ことが契約書に明記されることになりました。
とはいえ、できるだけ早くに黒字化できるよう全力で頑張りたいと思います。
驚きの偶然
それにしても、自分はダブルクロップさんとの面談でも、
自分の作りたいものしか作りません
50歳まではゲームを作ると思いますが、その先は分かりません。
現在赤字です
ということをお伝えしたのですが、それでも弊社に興味を持ち続けてくれるとは、なんて懐が深いんでしょう
ところで株式譲渡後に決算月をそろえないとまずいですよねという話になりました。
Nukeninは税理士さんが比較的手が空いてそうな時期ということで11月決算にしていたので、一般的な3月に合わせないと... って思っておりました。
すると、なんということでしょう。
ダブルクロップさんも偶然11月決算だったのです。
何たる偶然!
これは運命だったのかもしれませんね。
インディーゲーム開発者の1つの選択肢として
インディーゲーム開発は継続が難しい仕事です。
ヒット作を出せれば良いですが、狙ってヒットを出せるものでもありません。あの宮本茂さんですら、すべての作品がヒットしているわけではないのです。
そんな中で、インディーゲーム開発者が生き残る道として「買収される」というモデルケースがあるのは面白いのでは?と考えました。
今回のケースを参考に、インディーゲーム開発者を支えてくれる企業がもっと増えてくれたら嬉しいです。
そして、改めて、Nukeninの考え方やスタイルを尊重し、応援してくださるダブルクロップ様には心より感謝しています。これからも全力で面白いゲームを作っていきたいと思います。
謝辞
このような機会に恵まれたのも、Google Indie Games FestivalやGyaar Studio Game Constestで賞を頂き、集英社さんや東宝さん、Gyaar Studioさんにゲームを作らせてもらったからです。Googleさん、集英社さん、東宝さん、バンダイナムコGyaar Studioさんにこの場を借りて感謝させていただきます。また、これまで私のゲーム作りに協力してくださった皆様、お世話になった任天堂、支えてくれる家族、その他、今まで関わってくれた皆々様に感謝申し上げます。
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大好きなピクミンの対戦になかなかオンライン機能が入らないので自分で作ることにしました!
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コメント
4読みやすく面白い記事でした☺️
読んで頂きありがとうございます!面白く思って頂けたなら良かったです。
Nukeninってかっこいい名前ですね!
ありがとうございます!