『トレーナーさん……愛しているわ……』
『ああ、俺も君を愛しているよ、ヴィルシーナ』
あり得てはいけない、あってはならない光景が、私……ジェンティルドンナの目の前で繰り広げられていた。
私のトレーナーである彼が、私の敵──幾たびも私と干戈を交えながら、ついに私に勝ち得なかった“力無き”ウマ娘──に、未だかつて私に注がれなかった、狂おしいほどの愛を囁いているなんて。
「私のトレーナーから離れなさい、ヴィルシーナさん。身の程を弁えるべきではなくて?」
生まれ落ちてよりただの一度も知らなかった……知る由もなかったはずの暗く醜い嫉妬の炎に胸を焦がしながら、私はヴィルシーナさんを睨んだ。
トレーナーの逞しい腕に掻き抱かれた彼女は、雌猫のように妖しく微笑んだ。
『あら、ジェンティルさん……そこにいらっしゃったのね。ごめんなさい、まったく気がつかなかったわ』
「まあ、そうでしたの。私も気がつきませんでしたわ。貴女が、そんなにも不躾な方だったなんて」
「不躾……とは随分なおっしゃりようですね。ねえ、トレーナーさん?」
ヴィルシーナさんはトレーナーの首に腕を回し、彼の顔に頭を寄せ、彼の脚に尻尾を巻き付けている。
──ずいぶん可愛い女狐だこと。
胸の内のえも言われぬ狂熱が、いよいよもって煮えくり立つ。
けれど何より許せないのは、肩にしな垂れかかる彼女を跳ね除けもせずに侍らせている、あの男。
まさかここまで、私のパートナーたる自覚を欠くとは……あとで、しっかりと”教育”しなければ。
けれどまずは、彼にまとわりつく不届き者を片付けるのが先決……
私は前に進み出て、彼女を凝然と見下ろした。
「白々しい。ご自身の行いの意味くらいわかっておいででしょう、ヴィルシーナさん?」
するとヴィルシーナさんは、彼の膝の上からするりと降りた。
そして私の目の前に歩み寄ってきて、上目遣いに私を睨みつけた。
「意味、とは何のことでしょう、ジェンティルさん?」
「質問に質問でお答えになるとは、大変結構な教育を受けてこられたようね。
はっきり申し上げなければ、お分かりいただけないかしら」
「そうですね、残念ながらわかりかねます。
どうぞ、ご教示くださいな」
顎に手を当て、静かな笑みを湛えながら彼女は私に相対した。
……まあ、なんてお可愛らしい挑発かしら。
よろしくてよ、私が直に教えて差し上げましょう。
「あら、とても簡単なことでしてよ」
憎たらしくも昂然と私を眼差すその紫陽花色の瞳を見つめて、私は微笑んだ。
「この、泥棒猫」
「…………ふっ……うふふ……あはははは!」
「……?!」
突如、ヴィルシーナさんはけたたましく笑い出した。
「はあ、はあ……ごめんなさい、ジェンティルさん。
妙な誤解をなさっているようでしたから、思わず笑ってしまったんです」
「誤解……?」
「ええ。私は貴方に、泥棒猫なんて言われる筋合いはありません。
なぜなら」
勝利を確信した……いえ、勝者の余裕に満ちた笑顔で、ヴィルシーナさんは言い放った。
「私と貴方のトレーナーさんは、心から愛し合っているんですもの」
そのおぞましい言葉が耳に入った瞬間、冷たく青白い衝撃が、私の身体を貫いた。
激しく燃える情念が、胸の底からこぼれ落ちる。
「……お黙りなさい。彼は、私の……!」
「トレーナーであって、恋人ではない。
そうでしょう?」
「……っ!」
「ですから、私と彼の関係には口を挟まないでください……お分かり、ジェンティルドンナさん?」
私の機先を制した彼女の目は、そのまま私を捉えて動かない。
未だかつて感じたことのないほどに猛々しく堂々たる気迫が……
信じられないほどに強い”力”が、そこに宿っていた。
……ありえない。いえ、ありえてはならない。
この私が、剛毅なる貴婦人たるこの私が、幾度も力でねじ伏せてきた、ヴィルシーナさんに気圧されるなんて。
「口を慎みなさい。そのような戯言は……」
「うふふ……そうおっしゃるなら、仕方がありませんね。
戯言かどうか教えて差し上げましょう、トレーナーさん?」
「え……?」
いつの間にか、ヴィルシーナさんの傍にはトレーナーさんが立っている。
彼はその筋肉質な腕を彼女の腰に回し、ヴィルシーナさんは彼のたくましい胸に手を乗せて、身を預ける。
そして、二人が見つめ合う。
「…………おやめなさい」
しかし、私の言葉は届かない。
「トレーナーさん……好きよ……」
「俺も、君のことが好きだ……ヴィルシーナ」
「……やめなさい」
ヴィルシーナさんが彼の背中に手を回し、二人はしっかりと抱きしめ合う。
心の底から恍惚とした幸せに満ちた微笑みを浮かべ、彼女は背伸びをしてトレーナーさんに顔を近づける。
彼女の顔に、トレーナーさんも首を寄せる。
二人の距離が、近づいていく。
「やめて」
私の願いは、届かない。
二人の顔が、唇が、ある一点に引き寄せられていくのを、止めることができない。
……どうして?
絶対的な勝者の証……純粋で高潔な、誰より優れた”力”を持つ、この私が……
「トレーナーさん……」
「ヴィルシーナ……」
敗れ去るその瞬間、決定的に彼が奪われるその瞬間、
私は、叫ぶことすらできなかった。
「あぁ……やめて……」
口からこぼれ落ちたのは、それはもう紛れもなく……
未だかつてこの口から出なかった、弱々しく情けない、敗者の言葉だった。
「もう、おやめになって……
お願いだから……っ!」
──私が夢から覚めたのは、その時だった。
枕に頭を乗せたまま、私はぼんやりと薄暗い天井を見上げた。
「……酷い夢」
頬を伝っていた涙を手で拭い、枕元の時計を見ると、本来の起床時刻までにはまだ随分と時間があった。
けれど、もはやこのまま眠りにつく気にはなれなかった。
あるまじき悪夢の余韻を、振り払ってしまいたかった。
……ランニングに行こうかしら。
そう思って衣装ケースの体操着を取り出そうとしたところで、ふと考えが変わった。
悪夢を振り払う……それは、強者の振る舞いではない。
こんな時真に”力”ある強者なら、どうするべきか。
それは全くもって、簡単なこと。
「私が手ずから、悪夢を断てばよろしい……」
私は体操服ではなく制服に着替えて、部屋を後にした。
***
俺の目の前に、二つのポ🍩デリ🍩グが浮かんでいた。
別に、ミスタ🍩ド🍩ナツにいるわけではない。いや、🍩スドでもポ🍩デリ🍩グは宙に浮かないけれども。
紛れもなく俺がいるこの場所は、トレセン学園のトレーナー室……俺の仕事場だ。
問題のポ🍩デリ🍩グは、麗しい鹿毛のうなじに結い上げられた、見事な代物である。
その下にはフローラルな香りが湧き立つ白い首筋があり、さらにその下では厚みがありながらも端正なプロポーションの上半身を、トレセン学園の紫色のセーラー服が包んでいる。
「それで、お仕事は片付きましたの?」
そう言ってこちらに振り向いたのは、俺の担当ウマ娘のジェンティルドンナだ。
彼女はついさっきトレーナー室に来たなり、ごく当然のように腰掛けてきた。
なぜか、俺の膝の上に。
応接スペースのソファーで一人寂しく仕事してただけだったのに、今の俺はジェンティルのパワフルでほかほかな体温と、もはやパワフルの域を逸脱した重……いや、存在感を脚の上に感じていた。
瀟酒かつ余裕たっぷりに笑っている彼女に、俺はすごすごと答える。
「いや、まだ終わってない……」
「遅いわ」
ぴしゃりと断言しながら、ジェンティルは俺の太腿を一なで二なで三なでした。
「このままでは、昼休みが終わってしまう。
いったん切り上げなさい。よろしくて?」
「はい……」
勢いに押される俺の太腿を、ジェンティルは四なで五なで六なでした。なですぎ。
今日のジェンティルドンナは、なんだかいつもと違う。違いすぎる。
控えめに言えば俺に対する距離感が近く、大袈裟に言えばベタベタひっついてくる。
その割に、態度は普段と変わらず尊大で高圧的……いや、実力に裏打ちされた自信に満ち溢れていると言うべきだな、うん。
一人頷いていると、ジェンティルが訝しげに問いただしてくる。
「それともまだ何か、おっしゃりたいことでも?」
ごめんジェンティル、君のポ🍩デリ🍩グが邪魔だから退いてくれないか?あと純粋に君が重すぎる。
……力 is Justiceという真理を奉じるジェンティルにそんなことを言えば、ただちに剛毅なるパワーで頭を極小サイズに圧縮され、スーパーモデルもびっくりの百頭身ボディに生まれ変わりかねない。
しかしスーパーモデルへの転職は俺の本意ではない。俺には成すべきことがある。
俺は、ジェンティルドンナのトレーナーなのだ。死に至るその時まで。
今ここで死に至るわけにはいかないので、俺はあえて別のことを言った。
「ジェンティルが用も無いのにトレーナー室に来てくれるなんて、珍しいなと思って」
言ってから、いや、これもまずかったかな……と思う。
あら貴方、なにか甚だしく思い上がっているようね……とか毒づかれそうだ。
ところが。
「……いけなかったかしら、用もなく訪ねては」
ジェンティルは少し困ったように眉を下げ、しおらしく俺を見つめていた。
予想外の反応に、俺は不覚にも心を撃ち抜かれた。
「そんなことない!嬉しいよ、君が来てくれて」
「そう……それなら、よかったわ」
いつもの余裕ある笑みを取り戻しながら、ジェンティルは膝の上に乗せた赤と黒と黄色の三色ストライプの巾着袋を指し示した。
「貴方に、お昼を作ってきたのだけれど……
ご一緒にどうかしら?」
驚くべき光景だった。俺は夢でも見ているのか?
ジェンティルがおずおずと、わずかに頬を染めて俺にお弁当を勧めてくるなんて。
信じられない事態ではあるが、しかし彼女の申し出を拒否したり茶化したりするなんて選択肢は、あり得なかった。
断ったら剛毅パワーで頭と体がサヨナラバイバイしかねないから……ではなく、彼女のまごころが嬉しかったからだ。
「ありがとう、いただくよ!」
とジェンティルに答えると、彼女はようやく俺の膝の上から降りた。
そして今度は、ぴたりと俺の隣に身を寄せるようにして腰掛けてきた。
「お口に合えばよろしいのだけど」
そう言って彼女が取り出した弁当箱を見て、俺はふと疑問を口にした。
「なんだか、ずいぶん控えめなサイズ感だね……?」
「そうかしら」
ジェンティルは、平然とした顔つきのままわずかに首を傾げた。
巾着袋から出てきたのは一人分の弁当箱、それも女性向けのものだ。
これでは俺とジェンティルどころか、ジェンティル一人分としても足りるかどうか……
「きちんと量は調整してきたから、問題はないわ」
「そうなの……?」
思わず疑いの眼差しで見つめたが、ジェンティルは全く意に介さない。
「さあ、召し上がって」
と、蓋を取って弁当箱を俺に差し出してくる。
おにぎり2つとハンバーグと卵焼きとマッシュポテトにプチトマトなど、ぱっと見ごく普通なラインナップだ。
中身がパンパンに詰まっているということでもない。やはり、ボリューム的に二人で食べるには足りない気がする。
そもそも教え子と一つのお弁当を共有するのもどうなんだと思うが……美味しそうであることは確かだ。
そこでまず俺はおにぎりを手に取り、手に取、手に、
「……重すぎる!!!!!!!!」
片手で持ち上げようとしても、そのおにぎりは全くビクともしなかった。
両手でようやく少し動かすことができるが、とても口まで運べない。
み、見た目は普通のおにぎりなのに……
「あら……それしきのおにぎりひとつ持ち上げられないなんて、鍛え方が足りないのではなくて?」
ジェンティルは、さも可笑しそうにくすくすと笑っている。
「笑い事じゃないよ、この重さは……」
と言いかけて、はたと気づく。
「ジェンティル……このおにぎり一個に、どれくらいのご飯を使った?」
「さあ……寮の炊飯器2台分ほどだったかしら」
ウマ娘寮に備え付けられている炊飯器は、業務用の特大サイズだったはずだ。
その膨大な量のご飯を純然たる腕力で圧縮し、女性用のこじんまりとしたお弁当箱に収まるサイズにしているわけである。
すなわち、一口食べるだけで茶碗何杯分かの米を摂取することになる。
糖質過剰摂取で○しにきてるのかな?
などとたわけたことを考えていたら、ジェンティルはため息をついた。
「仕方がありませんわね……私が手ずから食べさせて差し上げますわ」
「えっ」
ため息をついたくせに、ジェンティルは嬉々としたご様子でおにぎりを取り上げて、有無をいわせず俺の口元に持ってきた。
「ほら、お口をお開けになって?」
「いや、でも……」
「あ〜〜ん、ですわ」
緋色の瞳を蠱惑的に揺らめかせながら、ジェンティルは俺に顔を寄せてくる。
右手でおにぎりを差し出して、米粒が落ちないよう、左手を下に添えている。
なんか……なんか絶対ヤバいです!と俺のシックスセンスが叫んでいるが、今この状況から逃れられる気がしない……!
観念して口を開けようとした、まさにその時。
コンコン、とトレーナー室のドアがノックされた。
音に気づいたジェンティルがドアの方に目を向けた一瞬に、
「はい、どうぞ!!!!」
俺は、反射的に大声で答えていた。
とにかく、この状況を一旦中断したかった。
そのきっかけになりそうなものなら、何にでもすがる……!
「失礼しま……す……っ?!」
扉を開いて部屋に入ってきたのは、ヴィルシーナだった。
……一瞬、ジェンティルの目から光が消えたような気がした。
しかしすぐにジェンティルは俺から身を離して、おにぎりを弁当箱にズシンと置いた。
そして余裕たっぷりに足を組み、口の端に傲岸な笑みを湛えてヴィルシーナを迎えた。
「あら……何かご用かしら、ヴィルシーナさん?」
「あ、あの……取り込み中でしたか?」
机に弁当を広げて、ジェンティルが俺のすぐ横に寄り添っているという光景を目の当たりにしたせいか、ヴィルシーナは引き攣った笑みを浮かべている。
なんだか、まるで俺がジェンティルにお弁当を食べさせてもらっているかのような誤解を招きそうで心配だ。誤解じゃない?いやまさかそんな。
「ご都合悪ければ、出直しますが……」
いたたまれないのか、ヴィルシーナはおずおずと申し出た。
だめだ、ここで逃すわけには……!
「いや大丈夫、全然大丈夫だよヴィルシーナ!!!」
俺は満面の笑みを浮かべて、ヴィルシーナを引き止める。
ちらりとジェンティルに顔を向けたら、相変わらず悠然たる微笑みを口元に浮かべている。
目の光が完全に消えているように見えるのは、きっと気のせいだろう。消灯時間にはまだずいぶん早いし。
「もう一度、お聞きするわ。
私のトレーナーに、何かご用がおありなのかしら……ヴィルシーナさん?」
”私の”という一言が妙に強調されていた気もするが……ジェンティルの問いかけに、ヴィルシーナが答えた。
「その……昨日お話のあった今日の午後の併走トレーニングの件、都合が合いそうなので、よろしくお願いしますと伝えたくて……」
「へえ……そうだったのね。
その併走の予定、お相手がヴィルシーナさんだとは存じませんでしたけれど」
「えっ、そうだったんですか?」
ヴィルシーナは不思議そうに、ジェンティルは感情の読めないアルカイックスマイルで、俺に視線を向けた。
……直感だが、ここでの受け答えを間違えると取り返しのつかないことになりそうな気がする。
しかし下手に小細工するより、虚心坦懐に答えるしかあるまい。
全ての光を吸い込む闇に似た、ジェンティルドンナのガーネット色の瞳をまっすぐに見つめて、俺は答えた。
「ごめんジェンティル、相手は確定してから伝えようと思っていたんだ。
君の闘志が一番燃える相手を選びたくて、時間をかけ過ぎてしまったんだ。本当に申し訳ない」
言い切って、なおもジェンティルの目を見つめた。
……やがて彼女の双眸に、光が差し、どこか満足げな色合いが口の端に現れる。
「……そう……私が、一番燃える相手、ね……」
すかさず、ヴィルシーナはジェンティルに鋭い視線を投げかけた。
「不足だなんて、言わせませんよ?」
するとジェンティルは、頬杖ついてにっこり笑った。
「あら、素晴らしい闘魂ですこと。
今日の午後、完膚なきまでに打ち砕いて差し上げるのが楽しみですわ」
「ありがとうございます。
私も、その余裕ぶった頬杖へし折るのを楽しみにしていますね、ジェンティルさん」
それからヴィルシーナは俺の方に向き直り、
「トレーナーさんも、今日はよろしくお願いしますね」
と言って、丁寧にお辞儀をした。
俺も姿勢を正して、彼女に顔を向ける。
「ああ、こちらこそ今日はよろしく頼むよ、ヴィルシーナ!」
そう答えながら、俺は内心で安堵していた。
……どうにか、危機は乗り越えたらしい。
ふと隣に座るジェンティルを横目に見ると、その気配に気づいたのか、おもむろに口を開いた。
「本当に、トレーニングが楽しみですわ。
……今日という日に、冴えた人選をなさるのね、貴方」
「!……ああ、ありがとう、ジェンティル!」
思いがけない、お褒めの言葉だった。
併走相手にヴィリシーナを選んだという采配に、ジェンティルは予想以上に満足してくれたみたいだ。
純粋に、本望だった。
よかった、ジェンティルに喜んでもらえて……
俺の中で緊張の糸が緩んだ、その時だった。
「お礼をして差し上げますわ」
「えっ……!?」
一瞬の出来事だった。
彼女は俺の肩に手を回し、顎を持ち上げ……真正面から、俺に口づけをした。
「ジェ、ジェンティルさん?!な、何をして……!?」
動転しているヴィルシーナの声も、俺には遠く聞こえた。
世界中のどんな花にも、どんな果実にも例えられない、淡く繊細に溶け落ちそうな、高貴で穢れなき柔らかな熱。
一度味わえば、死に至るその時まで忘れることはできない、呪縛の味……
染み込ませ、じっくりとたっぷりと蹂躙するように貪られてから、ようやく彼女の唇は離れた。
「あら……まだ、そこにいらっしゃったのね」
ぼんやりとした頭でジェンティルの視線の先を追うと、ヴィルシーナは、壁際で驚きのあまり口を覆っていた。
そんな彼女の様子を、ジェンティルは満足げに眺めていた。
力の抜けた俺の手にその手を柔らかに重ね、白く長い指を絡めあわせながら……
仇を討ち果たした勝者の笑みを浮かべて、ジェンティルドンナはヴィルシーナに告げた。
「ごめんあそばせ、ヴィルシーナさん。
私たちこれから、”お食事”の時間ですの……お引き取り願えるかしら?」
???「つよーい!!!」