学校法人帝塚山学園のグラウンド(奈良市学園中)で昨年4月に起きた落雷事故で、同学園が設置した事故調査委員会(馬場智巌委員長)は30日、奈良市の同学園本部で記者会見し、調査報告書を発表した。落雷事故防止の研修やマニュアルが欠落しており、存在していれば事故防止につながった可能性があると指摘する一方、落雷の予兆が乏しかった当時の状況から阻止できなかった可能性もあるとした。この事故では中学3年の男子(15)が依然意識不明の重体で入院している。
学内における落雷事故を巡っては、文部科学省が令和6年4月に熊本県内の高校で起きた落雷事故を踏まえ、適切な措置を講じるよう注意喚起していた。一方、報告書では、これにもかかわらず同学園では研修を行わず、落雷事故予防の規定やマニュアルが存在しないなどの不備があるとした。学校保健安全法に基づく安全計画にも落雷事故防止の記載がなく、6年度以降は計画自体が定められていないなど法令遵守の姿勢にも疑問を呈した。
このほか屋外活動停止の判断が個々の顧問教諭に委ねられていた点も、安全確保に欠ける恐れがあると指摘。改善策として、マニュアルの整備▽教職員と生徒に対する雷の教育▽学校内外への雷検知設備の設置▽定期的な訓練-などをあげている。
記者会見に同席した帝塚山中高の小林健校長は「二度と悲劇が起こらないように対処したい」と述べ、雷検知設備の新設や避雷針の増設を進めており、屋外活動の判断基準やマニュアル整備も早急に進めるとした。
事故は昨年4月10日午後5時50分頃に発生。当時生徒120人が部活中で、計6人が病院に搬送された。