【古典文法】藤井文法の概説
藤井文法とは
前稿の最後に紹介した藤井貞和氏の著作から。
日本語文法を理解するには、日本語の起源から問いなおさねばならない。日本語の発展史に即した文法理論が必要であり、西洋語の文法を日本語に当てはめた現在の学校文法に代えて、新たな文法体系を打ち立てなければならないのだ。現在を示す「あり」(r)、過去の「き」(k)、推量の「む」(m)、形容の「あし」(s)の組み合わせで成り立つ時の助動辞をはじめ、日本語の隠れた構造を明らかにし、豊富な古文の実例をもとに、日本語文法の本質に迫る。古文の読みが愉しくなる、全く新しい理論体系。
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これがその、画期的な日本文法(古典文法)に関する書籍である。
藤井氏はこんな方である。Wikipediaへのリンク。
以下、当noteでは、完全な素人である筆者がこの画期的な文法書の体系を元に、実際の高校古典文法の再構築に必要な部分を取り出し整理応用しようという無謀な試みを行なう。前稿はその嚆矢と位置付けられる。
本稿は、藤井貞和氏による理論体系の一端を紹介するものである。
筆者には古典の素養は皆無であり、「理論の美味しいところだけを摘み食いしている」との非難は相当である。しかし、仮説が間違っていれば訂正すれば良いだけのこと。指摘は大歓迎。目的は、暗記に過大な負荷をかける学校文法を根源から問い直し改善することにある。
これを踏み台として、学校文法がこの革新的かつ根源的な日本文法に置き換わり、学校教育に浸透することを願うばかりである。
本稿では、この文法を藤井文法と称する。
藤井文法の骨子
krsm-立体
基本文語助動詞(藤井文法では助動辞)「き/り/し/む」を正四面体各頂点に配置、各辺で助動詞が生成されている(辺k-sを除く)。
基本助動辞 k(き 過去)、r(り 現存)、s(し 形容)、m(む 推量)
辺k-r:
ki+ari \to keri (けり 過去-現在)辺k-m:
ki+am \to kem (けむ 過去推量)辺r-s:
ar+asi \to rasi (らし 現在形容)辺r-m:
ar+am \to ram (らむ 現在推量)辺m-s:
am+asi \to me-asi \to besi (べし 推量形容)
前-助動辞
助動辞の成立前に存在が推測される「ア+子音」の組み合わせである。「助動詞の根源部材」とも言えよう。
アリ
a.r.i 存在アム
a.m 推量アフ
a.h 継続アニ
a.ni 否定アツ
a.t 完了アシ
a.si 形容アク
a.k 名詞アス
a.s 行為
アリの助動辞-圏
「アリ
なり(肯定) に+アリ
ni.ari \to nari 肯定 断定 指定たり(肯定) と+アリ
to.ari \to tari 肯定 断定 指定ざり(否定) ず+アリ
z.ari \to zari 否定するかり(形容) く+アリ
k.ari \to kari 形容詞カリ活用けり(過去) き+アリ
ki.ari \to keri 過去を特定するたり(存続) つ+アリ
t.ari \to tari 存続なり(伝聞) ね+アリ
ne.ari \to nari "耳"の助動辞めり(伝聞) み+アリ
mi.ari \to meri 見た目
学校文法の再構成
藤井文法は勿論これに止まらず更なる考察と知見をもたらすものであることは言うまでもないが、本稿では上記の紹介迄とし、後は著書をご参照いただきたい。
藤井文法が何より優れているのは、単に分析的な視点だけではなく、日本人としての感覚に背かないところだと思う。
どうだろうか。私自身は非常に「しっくりくる」のだが。
前述の通り、門外漢である私が文語文法の再構成を考えるようになったきっかけは、所謂学校文法への疑念である。端的に言うと、用言の「活用」なるものは、無理やり表にして暗記するものではなく、「語幹」と「語を構成する部材(助動辞)」、それに「音便」が適用されたものとして再構成すべきではないかという直感だ。
助動詞「べし」の接続について、教科書にはこうある。
「活用語の終止形(ラ変・ラ変型の活用語には連体形に接続)」
ラ変の終止形が「リ」なので使えず無理やり「連体形」としているが「uに接続する」というだけのことだ。簡単なことが難しく書かれている。活用型に囚われ過ぎではないか。
藤井文法をはじめとする先人の成果を押さえつつ、学生さんが「感覚的にしっくり」し、「最小限の原則」で覚えられ、暗記の負担が可能な限り抑えられるような体系を作りたい。



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