「私が検事としてやるべき最後のこと」元大阪地検トップから性暴力受けた女性現職検事、“辞職覚悟”の要望書提出
「検察の恥部がさらされるのを嫌がっているのではないか」
ひかりさん側は、検察組織の対応に二重三重の構造的問題があると主張している。 第1に、ひかりさん側が訴えるのは安全配慮義務の不履行だ。主治医は、加害者との分離がなければPTSDが悪化すると警告していたにもかかわらず、検察庁は副検事をひかりさんと同じフロアに配置し続けた。 ひかりさんが復職を試みた2024年7月、副検事の捜査妨害行為や誹謗中傷について一切の説明がないまま、同じ部署に復帰させられた。副検事はひかりさんの行動を監視し、面白おかしく他の職員に吹聴していたと、ひかりさんは主張する。 第2に、ひかりさん側が問題視するのは公益通報に対する報復的対応だ。ひかりさんは副検事の犯罪行為が検察内部で隠蔽されていると考え、2024年10月に記者会見で公表した。すると大阪高検の幹部検事は、ひかりさんに対して「外部に話せば、被害者参加人としての説明や証拠開示をしなくなる」との趣旨を伝えるメールを送付したとされる。田中弁護士はこれを「公益通報者保護法に違反する不利益取り扱い」と断じた。 第3に、訴状で指摘されているのが、ひかりさんの被害者参加人としての権利の侵害だ。ひかりさんは検察官に対し、北川被告の行為によりPTSDになった点について「致傷」とする訴因変更(※)を繰り返し要望してきたが、検察官はこれを拒否し、理由の説明もしていないという。 ※審理中に、検察官が起訴状に記載した訴因(犯罪に該当する具体的事実)または罰条を変更、追加、撤回すること(刑事訴訟法312条1項参照)。訴因変更されると変更後の訴因が審判対象となる 田中弁護士は「PTSDを致傷として認めた裁判例は多数あり、因果関係を否定した例はほぼ存在しない。訴因変更しない合理的理由は見出しがたい」と指摘し、「致傷罪にすると裁判員裁判になる。検察はより多くの国民の目に検察の恥部がさらされるのを嫌がっているのではないか」との見方を示した。
「私が検事としてやるべき最後のこと」
ひかりさんは会見の終盤、次のようにコメントした。 「今回、要望書には、3月31日までに、この要望事項を実行しなければ、私はもう国が安全配慮義務を放棄したと判断せざるをえないので、辞職をせざるを得ないと記載しました。 ただ、検事として、犯罪を見て見過ごすわけにはいきません。私が検事としてやるべき最後のこととして、辞職前に職を賭して、検察の環境の改善と、ハラスメントをなくしたいと考えています。 私はもう戻れないかもしれませんが、私の大事な仲間が一生懸命働いてます。彼ら彼女らが私と同じ目に遭わないようにしてあげたいです」(ひかりさん)
弁護士JPニュース編集部
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