夜の事務所
甘奈「プロデューサーさん。まだ帰らないの? もう8時過ぎてるよ?」
P「ああ。もう少ししたら帰るよ」
甘奈「あんまり無理しちゃダメだよ?」
P「わかってる。明日は休みだから、すっきり片付けてから帰りたいだけだよ」
甘奈「ならいいけど……」
P「甘奈も明日はオフだろう? ゆっくり羽を伸ばしてくれ」
甘奈「うん。ありがと……じゃあ、お先に失礼します」
P「おう。お疲れ様」
ガチャ、バタン
P「……さて、もうひと頑張りだな」
P「釘を刺されちゃったことだし、さくっと終わらせて俺も帰ろう」
チュンチュン
P「………」
P「………」
P「寝落ちして朝まで寝てしまった……」
P「結局微妙に仕事残ってるし、いっそ全部終わらせてから帰るか」
P「こんなの甘奈に見られたら怒られちゃうな。ははっ」
甘奈「おはよう、プロデューサーさん☆」
P「………」
甘奈「よかったね。大好きな事務所で眠れて」
P「……甘奈。なんでここに。今日はオフのはずじゃ」
甘奈「プロデューサーさんと同じだよ。休日出勤ってやつ☆」
P「………」
P「い、いや~うっかりしてたな! もう朝か! じゃあ俺はこの辺で失礼するよ! 甘奈も自主練はほどほどにして休みの日はしっかり休むんだぞ!」スタスタ
P(とにかく、ここは気まずくなる前にこの場を去って――)
甘奈「プロデューサーさん」
P「………」ビクッ
甘奈「そんなに急がなくたっていいんじゃないかな? 今日はお休みなんでしょ?」
P「あ、ああ。でも」
甘奈「座ってよ☆」
P「………はい」
甘奈「はい、どーぞ♪ 卵焼きだよ」
P「いい匂いがすると思ったら……作ってくれたのか」
甘奈「まだまだおかずあるからね。どうせ昨日の夜も何も食べてないんでしょ? だったらせめて、朝ごはんくらいはちゃんと食べてくださいっ」
P「すまん……」
甘奈「謝るんじゃなくて、もっと他に言うことあると思うんだけどな~」
P「………」
P「いただきます!」
甘奈「めしあがれ☆」
P「がつがつ」モグモグ
甘奈「おいしい?」
P「うん。すごくおいしいよ」
甘奈「よかった~。プロデューサーさん、前に甘すぎないのが好きって言ってたから、そこ意識してみたんだ」
P「流石だな。甘奈はきっと、できた奥さんになるだろうな」
甘奈「えっへへ~☆」
P「もぐもぐ」
甘奈「………誰の奥さんになるの?」
P「ごほっごほっ!!」
甘奈「わわっ、大丈夫!? お茶お茶」
P「あ、ああ。ありがとう……」
甘奈「えへへ、ちょっと悪いこと言っちゃった」
P「自覚あるのなら控えてくれ……とは言えないな。今日の俺じゃ」
甘奈「そうだよ。忘れ物取りに来たら、プロデューサーさんがスーツのままソファーで寝てるんだもん。びっくりして寝顔撮っちゃった」
P「自主練に来たんじゃなかったのか」
甘奈「誰かさんと違って、オフの日はしっかり羽を伸ばそうと思ったからねー」
P「う……じゃあ休日出勤っていうのは」
甘奈「休日に出勤してるのはホントだし」
P「『勤』ではなくないか?」
甘奈「あ、確かに。そうかも」
P「ははっ」
甘奈「えへへ」
P「俺の寝顔撮ったのか?」
甘奈「えへへ」
P「消してくれないか?」
甘奈「えっへへ☆」
P「ごちそうさまでした」
甘奈「お粗末様でした」
P「洗い物は俺がやるよ」
甘奈「いいよ、甘奈がやるから」
P「そういうわけにもいかないよ」
甘奈「いいってば。それより、プロデューサーさんはお仕事片付けたいんでしょ?」
P「……やっぱり聞こえてたか」
甘奈「ばっちり。……あとちょっとなんだよね?」
P「ああ。それは本当だ。昨日甘奈と別れた時点であとちょっとで、そのちょっとを終わらせる前に寝落ちしただけ」
甘奈「それ、よっぽど疲れてる証拠じゃないかな~」
P「すまん……」
甘奈「あはは。なんか今日のプロデューサーさん、謝ってばっかりだね」
P「すまん……あ」
甘奈「まあ、仕方なかったってことでいいんじゃないかな☆」
甘奈「というわけで、プロデューサーさんはお仕事! 甘奈は洗い物兼プロデューサーさんの監視! これで決まりっ」
P「ありがとう」
甘奈「あ、でもその前にシャワーだけ浴びてきたら?」
P「シャワー……」
P「……ごめん。俺、汗臭いよな……」シュン
甘奈「あ、いやそうじゃないって! シャワー浴びたほうがすっきりすると思っただけで」
P「もうおっさんだからな、俺も」
甘奈「それに、甘奈は嫌いな匂いじゃないし」
P「え?」
甘奈「あ」
P「………」
甘奈「………」
P「シャワー、行ってきます」
甘奈「ごゆっくりどうぞ」
P「………」カタカタ
甘奈「………」ジーー
P「………」カタカタカタ
甘奈「………」ジーーー
P「……甘奈」
甘奈「ん?」
P「なんでずっと見てるんだ?」
甘奈「監視するって言ったじゃん」
P「いや……それはわかるんだが。本当に片時も逃さず見続ける必要はないんじゃないか」
甘奈「まあ、そうなんだけど……なんか、新鮮だなーって」
P「新鮮?」
甘奈「今のプロデューサーさん、スーツじゃないし、髪型もぼさっとしてるし。いつもと全然違うから」
P「シャワー浴びたときに着替えたし、ワックスもつけてないからな」
甘奈「なんだか、日曜日のパパって感じ」
P「ははっ。日曜日のパパか。じゃあ甘奈は、パパを手伝ってくれる娘さんかな」
甘奈「娘かぁ」
P「不満そうだな」
甘奈「甘奈ポイントが貯まる別の回答があるんだけどな~」
P「ちなみに、甘奈的にはどっちがいいかな。普段の俺と今の俺」
甘奈「プロデューサーさんはどっちでもかっこいいよ」
P「そ、そうか……」
甘奈「照れてる?」
P「ご、ごほん! ほら、俺はもう心配いらないから、甘奈も好きなことしてていいぞ!」
甘奈「もうしてるから大丈夫♪」
いいオチ