やり投げ、ブリッジ…山本由伸投手の個性派トレーニングはゴルファーにも効果てきめん?
特に「正しく立つ」ということを重視している矢田氏の理論は、ゴルフとの親和性が高い。「振り方、打ち方の前に自分はそこに安定して立てているかどうか。ただ真っすぐ立つということだけでも、姿勢、呼吸、集中の調整能力…これだけやらないと立てません。(スイング理論など)答えを求める前に、自分の問題に気づくこと。その問題を自分のなかで見つけることの一つのヒントになります」。例えば身体のゆがみを数値化して右股関節に力みがあるとが分かれば、アドレスにおいて意識するポイントも具体的になる。 ゴルファーのトレーニングといえば、飛距離に直結する筋力アップをイメージすることが多い。矢田氏の理論は、その前段階にあるものという考え方もできる。 「ここの筋肉を一生懸命つけましょう、とかプラスのことをやる前に、マイナスをなくした方が早いと捉えていただけたら。身体がニュートラルな状態になった、自分の最適化が終わった、だからいまの自分の状態で一番いいショットができますよ、と。うまくなる以前に、会心のプレーが増えると思います」 ブリッジなど、山本投手の代表的なエクササイズもゴルファーに効果的だと太鼓判を押す。「山本くんがやっているBCエクササイズというのは、体性神経、力ずくでは、筋肉ではできないものばかり。『なぜできないのか?』を突き詰めて、工夫して、いろんなものを総動員することによって、体性神経ではなく自律神経で身体を動かすという優位さの逆転が起きます。山本くんが受けられるはずのない(至近距離の)ピッチャー返しをサッと受けられるのは、エクササイズを通じて自律神経の調整能力がどんどん上がっている背景があるからです」。自律神経には、超集中状態いわゆる“ゾーン”とも深く関わる副交感神経が含まれるため、野球に限らず最高のパフォーマンスを引き出すことが期待できる。 昨季ワールドシリーズのMVP、言ってみれば“世界一の投手”を支える矢田氏は、膨大な時間を費やした研究成果をアマチュアゴルファーのような一般向けにもどんどん広めていきたいと考えている。自らのメソッドと最先端のAI技術を組み合わせて専門知識の理解を助ける「KINETIC LAB-Link」は、その夢を形にしていくものだ。「多くのゴルファーに活用していただいて、これから生き生きと生きていくためのツールとしてゴルフを利用できるように」と今後の展開に目を輝かせた。