y-129
仮想空間は
どこまでも
きらびやかになり、
なのに
水道管すら
維持できないくらいに
現実は寂れていく
デジタルテクノロジーの発展は、
現実の解をもたらすよりも、
かえって
うちにこもる方に
膨張するばかりで、
フェルミのパラドックスへの回答は、
単純に
物理的世界の攻略の
難易度の高さを
意味したものかもしれない
ロケットは、
未だに不具合や爆発を
繰り返し、
なんで暗闇を目指しているんだ?と
ついにロマンから白けて、
皆、
夢から覚めた
様子であった
「物理世界の重さ」と
「情報世界の軽さ」が際立つ
仮想世界は
「現実の上に乗る層」に過ぎない。
それは認めよう
ならば、
ゆえに――
『インフラが
続くのか、
朽ちるのか、
問題は
それだけだ』
そういう世界へと
人類は
行きついたのである!
神は天にいるのではなく、
地下の配管と
頭上の電線に宿っているのだと。
『インフラ・アニミズム』の誕生である
ついに
人類は、
水道管を
『聖杯』と尊び、
サーバーを
冷やす水が
満ちていることに感謝し、
電信柱を
『世界樹』として崇め、
断線しないように
注連縄を張り、
供物を捧げた。
技術者たちは
「神官」として配管を撫で、
超音波でヒビを探す行為は
「お告げを聴く儀式」と化していた。
電子の海に
身を沈めることを
宿命と受け入れた彼らは、
股間ばかりか
頭頂部の毛さえも
無益なことだと
『エチケットゾーン』の
概念は
無限の拡大を見せて、
ついに人類は
おのれの
肉体から
いっさいのしげみを
駆逐することを
史上初めて
達成した。
未来人は皆、
老いも若きも
ツルツルに
なったのであった。
どれだけ
むき身の
落花生に
近づけるのか――
人類の到達点は、
旧人類の想像を
はるかに
超えていた。
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