幣カルデアの異聞禄
おそばせながらお誕生日おめでとうございますのフォロワーさんに、愛だけしか籠ってない駄文を。幣カルデア時空なセタンタさま実装したらいいのになを込めた話。
セタンタさまはクー・フーリン族の中で上位層にいそうだし、セイバーと思ってたらそれだとエミヤに優位になれないからバーサーカーになって実装されたらいいのにという気持ち。子供だから感情のそういう抑えとか効かないしわがままだしオレのものって思ったらオレのものにするためになんでもして欲しいなとおもいました。
駄文でもうしわけないですが、ハッピーバースデーでした。御祝いもうしわえまするー。
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まだ残る特異点の中で制圧ができておらず、素材とその安定のための敵の掃討にと『バビロニアは見た事なかったよね。ジャガーマン居た所だから見に行こうよ』等というマスターにより強い敵はそんなにいないからもう大丈夫だと、ぐいぐいと引っ張られてキッチンの作業が忙しくなる前に戻ることを約束してレイシフト要因に連れていかれた時から、もう己の幸運値の低さは発揮されていたのかもしれない。やっとあと一人のメンバー揃ったと、どうやら周回人員の交代を探していたのだろう。急いでいるからと引っ張られたため礼装を持たされてないと気付いた時にはマスターは準備の段階になっていて、入れ違いに開放されたのだろうランサーのクー・フーリンに、ないよりはましだろうからこれでも持っていけ、と本人の着けていた絆礼装を渡されて、本当にないよりはまし程度のそれを着けてコフィンに入るマスターに習いレイシフトに備えた……までは良かった。
目が覚めると、そこは魔力の濃い深い森の中だった。話に聞いていたバビロニアよりも空気は冷たく感じる。そして何より誰も居ない。見事に一人だけ飛ばされたと言う事らしい。
「……絶対、これは奴の不運まで擦り付けられた、と言う事だろうな」
深い深いため息を吐き出しながら、まだマスターが一人になる事態に陥ったわけではなくて良かったと思うものの、自身だけだからここでカルデアからの救援を待つとしても霊脈となる場所を探しても上手くいくかどうか不安なところだ。
唯一可能性としては、エミヤの霊基だけではなく、疫病神の御札にしか見えないクー・フーリンの礼装も、本人との縁深いものとなるのであれば、そこから辿る事もできるかもしれない。しかし、それを待つには空気中の魔力が強く酩酊状態に気を抜けばなってしまいそうなこの場で上手く取り込み、少しでも存在していなければならないだろう。
「第一、ここはどこだろうな……」
バビロニアに匹敵するような魔力の濃さの残るからには、古代だろう。そして、神秘が多く残っていそうだが空気の冷たさからして南の方ではない。北緯が高い森となれば、北欧当たりが怪しい。一瞬ちらつく可能性は可能な限り見ないようにしようとしながら木々の間を飛び、少しでも開けた場所はないかと走っていると。チクリと何かが刺さる。
実際に刺さったわけではない。しかし、何か此方の感覚に訴えかけるような何かが肌に感じるのに、エミヤが眉を寄せながら走るのを止め高い枝に立ったまま見下ろせば、地上に何かきらりと光るものが見えた。
それが何か、確認しようと目を凝らすよりも先に己の優秀な目は少し離れた所に居る巨大な魔猪を発見した。まだこちらには気付いてはいないが、気付かれるのも時間の問題だろう。魔猪は総じて鼻が良い。それに、エミヤに気付かなくてもあの体躯で木々にぶつかってこられては危険だ。
魔力の残存はまだある。どれくらいの事ができるのかも確認は必要だし、何よりも魔猪ならばそのまま肉も手に入る。幸い川も近くにあるからには血抜きは少しは楽に行えるだろう。
マスターと再会するまでの時間、生き延びる為にも色々必要になる。
「申し訳ないが、糧になってもらおう」
投影した弓に剣を添わせるように番えると、スッと魔猪の眉間を狙い放った。
投影を行い遠距離での一撃と近づいてからの剣での二撃。投影する剣の数も最小限なるべく急所を狙い倒れた体を川にと引きずりこみ血抜きと解体を行うのに3本。投影は5本の剣と少しの労力でここまで来たが、残りは三分の2位と言ったところだろう、と魔力が消費したことで一層一層感じる空気に混じる魔力の濃さにあえぐように息を吐き出すと木にもたれかかる。眩暈は渇望した魔力を取り込みたいと体が欲するのに頭が着いていけないから、と酒が弱い人間がアルコールを蒸発させた部屋に入るようなものだと以前教えられたのを思い出し、吸収のままならない空気に心の中で悪態をつきながら少しだけ、と自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。
「こんなことならば……キャスターの方が、よかったかもな……」
彼の持っている礼装とルーンストーンだったらばもう少し今の状況を打破できていたのでは、とランサーが聴いたらきっと怒るだろう事を考えながらエミヤは意識を飛ばした。
パチパチと近くで火の爆ぜる音が聞こえる。意識を飛ばしたあの瞬間には、焚火などしていなかったのに、とぼんやりと浮上する意識が火の側にある気配を感じ取り、一気にビリっと全身に緊張が走る。誰かが、傍にいる。何かが掛けられている様子からすると、敵意は一応は無いらしい。相手の反応もまだ寝ているからだろう、時折気にするようにこちらを見る視線を感じるがそれ以外は特に何も感じない。害意はないらしい。寝たふりから相手を強襲することはしないで済むようだ。
「ん……ぅんん……」
わざとらしくこれから起きますという事をアピールするように声を漏らすと、視線が向くのを感じる。
「おい、大丈夫か? やっと目覚めたか…」
思ったよりも高く幼い声が聞こえる。そっと目を開きこちらを覗き込んで来る子供の顏を見て思わず固まってしまった。
「どうした? おい、どこか痛いのか?」
心配そうに顔を覗きこみ様子をうかがう赤い瞳。少し柔和な明るい笑みを浮かべて人懐っこい子犬のようにこちらの様子など構わずに触れてきた手は、すでに剣術の蛸ができている固い手だった。さらりとかかる青い髪には煌びやかな宝石が飾られている。まさしく光の御子と言う装いで、叶う事ならば今すぐ座に帰りたいと発作的に剣を投影し突きささなかった事を褒めて欲しいとエミヤは遠い所へ助けを求めるように心の中で呟いた。
「……ここは、それに、きみは……?」
答えは既に知っている、というか察している。しかし、もし万が一違っていたら良いのにという一縷の望みをかけて問いかけると、子供はにっこりと笑い答えた。
「ここは、エリンの地。ドルイドの森だ。オレはセタンタ。お前、見かけない顏だな。この場所でオレの事を知らない奴はいないが、どこからきた?」
どこから来た、と問われてどこまで答えるべきだろうかとエミヤが言葉に詰まる。
「……君の知らない遠い遠い場所から迷い込んだらしい。すまない、迷惑をかけたようだ。数日すれば調子も良くなって戻れるだろう。この森に暫くいても構わないだろうか?」
決して嘘は言ってはいないが正しい事を言わずにぼやかしたエミヤは早々に、この場から離れることができないだろうかと、なるべく関心を向けないように、そして相手にも向けられないようにと願いながらそろそろと距離を取った。
「具合が悪いのならば、オレの所に来るか? ここからそう遠くはない。それに、あのイノシシを見たが、お前の腕は相当に良いようだな。強い戦士ならばなおの事来てくれたら皆喜ぶ」
暗に断っているのだから、それを無視して誘うな、嫌がっているのを察しろ、と言いたいところを何とか飲み込むとジリジリと後ずさる。
「私はここである人からの連絡を待たなければならないから、それはご遠慮させていただこう。それよりも、君は帰らなくていいのか? 光の御子殿がこんな場所にいては心配をかけるのではないか?」
そっと放れた分を取り戻すようにじりじりとまた近づいてきた子供の顔は、どこかキャスターにも似た妖しい雰囲気を出している。神性が強いとこういう顏になるのだろうか。蛇に睨まれたカエルと言うのはこういうことなのだろうか、と思わず逃避して考えてしまう程、その目線に縛られたように動けなくなる。
「……お前、どうやらオレを知っているようだな。知らないふりをしているのに、実は知っていた、と……」
すっと目を細めエミヤを見ていた目線が、何かを確認するようにエミヤの顏から体へと向けられる。
「噂で聞いたことはあるが、実際見たことは無いということもある。もう、いいだろう? 私は何か目的があってここに来たわけではない。ただどこか落ち着いた場所で迎えを待ちたいだけだ」
うっかり漏らした『光の御子』という言葉に引っ掛かりを覚えてしまったらしい。しかしまさか『死んだあと英霊になった君と何度も戦った』などということを言うわけにはいかない。しかし、それが話せない為に怪しまれても戦うつもりなどないし、生前であるはずのこの時代の彼に自分との腐れ縁を先に知られることなどあってはいけない。彼の話す生前の話に怪しい男が出てきたりなどはしていない。だから、今も少しでも早く興味を失くしてもらう事しかできない。何をされようとも彼の記憶に残るような事はしないようにせねばなるまいと強く心に決めてエミヤはじりじりと後ずさった。
「今日、託宣は下った。オレの生涯について流星のように輝き短い時を駆けるだろうと。そして、オレは今日、死しても続く運命に会うと言われた」
下がった分だけ進み、鞘をしたまま突き付けられた剣は喉元につきつけられている。一瞬これがあのクルージーンだろうか、と解析をしそうになるのを抑える。しかし、エミヤも先程からちらつく考えがある。この場から去りそして相手の記憶からも早く消えるならば、このままこの場から消えるのがもしかしたら一番早いのかもしれない、と。そんなことを考えていると、不意に剣が下り代わりに頭を強くつかまれた。
「お前が、このセタンタの運命になる。そうだろう?」
「……それは、違う」
ばちっと胸元に伸びた手が静電気か何かに触れたように弾かれたが、それには構わず子供だと言うのに信じられないような強い力でエミヤの胸元をぐいっと引っ張り胸に手を当てた。
「ここから、オレの魔力を感じる。それだけではない、強い呪いも一緒に感じる。お前の心臓はオレのものだ、と」
心臓にあてていた小さな手が離れると、そのまま顔を近づけ伏せた目を覗き込んで来る。
「お前のその目は良い。不思議な色をしている……」
目線を合わさないようにするのも限界で、ちらりと視線を相手に向ければ、近い距離から赤い瞳がこちらの目を覗き込んで来るのに思わず硬直してしまう。神性の強さ故か、整った顔立ちに思わず見惚れたのか。どちらにしろ自分の未熟を思い知らされるようで不名誉な事この上ない。
「改めて言おう。私は、君の運命ではない。少なくとも、今の君の運命ではないことは確かだ」
言葉を紡ぎそう言えば、きつく眉根がより鼻にまで不機嫌そうに皺が寄る。
「いんや、オレが今決めた。お前はオレが貰い受ける。そうせねばならんと心臓がざわついてくる」
「なぜそうなる!? 貴様とは殺し合いの腐れ縁なだけだ! 君にそのような縁などつながるはずが……」
思わず関係性を漏らしてしまったのは、ここの空気で魔力酔いをしていたからだろうか。自分と彼は腐れ縁で何度も殺し合いを繰り返し、今は仲間として共に戦うが今まで顔を合わせていた分お互い話しやすいというだけの存在。その縁がある事を生前の者に漏らしてしまったことに焦りもするが、エミヤから溢された言葉に満足したように青い頭は頷き揺れた。
「どうやら、これから先に出会うということらしいな。その様子から察するに、未来のオレはお前を手に入れているわけではないのか」
それは、残念だと呟く声と、それならばと指先がエミヤの胸の前で動くとルーン文字を刻み次の瞬間にはエミヤの体が一気に重くなり自分の意思とは裏腹にぐったりとしていく。
「なに、を、した……?」
苦々し気に言葉を紡ぐとにっこりと当然のように牙を隠した子犬の顔で答えた。
「未来でオレがまだできてないというならば、オレが今お前をオレの物にすれば未来は変わる。オレはお前を気に入った、と言ったはずだ」
近づいてくる顏にふざけるなと殴りつけようと手を伸ばすが、ふにゃふにゃと力の入らない手は相手に取られ逆に引き寄せられてしまう。
「どうも、お前は存在が希薄すぎるから魔力を取らせた方が良いようだと思ったが……。どうにも使い魔のようだが、お前は随分ひ弱なんだな。未来というのはこれだけ人は弱くなるのか……」
ぐったりと意識を飛ばしたエミヤは最後まで聞くことは無かったが、セタンタには最初からこのドルイドの示した運命が、人ならざる者であることを理解していた。いや、ドルイドの託宣が戦士として生き全てが終わった後に出会う運命と言っていたからだろう。この落ちている男を見た時これが、その死んだあとに出会う運命かと納得した。卓越した技能は持っているが、希薄な存在にどうやってか自分もなるのだろう、という予感。
「どうやら、未来のオレはヘタレならしいな」
胸に手を当てれば、共鳴するように己の受けた託宣と同じ想いの結晶を感じることができる。縁を少しでも強くしたいと願う思いの塊が。因果を逆転させ、過去の自分に会うことで互いの縁を強くしたいなどと随分回りくどいことをしているようだ、大人の自分は。
「欲しいものは手に入れる。どんなことをしても、だ……」
眠る男の額に口付けると、この男への祝福のように言葉を刻む。このまま連れ帰り側にずと置いて置けることができるのならば、それはそれでよし。もし、離れることになっても、己の物であると刻み込んだこの証があれば自分のモノにできるだろう。
「ああ、死後と言うものも楽しみになったぞ」
子供らしからぬ老獪な顔で笑うと、消えかかった体を維持させるように何度も口付けを落とすがどうやら空気中の魔力濃度の高さに体が着いて行けず逆に飽和状態となり魔力が流出してしまっているのだろう。結局意識を戻すことはなく、三日目の夜に忽然と姿を消した。その前に、何かがやがやと騒がしい声と遠くからの何らかの力を感じたからには、最初に話していた迎えとやらだったのかもしれない。
死んだあとにも運命と言うものがあり、あの男は殺し合いができるのだと言っていた。ならば、悔いなく好きに生きた後、あの男を手に入れる運命に挑めばいい。あの男と戦うことができる、戦ってそれで勝ち取る。それは一番シンプルで解りやすい目標になる。ならばそう、そのためにもっと強くなろうとセタンタは誓った。
「いやあ、まさか君一人だけいなくなってしまうなんてねぇ。しかも、他人の絆礼装を着けるとなるなんて、面白い現象だ。今回は、慌てていて礼装を欠いていた君に『親切心』でランサーのクー・フーリンが無いよりはマシ、と着けるように渡した、なんて善意からの行動だからねぇ。誰も悪くないしただの災難だった……で、済むならばそれで済ましておくれよ」
返るなりメディカルチェックをおこなわれ、疲れたと三回に一回は言いながらも、悪くないといちおうは行ってくるダ・ヴィンチに、お礼に料理を持っていくからと何とか宥め、落ち着いてもらったり、明らかに消えかけの霊基に焦り半泣きになったマスターにより乞われたライダーのイシュタルから無理やり魔量を秘めた宝石を口に押し込められたりと散々な目に遭ってエミヤは何とか通常の生活に戻った。やっと落ち着いて日常が過ごせると思った矢先、マスターに呼ばれエミヤは召喚ルームに来ていた。エミヤがカルデアに戻ってから、どうにもまた詰まっているかのようにカルデアの召喚陣がうまく動かなくなってしまった、というのだ。
「また、何か詰まっているんじゃないか? ほら、キャスターの時もそうだったじゃないか」
「え、何々、槍ナシがどうかしたのか?」
興味深いと聞いてくるランサーのクー・フーリンにキャスターが黙ってろと言い返す。縁ができ、特異点を修復後に着いてきてくれたものの、そんな相手の顕現など予測もしていなかったカルデアで、一時期召喚陣がどうあっても礼装すら吐き出さないというバグが起きたことがあった。それは、から回ししてキャスターを取り出すという、『キャスニキ召喚陣で詰まってる事件』としてこのカルデアでは語り継がれてる出来事だった。そんな思い出話をキャスターに邪魔されながら行っているのを眺めながら、エミヤは少し気まずげにクー・フーリン達と距離を置いた。
「いや、しかしなんで彼らも一緒なんだ?」
来なくても良いのに、とつい先日のセタンタとの遭遇で少し距離を置いておきたい気持ちになっているエミヤとは裏腹に、何故か前よりも視界に入るようになった二人に辟易としながら問いかけると、マスターも首を傾げる。
「んー、キャスニキは前のこともあるし、同じようになっていないかって呼んだけど、ヤリニキはエミヤと単に一緒に居たいだけじゃないの?」
探している時に随分憔悴していたし、と呟くマスターに、そんなことないとキャンキャンと吠えかかっている。憔悴しないでもいいから、気にしてくれる程度してくれているならば、放っておいて欲しい。
「まぁ、そういう冗談は置いといて。一度そのまま回してみればいいのではないか? 前の石のエネルギーも残っているだろうし、何かのきっかけで回して出るかもしれないからな」
試してみるか、と手を添えると かちりと何かがはまる音がした。そしてビリビリと何か空間を割くような激しいその振動はどうやら神性の特攻でもあるのか、クー・フーリン達がそろって倒れている。
「マスター、大丈夫か!」
「あ、アニキたち!? おれは、大丈夫。エミヤは大丈……ぶ…?」
慌てて何を指さしてくるマスターの様子に首を傾げながらも、エミヤがマスターを守るように倒れたクー・フーリン達に駆け寄ろうとしたその時、一際大きく輝いた光の柱の中からにゅっと伸びた白い手に腕を掴まれた。
「なっ!?」
「やっと、縁がつながった、か。やっとオレが運命に辿り着けたな」
晴れやかに笑った子供の顔に、ぐっと声が詰まる。まるで、生前のあの時を覚えているような素振に、今までそんな事口にもしなかったランサーやキャスター達を見やる。
「大丈夫だ。この記憶はオレだけの持ってきているものだ。迎えに来たぞ、オレの運命。あの日の運命は定まりずっとオレは内で待っていたが一向にお前がこないからな。奪いに来た」
強すぎる力に眉を寄せれば、すまないと笑いながら子供が伸びあがり両手を伸ばす。だっこをせがむようなその態度に似つかわしく無い言葉も、だめなのかとこちらを見つめるしょんぼりとした顏に流されつい甘やかしたくなってしまうのも、これは神性の強い子供故だろうか。
「エミヤ、知り合い…なの? っていうか、ずるい、だっこしてる!」
なんか見たことあるような子だね、と覗き込むマスターの肩に、ランサーとキャスターの手がかかる。
「ってぇ……この野郎、無理やり座と俺達の霊基使って顕現しやがった……」
「つーか、エミヤお前さんコイツと縁を個別に結んだってのか……? 俺も槍持ちもそんな記憶ねぇが……」
唸る二人に、床に座り込んだままのプロトが額を抑えながら首を振る。
「後生大事にしまい込んでたんだろう? あーあ、お二人さんご愁傷様だ」
オレは関係からな、と言い含めると己は随分と小さかったのだなと思いながら早々に部屋を退散していく。この後の事を予測しているのだろう。
「マスター、オレの世話係はエミヤにしてくれ。オレの運命なんだ。片時も離れない」
「いや、それは無理だ。私にも仕事があるし、第一なぜそんなに私に懐くんだ……」
理解できないというエミヤに構わず抱き着き甘えるセタンタに、キャスターとランサーが掴みはがそうとするが、思い切り振られた剣により飛ばされる。
「ってめぇ、セイバークラスかと思ってたら、バーサーカーかよ!」
「そりゃ、話きかねぇわな」
納得だと頷くキャスターに、なんでオルタ以外でもこんな属性になってるんだとランサーが吠えるが全くそんな事など気にしない子供はにこりと笑い困惑しているエミヤを見やる。
「セイバーはアーチャーに弱い属性になると学んできたからな。アーチャーに有利になるようなクラスで他の俺にも強いように願ってきた。大人のオレに任せてらんないから、オレがエミヤを貰い受ける為にもクラスくらい有利にならないとな」
お前らに負けないから、と強気に笑うと事に流され見守っているマスターや二人の前で、どうしたらいいのか解らないまま固まっているエミヤの両頬を包むとちゅっと唇を重ねた。
「なっ、なんでさっ!?」
「契約の証だ。気は長い方ではないが、ちゃんと口説き落としてから先には進むから安心してオレに口説かれていいぞ、エミヤ?」
宣戦布告と契約を兼てのキスだから次はオマエからしてくれる仲になってからしようなと、もう自信満々に言い切るセタンタに気が遠くなるような気持ちでエミヤは詰め寄って言いあいを始めたまた増えたクー・フーリン達に頭痛しか感じないと頭を押さえながらマスターの肩に手を置いた。
「エミヤ……」
「マスター、これ以上クー・フーリンが増えるようなら私をレアプリズムに変えてくれ……」
波乱しか起きない気がすると悲痛な願いを述べるエミヤに、そうならないように誰かを応援してくっつけた方がいいのだろうかと真剣に悩むマスターがいた。
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- そーAugust 10, 2018