自動販売機大国ニッポンに異変? なぜ25年間で170万台も消えたのか 「置くだけでもうかる」は過去の話 中東情勢の悪化も原因に
「赤ちゃん用の紙パックのジュースが欲しくて自動販売機を探したのですが、最近はコンビニより探すのが難しいのですね」 【写真】「ヤバい」と物議をかもしている“炭酸コーヒー”はこちら そう語るのは専業主婦の30代の女性だ。 街のあちこちで見かけた自動販売機の台数が減っている。 3月16日、日本自動販売システム機械工業会が公表した「自動販売機普及台数」によると、ピークだった2000年は全国に約560万台あった自動販売機(飲料以外も含む)の台数が2025年12月末で約388万台となった。10年前と比較して2割以上減少した。 同日、「自動販売機大国ニッポンは過去の姿に」というリポートを発表したSOMPOインスティチュート・プラス公共政策調査部の上級研究員・小池理人さんはこう話す。 「私自身、飲み物は割安なドラッグストアで買うことが多いので、『自動販売機は誰が使っているのだろう?』と思っていたんです。メーカー各社も自動販売機を減らしたり、街中で実際に使っている人をあまり見かけなかったりするので、『物価が上がっている影響で自動販売機の役割も変わってきているのではないか』と感じています」 自動販売機が減っている理由の一つは、飲み物を買える店が増えていることがある。 ■ライバルの存在 2017年には、コンビニエンスストアは約5万5000店舗あったが2025年には約5万6000店舗に。スーパーマーケットも約2万2000店舗から約2万3000店舗に、ドラッグストアは約1万9000店舗から約2万3000店舗へと大きく増えている。 「飲み物を買える場所が増えたことで、わざわざ自動販売機で定価の飲み物を買う必要がなくなったことが、自動販売機の減少につながっているのだと思います」(小池さん) 海外と比べると、自動販売機は依然として多いものの、その環境は大きく変化している。 実際に、飲料メーカーも自動販売機の事業を見直している。サッポロホールディングスは自動販売機事業からの撤退を決め、ダイドーグループホールディングスや伊藤園は自動販売機に関する損失を計上。ポッカサッポロフード&ビバレッジは3月5日に自動販売機の事業を別の会社に売却することを発表し、伊藤園は5月に自動販売機の事業を子会社へ移す。また、ダイドーは全国に展開する27万台の自動販売機のうち、約2万台を撤去する予定だ。 さらに、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは2025年度に自動販売機事業の影響で大きな損失を計上し、最終赤字となった。 自動販売機ビジネスはまさに危機といえる。 「コンビニなどライバルの存在に加え、コスト構造も変わってきています。自動販売機に必要な電力や配送する時の燃料、そして現場で作業する人員、この3つのコストが上昇しています。そもそも、人員の確保も難しくなっています」(同)