ただいまー
...
ただいまー!
...返事がない
(足音)
(寝ている彼氏を見つける)
チッ(舌打ち)
おい... おい!
やっと起きたか
あんたさぁ
彼女が仕事から疲れて帰ってきてんのに
なに気持ちよさそうに寝てんだよ
は?
最近体の調子が特に悪い?
...はぁ(溜息)
あのさぁ
確かに、2、3年前から体が悪いのは知ってるけどさぁ
こっちはそんなあんたのために、営業でトップの成績維持しようと心身ともに削りながら朝から晩まで働いてんだよ
それなのにちょっと調子が悪いってだけで...
少しはさぁ、仕事を頑張る彼女を労わろうって気にならないわけ?
労わりたい気持ちはあるけど、体が動かない?
はぁ(溜息)
もういいわ
そうやってずっと言い訳しながら甘えてれば?
あーあ
こんなのと付き合うくらいなら
この前告白してきてくれた職場の先輩と付き合ったほうが幸せだったかもなぁ
え、何の話だ? って?
あれ?話してなかったっけ?
ちょっと前にさ、同じ営業部でトップ争いしている三つ年上の先輩に付き合おうって言われてさ
どうやら仕事ができる女の人がタイプみたいで、前から気になってたみたい
でもまぁ、私にはあんたみたいなのでも一応彼氏がいるから、お断りさせてもらったけど
それにほら、私顔がいいでしょ?
あの先輩以外にも、結構食事とか誘われたりするのよ
あんたみたいな顔も平凡で
やれと言われたこともできないようなダメ人間とは正反対な人間が
私の職場には山ほどいるのよ
もういっそのことあんたと別れて
その中の誰かと付き合っちゃおうかしら
ただまぁ、あんたは私がいないと生きていけなさそうだし
私もそこまで鬼じゃないから
仕方なく付き合ってあげてるけど
こっちはいつでもあんたを捨てられることを忘れないでね? ^^
それが分かったら、今後は気をつけt
(「別れよう」)
...は?
今、なんて...?
別れよう?...
あ、あんたっ! 今の話聞いてたの!?
こっちはあんたなんかいなくても生きていけるけど
そっちは私がいなきゃ、お金も住む場所も無くなるのよ!
いったいどうやって生きていくって言うの!?
まったく、体だけじゃなくて頭もおかしくなっちゃったのかしら?
まぁいいわ、今の言葉は一言謝れば忘れてあげるから
さっさとあやm...
え?実家の近くに、俺の体が悪いことを知っている友達がいる?
その人の職場で働かせてもらうことになったから、心配いらない?
家族も心配してるし...って
あ、あんた!私が働いている間にそんな勝手なことを!
勝手なのはわかってるけど、もう君の負担にはなりたくない?
ふ、負担なんて...
...そ、そうよ!とっても負担だったわ!
だからこそ、そんなダメ人間を養える人間なんて私ぐらいなんだからね!
私と別れたら、あんた一生結婚どころか、誰とも付き合えないかもしれないのよ!?
さ、最後のチャンスよ!今謝れば許してあげるわ
さぁ、どうする? ^^
(「気持ちは変わらない」)
気持ちは...変わらない...?
あ、あっそう!
もういいわよ!
実家でもなんでも行けば!
明日、私が働いている間に自分の荷物持ってさっさと出てってよね!
私と別れるなんて、一生後悔するんだからね!
(次の日の朝)
お、おはよう
じゃ、じゃあ私、仕事行くから...
ほ、本当に、実家に帰るの...よね?
(「うん」)
そ、そう...
(沈黙)
じゃ、じゃあこれが、最後の会話になるわね...
あ、あんたなんかと別れられて清々するわ!
さ、さぁて、次は誰と付き合おうかしら!
やっぱり、この間告白してくれた先輩かしら?
いや、同期に顔が良いのがいるから、その人でもいいわね!
はぁ、あなたという足枷がなくなってこれからが楽しみだわ!
あんたは可哀そうね!
体を悪くした上に、こんな彼女と別れることになるなんて!
(「幸せになってね」)
...え?
し、幸せになってね なんて...
あ、あんたなんかに言われなくても...幸せに...なるわよ...
じゃ、じゃあ私...もう行くから...
さ、さようなら!
(その日の夜)
「ガチャ」(扉を開ける音)
た、ただいまぁ...
...
返事はなし...か...
そりゃあ、そうか...
...
はぁ(溜息)
...ん?
このにおいは...
(部屋に向かう)(足音)
テーブルに、ハンバーグが置いてある...!
な、なーんだ!やっぱり考え直したのね!
それはそうよね!私がいなきゃ何もできないわよね!
どこにいるの?またぐっすり寝て...
(扉を開ける音)
ない...
ならお風呂!
(扉を開ける音)
にも...入ってない...
どこかに出かけてるのかしら...?
ん?手紙...?
「今までありがとうございました。
僕の体が悪くなり、仕事を辞めてからの約3年間、君ばかりに負担をかけていました。
僕が仕事を辞めた分、必死に働いてくれていた君が、家事もろくにできない僕と一緒にいてくれたこと、とても感謝しています。
昔はあんなに優しかったあなたも、この数か月は働いていない僕に対して、
仕事のストレスを発散するかのように、暴言を吐くようになってしまいました。
しかし、それもこれも全て、働けなくなってしまった僕の責任です。
これからは、僕のことは忘れて、新しい人と幸せになってください。
最後に、君が僕の料理の中で一番好きだと言ってくれていたハンバーグを作りました。
よかったら食べてください。
それでは、お元気で」
(沈黙)
(泣)-----------------------------
うぅ...いやだよぉ...
離れたくないよぉ...
私...私のせいだ...
体が悪くなったのは、彼のせいじゃないのに...
一番つらいのは彼だったのに...
仕事のストレスをぶつけて...
彼の気持ちを考えずに...
私、最低だ...
最低の人間だ...
あやまら...ないと...
--------------------------------
(電話を掛けたが出なかったため留守電でメッセージを残す彼女)
もしもし、私です
留守電で、メッセージを残させてもらいます
手紙...読みました...
本当にごめんなさい
私、あなたの気持ちを考えず...
ずっと...自分勝手なことをしてきました...
あなたの体が悪くなり、仕事を辞めてしまってから
あなたの分も頑張って働いて、何不自由ない生活をさせてあげようと思い
営業でもトップの成績を残せるくらい、必死に頑張りました
それなのに、馬鹿な私は空回りをしてしまい
仕事のストレスをあなたにぶつけるという、最低なことをし続けてしまいました
本当に反省しています...
無理を承知でお願いします
どうか...どうかまた帰ってきてくれないでしょうか
あなたを失って、初めて気づけました
私には、あなたが必要です
ずっと...ずっと待っています
(〇日後)
「ガチャ」(扉が開く音)
!!!
(涙ぐむ彼女)
(涙を拭い、少し間を開けて)
(涙笑顔)----------------
おかえりなさい!!!
---------------------------
(おまけ)
(〇か月後)
ただいまー
体大丈夫?
そっか、最近よくなってきたんだ
本当に良かった...
私?
私は全然元気よ!
前の仕事を辞めて、新しい職場に就いてからは給料は減ってしまったけど
毎日定時で帰れるようになって、あなたといる時間が増やせたもの
...私、今すごく幸せよ
これからも、よろしくね
愛してるわ
-END-
この手の作品で純愛END久々に読んだかもしれない。心に沁みる何かがありますね…//