ん…ん〜…!よく寝たよく寝た……
あ…ああ、おはようズボくん。君が登校したということは…
やっぱり…今日も予鈴ギリギリじゃないか。全く、隣の席の身にもなって欲しいねズボくん。君が遅いせいで私がこの時間まで寂しいんだ…。
寂しすぎて…ん〜まだ寝ていたいけれど。ズボくんと話せる時間になったのだから寝るわけにはいかないね。
なんだい?ズボくんって呼ばれたくない?いや、いやいや。それは無理だろ君。
直りきってないその寝癖もボタンを掛け違えたそのワイシャツも、左右で柄が違うその靴下も……
それらこそ、君が「ズボラなズボくん」である証拠じゃないか。
「じゃあお前もズボちゃんになるだろ」って?それも違うね。私は寝ていたんじゃなくて、君と接するための充電をしていたんだよ。
というか、別に私は君のこと貶してるわけじゃないしいいじゃないか。
ふふ、そう言わず安心したまえよ。私は君のそういうところが好きなんだ。
あぁ嘘じゃないよ、ほんとさ。そういう抜けてる君が好きなんだ。
ああ、一限?一限は…えーっと、論理表現だね。
ん、教科書忘れた?ふふ、やっぱり君の呼ばれ方はズボくんで良いだろうに。
お〜、おかえりズボくん。
珍しいこともあるもんだね。私としては、昼休みに私と会話するより優先するべきことが君にあるとは思わなかったんだがね。
へぇ、大事な用だったんだ。まぁ別にいいさ。別に…。それも君だからね。
ズボくん、起きたまえよ。もう帰る時間だよ。
え、「この時間までいたの」って…
はぁ…帰る時は駅まで一緒に行くのが私らのルーティーンだろう?そんなことまで忘れてしまうのかい?やっぱり君はズボくんだね…
え…
え?
え、なにそれ。一緒に行けない?
君、私といないと駅までの道すら迷ってしまうじゃないか。それなのに一人で帰るつもりかい?
まったく。私は教師から「君がいなくなった〜」だなんて話、聞きたくないよ?
え、一人じゃない?
彼女が……できた…??
もしかして昼休みのって……
なんでそんなにこやかに「そうだよー!」なんて言えるんだ…?
そんな、彼女だなんて…ズボくんはそんなことしないだろ…
ああ、独り言してしまってごめんね。
ズボくん、ちょっと失礼。
あれ…?あれれ?おかしいな…身長はズボくんそのものだ…重さも指紋も歯並びも…虹彩もなんら変わりない…
あれ?あれれ?
つまり…?ほんとにズボくんに彼女が?
いや、いやいやいやいやいやいや。
「どうしたの?」なんて言わないでくれ雁物。
お前は、お前はズボくんの体を使って彼女を作り
私を突き放そうとしているんだろう?
裡にいる君は分かっていないらしいから教えてやろう。
いいかい?ズボくんはそんな事しない。
ズボくんは一生独り身で一生私を傍に置いてくれて一生ズボくんのままなんだ。
君はなにもわかっちゃいない。
なにもわかっちゃいないのになんでズボくんの体を使う!
「落ち着け」…?落ち着けだと?私は落ち着いているしこの上なく冷静だ。
私は君と出会ってから、ずっと信奉して敬愛の眼差しを向け友愛を注いできたのに……
いや、私は信じないぞ。君が本物だなんてこと。
すぅ……はぁ………
私はね、ズボくんのことを崇拝すらしているんだ。あの髪あの目あの匂い…彼の総てが私を虜にさせた。
ずっと「私がズボくんの女になるだなんておこがましい」って思っていたけれど…
偽物なら…偽物ならば、なにをしようが構わないよね?
この「本物にはできないけどこんなとこするのは本物じゃ無いからしても大丈夫」理論大大大好き