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洗濯日和に/Novel by yosihito

洗濯日和に

1,367 character(s)2 mins

診断メーカーのお題、#同棲してる2人の日常 shindanmaker.com/719224 から。
「昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める」
を短文で書いてみました。楽しい。

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‪快晴。‬
秋晴れの休日の朝はまさに洗濯日和で、シーツやタオルケットなどの大物をまとめて片す事に士郎は決めた。
どうやら相棒も同じ考えだったようで、並んで洗い物をしながら、この後の段取りを軽く打ち合わせる。
シーツを布団から剥ぎ取る係と洗濯機に放り込む係に分かれ、それが終われば今度は洗濯機が回っている間に前日に干しておいた物を取り込んでいく。
この家の旧式の洗濯機では一度に洗える量は決して多くなく、全員分を処理するのにはそれなりに時間も手間もかかる。
なので、ようやく最後の回の分を干す頃にはすっかり日が昇りきってしまっていた。
秋の空は青く高く、ほどよく涼しい風が作業で汗ばんだ体をクールダウンしてくれている。
それを心地良く感じながら、士郎は縁側に座って洗濯物を畳み始めた。
柔軟剤のいい香りに混ざり、取り込んだ洗濯物からふわふわと立ち昇る日なたの匂いがあたりに漂っている。
真向かいには洗濯物を干している広い背中が見え、伝わってくる楽しげな様子に思わず頬が緩むのを止められない。
そうだよな、大物をまとめて干すの気持ちいいもんな。
「おい、手が止まっているぞ。何をぼけっと、」
小言を言おうと振り向いたアーチャーが、げ、という顔をして固まった。
「……貴様、なんだその顔は?」
「は?顔?顔がなんだって?」
「ーー何でもない!いいから、さっさとそれを畳んでしまえ!」
洗濯物の入っていた籠を乱暴に引っ掴むと、アーチャーは足音高く歩き去った。
ぽかんとした顔でその後ろ姿をしばし見送ったのちに、首を捻りながらも洗濯物を畳む作業に戻る。
が、おい、とすぐに呼びかけられて顔を上げた。
見れば、立ち去ったかと思ったアーチャーが廊下の先から顔を覗かせていた。
「昼食の希望はあるか?」
「? え、いや、特には……」
ちっという舌打ちが耳に届き、反射的に士郎の眉間に皺が寄る。
「何なんだよ!?お前はさっきから」
「リクエストはないのか、と言っているんだ」
「は?リクエストって、俺に?……お前が?」
そう言えば、遠目なため分かりづらいけれど、何となくアーチャーの頬が少し赤いような?と気づくのと、その彼がふいっと顔を背けるのはほぼ同時だった。
「……なければいい」
そのまま立ち去ろうとする背中を慌てて呼び止める。
「ま、待て、アーチャー!待てって!リクエストある!あるます!!」
慌てたためか、おかしな日本語になっているのには気づいたけれど、今は構っていられない。
「え、えっとだな、俺がいま食べたいのはーー」
慌ててメニューを挙げる姿が可笑しかったのか、アーチャーは小さく笑うと了解と頷いて立ち去った。
その姿が今度こそ完全に消えたのを確認して、士郎は浮かしかけた腰をぺたんとその場に降ろした。
「何だあれ?訳わかんねぇ……」
だが、すぐに気を取り直すと洗濯物を畳む作業に戻る。
「ま、ともかく畳んじゃいますか。アーチャーの飯が待ってるしな!」
ふと、何か引っかかりを感じて士郎は手を止める。
アーチャーの飯、ともう一度口の中で呟いてみれば、温かいようなむず痒いような感覚がじわりと滲み出し、そのくすぐったさに士郎は思わず肩を竦めた。

End

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