「ほらサナエ。今すぐイランへ飛んで、床に額なすりつけて…」早大名誉教授の投稿に批判殺到。軽率な発言が生み出されてしまう“根本的な原因”とは
「正義は悪に何を言ってもいい」というナイーブな確信
今回の有馬氏の一件から、京都精華大学准教授の白井聡氏による、ユーミン罵倒発言を思い出しました。 2020年8月28日に、病気を理由に辞意を表明した安倍晋三総理(当時)について、松任谷由実が自身のラジオ番組で「見ていて泣いちゃった。切なくて」と語ったことに対して、白井氏は自身のXでこう投稿したのです。 <荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいい> 当然ながら、大炎上し、白井氏は投稿を削除することになりました。 有馬氏の「床に額なすりつけて」と白井氏の「早く死んだほうがいい」は、驚くほど似ています。それは、普通の感覚なら他人に対して軽々しく使えない言葉を、並々ならぬ確信をもって使用している点です。 それを可能にしているものが、正義は悪に対して何を言ってもかまわないというナイーブさなのです。
エコーチェンバーが育む「インテリ・ヒーロー」の末路
さらに、彼らは正義と悪の間に上下関係を見ている傾向があります。“理性的で賢い私たち”(正義)と、“無教養で乱暴なあいつら”(悪)という図式ですね。 戦隊モノみたいに素朴な勧善懲悪のストーリーの中で、有馬氏や白井氏が何か発言するとフォロワーが熱狂する。有馬氏や白井氏はヒーローのような存在になります。すると、そのように評価されるという報酬を求め続けるようになってしまいます。 このようにエコーチェンバーが増幅を繰り返しては、「床に額なすりつけて」や「早く死んだほうがいい」という軽率な発言を生み出す土壌が出来上がってしまうのです。 その意味では、有馬哲夫氏はSNSの被害者なのでしょう。しかし、当人は気付いている気配すらない。 その事実が、さらに哀しみを誘うのです。 文/石黒隆之 【石黒隆之】 音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4
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