開幕投手の発表、早すぎませんか?逆襲めざす井上ドラゴンズは柳裕也
開幕投手を明かさない戦略
侍ジャパンのWBCでの戦いが、準々決勝で終わってしまい、高橋と金丸は、予想よりも早めに帰国してチームに合流できた。それに加えて、オープン戦で続く柳自身の不安定な投球である。帰国した高橋の「開幕に間に合わせます。開幕戦は柳さんだけど」という言葉が心に刺さる。 ドラゴンズは今季も"挑戦者"の立場であることを忘れてはいけない。立浪和義監督時代の3年連続最下位から脱け出したとはいえ、2025年(令和7年)も4位、12球団で最もクライマックスシリーズ出場から離れている"弱い"チームなのだ。何も他球団に倣って、手の内を明かす必要もないし、ぎりぎりまで開幕投手を明かさない戦略はなかったのか。
川上憲伸は開幕投手7度
ドラゴンズの開幕投手と言えば、川上憲伸さんの通算7回がトップである。明治大学の後輩でもある柳は今回がようやく2度目の開幕投手、いかに川上さんが素晴らしいエースだったかを物語っている。川上さんは、2005年(平成17年)から4年連続で開幕投手をつとめたが、その前の年、2004年の開幕投手には、衝撃が走った。川上さんではなかった。今も竜党の間で語り継がれる、川崎憲次郎さんの開幕登板だった。
落合監督の開幕戦略
まだ予告先発のなかった時代だった。このシーズンからチームの指揮を取った落合博満監督が開幕投手に指名したのが川崎投手だった。FA宣言をしてドラゴンズに入団したものの、肩の故障から過去3年間で1度も登板がなかった。その名前が場内アナウンスされた時の、ナゴヤドーム(現バンテリンドーム)のどよめきが、昨日のことのように思い出される。川崎投手は打たれて降板したが、試合はドラゴンズの大逆転勝ち。そのシーズン、ドラゴンズは5年ぶりのリーグ優勝を果たしたのだった。開幕戦からチームに勢いをつけた、落合采配の戦略的中だった。 勝負は「勝てば官軍」である。柳がきっちりと最終調整をして、開幕戦で見事な投球を見せれば、すべての懸念は雲散霧消するだろう。10年目の右腕に期待しながら、広島での開幕プレーボールを待つことになる。 【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。
CBCテレビ