光星に一目ぼれ、東京→青森へ移住したマネジャー 理屈じゃない感情
八戸学院光星野球部に恋い焦がれ、遠く東京から青森県八戸市に「移住」してきた1人の女性がいる。同部マネジャーの吉村心花(ここは)さん(17)。19日に開幕する選抜高校野球で記録員としてベンチに入る。「光星に来て本当によかった。みんなと一緒に全力で勝利に向けて頑張りたい」。憧れの舞台を前に声を弾ませる。 【写真】八戸学院光星マネジャーの吉村心花さん=2026年2月17日午後5時44分、青森県八戸市、小田邦彦撮影 「あきひろ! あきひろ!」。昨秋の青森県大会、光星がピンチになると、エースで主将の北口晃大(あきひろ)選手(3年)を励ます吉村さんの声がベンチから球場に響いた。「ベンチにいる限り、選手と同じ気持ちなんで」。ひときわ大きな声で選手を鼓舞し続けた。チームは県大会で優勝し、東北大会も準優勝。2年ぶりの選抜出場を決めた。 中学までは東京・江東区で育った。小学4年生の時、テレビで見た高校野球に夢中になった。全力で夢に向かう球児がかっこよかった。「球児を支え、自分もマネジャーとして甲子園に行きたい」。そう思った。 スコアブックのつけ方を学ぶため、すぐに本を買った。小学生の時はテレビで高校野球を見ながらスコアをつけた。中学では部活に所属しなかったが、テレビに加え、野球部だった兄の試合を見に行き、スコアをつけ続けた。 地元の東京の強豪校への進学を考えていた。だが、中学2年生の時に開催された夏の甲子園で、テレビに映る光星のひたむきなプレーに心を奪われた。そこに理屈はなかった。 「一目ぼれなんです」 江東区から約560キロ離れた光星に行こうと心に決めた。 母・睦美さんに思いを打ち明けると、「何一つ否定的なことは言わず、応援してくれた」。事前に光星に電話し、マネジャーになることに条件がないことを確認。受験に合格すると、学校近くのアパートで睦美さんと2人暮らしを始めた。 選手は全国各地から集まる光星だが、仲井宗基監督によると、東京からマネジャーが入学してくるのは初めて。当初は「大丈夫かな?」と思ったという。 事実、吉村さんは慣れない環境に戸惑った時期があった。八戸は春先でも寒く、電車の本数の少なさには面食らった。だが、「憧れたマネジャーなので楽しい」。自分が今何をすべきかを考え、先回りして行動できるようになった。仲井監督も「入部の際に戦力として考えていると伝えたが、よく頑張ってくれている」とたたえる。 チームは19日に崇徳(広島)と戦うが、吉村さんはこれまで甲子園に行ったことがない。初めて行くのはマネジャーとしてと、高校野球が好きになった時から決めていたからだ。「最初は緊張すると思うんですけど、チームを笑顔で後押ししたい」。目の前に広がる聖地の姿を、心待ちにしている。(小田邦彦)
朝日新聞社