学部生の時に落語研究部に所属していました。

3回生になると、寄席を運営しながらトリも務めるというビッグイべントがあります。夏、秋、冬に、毎週末寄席を集中的に行う月があり、そこで大ネタを披露するのです。


私は冬にトリをとることになり、同じ時期にトリをやる同期はほかに4人ほどいました。


ぜんぶで5回くらい各地で寄席を開催するわけですが、この一連の寄席にはフェスみたいに統一タイトルがついており、夏は「ラムネ寄席」秋には「焼き芋寄席」など、季節にちなんだものが定番でした。いいですね。かわいらしいですね。



ほんで同期たちと「寄席のタイトルをそろそろ決めなあかん」という段になり、おのおのがええのあったら出すという感じになって、私も「ゆきんこ寄席とかええかなあ〜」と授業中に考えたりしていたのですが、中々これぞというのが思い浮かびませんでした。





ある日、冬にトリをやる同期の1人である田代(仮名)が、



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部室のホワイトボードに、思い付いた寄席タイトル候補を書き並べ始めました。


その中に、

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「りんごほっぺ」という言葉がありました。


他の候補は「こたつ寄席」など、「○○寄席」というフォーマットですが、「りんごほっぺ」は「りんごほっぺ」と書かれています。

 




私はこれを見た瞬間、完全にいてこまされてしまいました。 







「りんごほっぺ」ってもう、赤くぽってりしたりんごほっぺそのものがかわいいし、語感もかわいらしいものとかわいらしいものの最強ハイブリッドです。「ほっぺ」って言葉、愛らしくて仕方ありません。そしてこの言葉からさむい冬の情景も浮かびます。季節感もクリアしているのです。


何より、私は「りんごほっぺ」という言葉を見聞きしたことがあるのに、冬のものしばりで連想したとき一切この言葉が出てこなかったのです。自分の脳の限界を痛感しました。


あと、みんなそもそも「◯◯寄席」で考えてるし、田代自身もその形式の候補挙げてんのに、寄席抜きの「りんごほっぺ」をむき出しで提示できるのにもびっくりしてしまいました。田代に「りんごほっぺ寄席ってこと?」と聞いたら、「いや、りんごほっぺ。」と返ってきました。ほんまに「りんごほっぺ」のようです。



そうして「りんごほっぺ」に強めに頭を殴られたのですが、話し合いの結果、タイトルは「こたつ寄席」に決まりました。まあ、チラシやポスターに「りんごほっぺ」だけ書いてあったら何が何なのかわからないですよね。いかちい寄席文字で「りんごほっぺ」って書かれたら怖いですよね。



3年前のことですが、まだ「りんごほっぺ」の衝撃は心に巣食っています。