新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
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大西 そういう状況だと判断や責任の主体、根拠やロジックもすべてブラックボックスのままになってしまいますね。 ◇人選が重複して自浄作用が働かない 上島 大切なのは今後、同じような被害を生まないことです。そのために国ができることは他にもあります。各自治体は、住民の接種記録の台帳を保有しています。さらに各人のレセプト情報(※2)や入院歴、死亡情報の記録が保管されています。それらを解析すれば、年齢や性別や病歴などによりどのような人がワクチンで健康被害が起きやすいかもわかるのです。国主導でその体系的なデータ解析を行うべきです。 大西 そうすれば科学的検証もできるし、「自分は健康被害の起きるリスクが高いから接種をやめよう」などの判断もできる、と。 上島 はい。検証が進まない大きな理由には、厚労省の委員会の体制の問題もあります。ワクチンのガイドラインを作る委員会、副反応を評価する委員会、さらには予防接種救済制度の認定審議の委員会などがありますが、その人選が重複しているのです。自分が採用したワクチンに対して、副作用報告が上がった場合に冷静に判断できるかというと、懐疑的にならざるを得ません。つまり、自浄作用が働かない。今後は利益相反のない第三者による、より独立性の高い制度へと変えていく必要があります。 (本誌取材班) ◇おおにし・はやと 1980年生まれ。東京、NY、横浜で育つ。東京大大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。2008年テレビマンユニオンに参加。ディレクターとして手がけた作品に「欲望の資本主義」「地球タクシー」(共にNHKBS、ギャラクシー賞奨励賞受賞)、「世界ふしぎ発見!」(TBS系)など。プロデュース作に劇映画「プリテンダーズ」などがある。2025年10月、監督作の「ヒポクラテスの盲点」公開 ◇かみじま・ゆかり 博士(臨床薬学)。1973年北海道生まれ。2000年、東京理科大大学院薬学研究科臨床薬学専攻修了。2003年千葉大大学院薬学研究科博士後期課程修了。専門は薬剤疫学/医薬品情報学。2018年まで東京大大学院医学系研究科薬剤疫学講座にて教務補佐員・研究員として、医薬品等の安全性監視、副作用報告からのシグナル検出に関する研究に従事。薬剤疫学領域における調査・研究の倫理審査委員を務める。2023年より東京理科大薬学部客員研究員
※1 第36回感染症・予防接種審査分科会新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第一部会審議結果 ※2 医療費を保険者へ請求するために作成する明細データで、患者の病名や医療機関を受診した際の診療内容などの記録が含まれる
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