新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
大西 本当に感謝しています。限られた尺の映画には盛り込めなかった、重要なお話も多々ありました。 上島 上映の舞台挨拶(あいさつ)も、何度かご一緒しましたね。 大西 映画の公開は昨年の10月10日でしたが、これまで全国で累計70館上映、5万人近くが足を運んでくださった。正直、ここまで多くの方に届くとは思っていなかったので本当に驚いています。 上島 映画のポスターや予告編には、コロナワクチンについて「国が推奨した救世主のはずだった」とあります。でも私はこの映画こそが、コロナワクチンで健康被害に遭われた方やご遺族にとって心の救世主になったのではと思っています。 大西 被害を受けた方たちの「なかったことにしないでほしい」という思いを胸に刻んで、取材や編集に向き合うよう努めてきました。 ◇安全性の議論は起きなかった 上島 私は被害を受けた方が予防接種救済制度に申請する際のサポートもさせていただいているんです。手続きに必要な書類を揃(そろ)えるだけでも大変な時間と労力がかかる。その時にみなさんが話すのは、ワクチン接種後に健康被害に遭った、あるいは家族が亡くなったと言っても周囲が信じてくれない、病院に行くとたらい回しにされて「嘘(うそ)つき」呼ばわりされるのがものすごくショックだ、と。 大西 去年の8月末に、薬害の被害に遭われた方が参加する薬害根絶デーがあると上島先生に教えていただいて、これは重要なテーマだと思い急遽(きゅうきょ)、取材に行きました。10月公開の映画に、その時点で新しい素材を入れ込むというのは映画としては異例です。少なくとも4カ月前には完成させて、宣伝に時間をかけるのが理想形だからです。多くの点で通常の映画製作とはまったく違う段取りで仕上げた作品で、その意味でも自分にとっては大変に勉強になりました。 大西監督は東京大大学院で生命科学を研究し、理学博士を取得。アルツハイマー病などの神経疾患を細胞レベルや遺伝子レベルで解析していた。そこからテレビ番組や映画の企画・制作などを行う「テレビマンユニオン」に入ったという異例の経歴の持ち主だ。