主菜「唐揚げ1個」給食からの汚名返上 福岡市が全小学校にスチコン導入し、メニュー充実
スチコンを導入している自治体では効果が出ている。北九州市は今年度までに約3億円を投じて全小学校と特別支援学校にスチコンを設置。市教委によると、チーズがのったハンバーグや、ピザ、カリカリに焼いたチキン、サバの塩焼きなどのメニューが提供できるようになったという。
同市も子育て支援に力を入れる武内和久市長の方針を受け、専門家を交えて給食の魅力向上策を議論してきた。担当者は「献立のバリエーションが増え、子供たちもよく食べてくれるようになった」と言及。以前からスチコンを活用した給食を提供する大阪市教委の担当者も「調理方法を設定することで自動で調理でき、その間に他の作業ができる」と意義を語る。
■地産地消も重要
各自治体では近年、学校給食の改善が大きなテーマとなっている。食材費の高騰で、保護者からは負担軽減を求める声が高まり、子育て支援や少子化対策で、給食費を無償化する動きも広がる。よい給食は心身の成長や学校に通うモチベーションにもつながり、まちの魅力向上にも貢献する。
学校給食の実情に詳しい京都大学人文科学研究所の藤原辰史教授(歴史学)は、理想的な給食として、大人が食べてもおいしい▽働く人(調理員)を大切にする▽食事時間の確保-を挙げる。
藤原教授は「コストカットが分かる給食から子供は大人の愛情を感じることはできない。また労働環境が悪いと、工夫も愛情も生まれない」と指摘。その上で「地域の新鮮な食材を用いることで、農業や漁業が活性化する。食事は人をいたわることを教える最高の教育機会。勉強時間確保のために時間を削っては本末転倒だ」と強調する。
地産地消にこだわり、高い評価を受ける給食がある。京都府北部に位置する伊根町では、新鮮な魚や地元の野菜を献立に多く取り入れる。地元食材を中心とする月に1度の「いーねランチ」のある日のメニューは、黒豆ご飯▽魚の照り焼き▽さつまいものすり流し汁▽かぶの甘酢あえ-など。児童生徒に食材について伝える食育の機会も兼ねている。
町には小学校2校、中学校1校があり、児童生徒は計約120人。町教委の担当者は「地元の業者や生産者の協力は大きい。人とのつながりを大切にし、子供たちが生産者を知る機会にもなっている」と説明する。ハード面の整備に加え、地域食材の十分な活用も給食の質向上のカギを握る。(一居真由子)