もしも杉元が女の子だったら
杉元愛され。
尾杉♀前提でしたが尾形が出できません。
この話は女であることを隠している杉元とそれを後から知っていく金カムキャラ達のお話です。
一人一人の話は短めです。
もっと杉元は愛されればいいと思ってます。
追記2021.6.2
シリーズの予定でしたが考えていた設定を書いた紙なくなってしまった事とデータが消えたことにより読み切りにしました。
- 568
- 688
- 14,971
軍で寅次しか知らなかった私の秘密がある。
それは女であることだ。髪まで短くして顔や身体に沢山の傷を作っても隠し通して来た。
そんな中で寅次が戦死した。
唯一私を女だと知っている幼馴染が戦死し、そして梅ちゃんを任された。
梅ちゃんに気づいて貰えなくても私のやることは変わらない。金だ。金が必要だ。
梅ちゃんの目を直すまで私はまた女であることを隠していこう。その方が都合が良い。女だとなめられる。
私は、、、俺は『不死身の杉元』だ。
大丈夫。あの時みたいに上手くやれるさ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「杉元…お前、女だろ?」
「えっ?」
突然アシリパが放った言葉に杉元は固まった。アシリパは固まって動かない杉元に近寄ると思いっきり胸を鷲掴みにした。
「ひゃあっ⁉︎アっアシリパさん⁉︎」
「うん、やっぱり…。なんで胸を潰している?」
「……俺は女じゃないよ、アシリパさん、胸筋だからそれ。」
「嘘をつくな!杉元ぉ!知ってるんだぞ!夜な夜な胸に巻いている布を巻き直してるのを‼︎」
「えっ!みられてたの!!恥ずかしいぃ」
「正直に白状しろ!私はお前の相棒だ。ここには私しかいないし、誰にも言わない。」
杉元は焦った。
出会ってそれほど時間が経ってない相手に女であることがバレてしまった。
「……俺は…女だよ、アシリパさん。」
「なんで嘘ついた、相棒だぞ!」
「まさかバレるなんて思ってなかったからさ、つい、、、」
「ストゥでお仕置きだ!杉元ぉ‼︎」
「えぇっ‼︎やだぁ!やめてよぉ〜アシリパさん⁉︎」
女とバレてもアシリパの杉元に対する態度は変わらなかった。
男としていた方が舐められずに済むし、軍の時からそうであったことを伝えるとアシリパはこれからも男として振舞うことに対して何も言わなかった。
『女』『男』はアシリパにとってあまり関係のないことで、杉元は杉元だと、一人の人間としてみてくれた。
「ありがとね、アシリパさん」
「何がだ?」
「うんん、なんでもない」
こうして杉元の『女』であることが知られていく日々が始まった。
とは言っても、そう直ぐに尻尾を出す訳もなく、数日後に白石に知られて以来は暫く誰にも知られず刺青人皮を集めていった。
白石にバレたのは出会った時だった。
不運にも二人して川に落ちたのだ。
火を起こしたはいいが、いつまでも湿った服を着ていては風邪を引いてしまうと服を脱いだのだ。全て脱いだのではなく一番下に着ていた服は脱がずにいたのだがそれでも白石にはわかってしまったらしい。
「お前…なんで胸にさらし巻いてんだ?」
「はっ?」
「いや…透けてるぞそれ」
「ぎぁぁぁぁぁっ‼︎みっ見るな!変態‼︎」
バシィィンと音を立てて白石の頬を杉元の平手打ちが襲う。
女とはいえ日露戦争を生き抜いた元兵士の杉元はそれなりの力がある為白石は後ろに倒れた。
「いったぁい‼︎何するんだよ!」
「お前がへ、変なこと言うからだろ‼︎」
「はぁ?なんでそんな生娘みたい…な…反応…を…ってもしかしてお前⁉︎」
「いっ今何考えた⁉︎」
「いや…もしかして女なのかと…」
その言葉を聞いた途端杉元の顔が真っ赤に染まった。女とバレたことよりも透けてしまっているさらしを見られたことに赤面した。
杉元は『女』であることを捨てたつもりだったがアシリパと共にいるうちに無意識ではあるが『女』であることを捨てきれなくなっていた。
「えっと…図星?」
「……なよ…。」
「えっ?」
「だっ誰にも言うなよ‼︎ずっと隠してきたんだ!」
「言うって…誰に言うんだよ……」
「それはっ、、」
「言わないからその顔やめなぁ?なきそうなかおされてもこまるぅ…」
そう言うと乾ききっていない服の袖で涙目になって今にもこぼれそうになっていた涙を優しく拭った。
「(囚人のくせに…)」
取引だと持ちかけられ『見逃す』事になったがそれでも少しでも囚人の情報が必要だった杉元は囚人やのっぺら坊のことなど話すように促した。
すると白石は杉元が思っていたよりも簡単に情報を話しはじめた。
入れ墨の囚人は全部で24名で、今どれくらい生き残っているのかは分からないこと。
のっぺら坊の仲間のことは知らないが、その情報を知っているのは脱獄の指示をした囚人たちの親玉で、噂ではその親玉は箱館戦争で戦死したと言われている『新撰組鬼の副長土方歳三』であること。
そして最後に囚人たちは皆、『小樽へ行け』と指示されていたこと
「…そうか…小樽へ…白石といったな今回は見逃すが次会ったらその皮引っぺがす。だからアイヌの金塊は諦めてさっさと北海道から脱出しろ。その入れ墨を狙っているのは囚人だけじゃない。日露戦争帰りの第7師団も追ってるんだ、奴らは捕まったらまず生きていられる、なんて事はない。きっと皮を剥がされるそれが一番手っ取り早いからな」
「なんだよ心配してくれてるのか?」
「なっ!ちっちがッ…誰が囚人の心配なんかするかよ‼︎」
「安心しろ俺は『脱獄王』だ、誰に捕まろうが煙のように逃げてやるさ、アバヨ『不死身の杉元』ちゃん」
「ちゃんづけすんな‼︎この変態‼︎」
この一件から白石にも『女』であることがバレてしまったが意外にも白石は杉元が『女』であることを誰にもいっていないようだった。それはこの先出会う者達が皆あの『不死身の杉元』が『女』であることを知らないということが何よりの証拠である。
その後第7師団に襲われたが熊の巣穴に逃げ込むことでなんとか追っ手をまくことができた。その事により母熊を失った子熊を連れていくため杉元達はコタンに向かった。
そこで杉元はアシリパは祖母や村の者達に愛されていることを実感し、アシリパをこれ以上危険な旅に巻き込ませるわけにはいかないと、一人コタンを去った。
その判断が良くなかった。少し前に崖から落ちたはずの兵士が生きており、その兵士の言葉で第7師団に『不死身の杉元』がアイヌの金塊に関わり、刺青人皮を持っている事が知られてしまっていた。それだけでなく、そば屋の前で暴れた事により自身が『不死身の杉元』である事がバレてしまったのだ。
その後無事とは言い切れないが、アシリパとレタラ、白石の力添えもあり、なんとか逃げ出す事ができた。
運が良かったのか、第7師団には『不死身の杉元』が『女』であることがバレずにすんだ。しかし、今回の件にはアシリパが相当怒っていた。杉元が自分を置いていった事に対してでもあるが、何より『女』の顔に団子の串を2本も刺されていた事に対してだ。この杉元とアシリパのやりとりを見て白石は『串団子事件』と名付け、のちにまた語られる。
この『串団子事件』以来白石は杉元達に協力する事で分け前をもらう約束をし、杉元も白石の皮を剥がさないと約束した。
しばらくすると白石が刺青の囚人『辺見』の情報を持ち帰ってきた。
「ニシン漁のために雇われた『ヤン衆』の中に間違いなく辺見が紛れている」
「なぜ『辺見』って野郎だと言い切れる?」
「死体の背中に文字が刻まれてたのさ」
「文字が…」
「叔父がその囚人に狙われないか心配だ、よし!杉元海へ行こう‼︎鯨を食べに‼︎」
「あっアシリパさん⁈」
白石の情報とアシリパの案によりニシン漁が行われている海岸へとやってきた杉元たちはアシリパのアチャポ(叔父)に連れられ船に乗っていた…というより、『他のコタンの船が鯨を見つけモリを打ち込んだが沿岸を引っ張り回されておりその加勢をする』ために船に乗せられたというほうが正しいだろうか。
「急げ急げもっと漕ぐんだ杉元‼︎」
「なんで俺たちが…」
「二本あるから杉元も投げてみろ。気おつけろ、モリの先には毒が塗ってある…。あっ‼︎来るぞ!首だ杉元ッ!首の皮膚がやわらかいぞ‼︎」
「どこが首だかワカンねぇよッ!」
その後鯨にモリが刺さったがヤン衆の船から人が落ち結局鯨は白石に任せ杉元たちは落ちた人の救出に向かった。
「おいあんた!大丈夫か!捕まれ‼︎」
「急げ岸にはニシン加工用の焚き火があるはずだ‼︎」
「あ、りがとう…海に落ちて死ぬなんて…こんな死に方…絶対に嫌だ…こんなつまらない死に方…」
なんとか岸にたどり着き、海へ落ちた男を焚き火に当たらせた。男はニシン加工の道具などを見せて回ると、助けてくれたお礼にと白米とニシン漬けをご馳走した。
途中アシリパがオソマで居なくなると男は旅順での話を聞きたがった。
「殺した相手の顔を忘れないでいてやるのが俺の償いだ。必要ならば俺は鬼になる覚悟だ。そのかわり俺がくたばる時は安らかに死なせてもらおうなんてつもりは毛頭ない」
この言葉に嘘はなかった。女として生まれ女を捨て男として暮らす道を選んだ杉元は本来行くはずではなかった戦争で沢山の命を葬った。だからこその覚悟があった。
ふと何かに気がついたように男は声をあげた
「あっ」
「どうした?」
「いっいえ…あの、見せたいものがあるんです」
そういうと杉元を連れ出しさらにニシンを加工するための道具を紹介した。しかし、杉元は『辺見』という男を探しにきたため、白石と落ち合わなければならなく、辺りを見渡した。
すると目に入った建物の前に第7師団を見つけ見つかるとまずいことになると男に伝えた。それを聞いた男は親方の住む豪邸で匿ってもらおうと提案し、豪邸へ杉元を引っ張っていった。
しかし運悪く第7師団に見つかってしまいその時の銃声で鶴見中尉にも見つかってしまった。なんとかして豪邸を抜け出した杉元と男は白石を見つけ第7師団が来ることを叫ぶと走って白石の元に向かった。
「杉元!ウシローッ‼︎そいつが辺見和夫だぞッ‼︎」
「えっ」
一緒に逃げてきた男が辺見だと知ると杉元は早かった。アシリパの矢で動きが一瞬止まった辺見の横腹に二回銃剣を突き刺した。
「『不死身の杉元』さっきそう呼ばれてましたよね、わかる気がします。あなたも輝いて死にたいからこそ戦うんだ。」
「俺は死ぬつもりなんて無い、絶対にまだ死ねない」
辺見は再び切りかかってきたが、杉元はそれをかわし銃剣を突き立てた
「杉元さん僕のこと忘れないでいてくれますか?」
「引っ剥がしたお前な入れ墨を広げるたびに思い出すよ」
「生きてて良かった…。まさか女性の方に殺されるなんて…」
「へっ?」
そういった途端シャチが辺見を加えて海へ引きずり込んだ。
「えーーッ⁉︎」
すぐさま船に乗ってシャチを追いかけるとシャチは辺見を空高く投げ飛ばしていた。
しかし第7師団も船に乗り追いかけてきており、急がねば捕まってしまい、辺見の入れ墨もまた、第7師団の手に渡ってしまう。
杉元は覚悟を決め服を脱ぎ始めた。
「杉元ッ⁉︎何してるんだ‼︎」
「何のつもりにしてもシャチがすぐ喰わねぇってんなら…この好きに取り戻すしかねぇ‼︎」
「だからと言って全部脱ごうとするな‼︎せめて一枚残せ!女なんだから‼︎」
「そうだぞ杉元!今脱いで第7師団の連中に知られるのも嫌だろ‼︎」
服を脱ぎ始めた杉元を止めるべくアシリパと白石は必死になって止める。
第7師団にバレるのはよろしく無いと杉元は最小限の服で真冬の海へと飛び込んだ。
何とか辺見を船へと乗せるとアシリパはモリをシャチに投げつけ、第7師団をまくことに成功した。
「ばれてた」
「えっ?なんだって?」
「辺見に、俺が女だって、、ばれてた」
「えっうそ、なんで?」
「もしかするとあいつが打たれた時俺の胸に顔を押し付けてきたから、その時かもしれない」
「何!杉元と胸に顔を!」
「アシリパちゃん反応するのそこなのね」
「許せん!杉元のトカプは私のだ‼︎」
「えっ///」
「何顔赤くしてるだよ…」
こうして杉元たちの持つ刺青人皮はまた一つ増えた。