摩美々に嫉妬される話
53作目です。
前回のお話→novel/26149984
螺旋を観測し、キャスティングコレクションによって触発されました。
やる気!やる気!
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P「────はい、はい。ありがとうございます!」
摩美々「......────」
電話をしていると、ソファの上で仰向けに寝転がっている摩美々と目が合う。
何をするわけでもなく、こちらをじっと見つめているようだ。
P「......ははっ、それはまた今度是非──えっ、次の土曜ですか......?すみません、その日は────」
目を離すわけでもなく、何となしに見つめあったまま意識は電話先の相手に向ける。
摩美々もただこちらを見つめているだけのようで、いたずらを仕掛けてくるそぶりは無い。
P「すみません、具体的な日程はまた今度───はい、失礼します」
電話を切って再びスケジュール帳に向き直ると、摩美々が声を掛けてきた。
摩美々「よ、モテ男ー」
P「モテ......って、そんな話じゃないぞ。仕事の話だから」
摩美々「え~?」
若干の挑発的な声色で疑いをかけてくる摩美々。
もちろん、こちらも嘘はついていない。
P「本当にただの連絡だよ。雑誌のサンプル送付しましたっていう......」
これは本当だ。電話の前半はサンプルの送付だった。
摩美々「サンプルの送付なんてメール一通で済ませられる話ですよねー」
摩美々の声が少し低くなったような気がする。
ソファから立ち、一歩一歩ゆっくりとこちらに歩いてくる。
摩美々「しかも、それだけの用件だったら食事のお誘いなんて必要ないですよねー」
一歩。
P「それは......ただの社交辞令だよ」
摩美々「社交辞令だったら日程なんて聞くわけないじゃないですかー」
一歩。
P「ディティールを持たせてるとか......」
摩美々「や、いらないでしょー。社交辞令にディティールとか」
一歩。
まるで犯人を追い詰めている探偵のように近寄ってくる。
変な緊張により顔を背けるが、逃がさないとでも言わんばかりに顔を覗き込まれた。
摩美々「それに、この前も別の方から同じような内容で誘われてましたよねー」
P「この前って...いつの......?」
摩美々「バラエティに咲耶と出た時ですけど、もしかして機会がありすぎて覚えてないとかじゃあ......」
覗き込んだままの摩美々の顔がさすがにそれは...と言いたげな顔になるが、何とか弁明して顔色を取り戻すことに成功する。
P「い、いや!まさか見られてたとは思わなくて......」
あの場には誰も居なかったはず、と記憶を探ってみるが、話してたのはただの通路だったし誰かに聞かれていてもおかしくはないな......。
摩美々「ま、その時は断ってたんで咲耶は許してましたけどー」
P「いやいや......咲耶がそんなことで怒る訳ないじゃないか......はは......え、怒ってたのか......?」
咲耶はそんなことで怒ったりしない、と思いながらもひきつった笑いしかできない俺。
目を逸らしながら無言の返事をする摩美々。
摩美々は答えてくれなさそうなので後は咲耶に聞くしかないのだが、怒っていたのだとしたら怖くて聞けないのでこの件については迷宮入りとなりそうだ。
摩美々「まー...刺される前に忠告しておいてあげますけど、女性からの誘いには気を付けたほうが良いと思いますよー」
P「いやいや......誘いって、ただ食事に行くだけだぞ?先方もそこから仕事の話に繋がったりすることもあるって言ってたし......」
摩美々「(これ......はづきさんか社長あたりから教育してもらった方がいいんじゃ......)」
摩美々「や、それあんまり真に受けないほうがいいですってー......」
ため息をつきながら肩をすくめる摩美々。少しずつしょげていく俺。
P「で、でも仕事の話に繋がる可能性が少しでもあるなら俺は......」
摩美々「それ、0なんでー、相手は一ミリもそんな話する気ないんで」
P「そ、そうとは限らないんじゃないか......?」
俺の言葉が引っかかったのか、一瞬だけ摩美々が苦虫を嚙み潰したようなしかめっ面になる。
摩美々「......もしかして、プロデューサーは誘われた中で気になる人でもいたんですかー?」
P「そういう訳じゃないけどさ......でも、いつも断ってたらさすがに誘ってこなくなるんじゃないか?」
摩美々「そしたらまた別の手法で声掛けてくるだけですねー。根本的には詐欺と手法は同じですからぁ」
P「詐欺だなんてそんな......でも、だとしたら俺はどうすればいいんだ......?」
摩美々「ふふー、その言葉を待ってましたぁ」
にんまりとした顔でこちらを見る。......もしかして、嵌められた...?
P「何かいい方法があるのか?要求ならできるだけ飲むぞ」
摩美々「話が早くて助かりますー。じゃ、まずは回避する方法なんですケド」
P「お、おう」
摩美々「誰かから誘いがあるたびに、アンティーカの誰かに連絡してくれればぁ、その時々で最適な回避方法を教えてあげますよー」
中々大変な回避策が出てきた。都度連絡するっていうのは中々大変そうだな...。
P「うーん......それは、みんなが忙しい時に連絡するのはさすがに引けるというか......」
摩美々「刺されるよりマシですよねー?」
P「それはまあ......」
次の日の朝刊を飾る訳にはいかないし、仕方ないが他の策が見つかるまではこれでいくしかないか......。
摩美々「とにかく、ちゃんと連絡してくれないとー......」
P「ちゃんと連絡してくれないと......?」
摩美々「発覚するたびに焼肉、連れてってもらいますからぁー」
P「それは中々......」
摩美々「しかもアンティーカ全員でー」
P「それは財布にキツイな......!」
摩美々「──とにかく、アンティーカはまだ寛容な方だと思うんで1回や2回くらいなら大丈夫だと思いますけど、他のとこに知られたら市中引き回しの刑に処されてもおかしくないですからぁー」
P「うっ......肝に銘じておきます」
────────
P「ところで、回避策を教えてくれる代わりの条件ってなんだったんだ?」
摩美々「あ」
摩美々「じゃー、今度ご飯でもー」
P「それって、回避したほうがいいやつか?」
摩美々「所属アイドルは例外でー」