「暴力団を殺してきた」ヤクザ2人をライフルで射殺→人質を盾に旅館で立てこもり…朝鮮人差別に苦しんだ39歳男が「犯罪者になる道」を選んだ理由(昭和43年の事件)
籠城1日目
20日21時ごろ、金は南アルプス南端、榛原郡中川根町(現・川根本町)の寸又峡温泉を車で通りかかり、たまたま目に入った「ふじみや旅館」に押し入る。寸又峡には約15の宿があったが、同旅館は前が広場で見晴らしが良く、下から登ってくる者もよく見えて籠城にはぴったりだった。 このとき、ふじみや旅館には経営者(同34歳)の一家6人と、発電所工事などで愛知や横浜から出張していた客10人がいた。金は全員を2階に集め、こう言った。 「私は今、清水でもって暴力団と問題があってそれを殺してきた。これからどうしても警察相手にしたいことがある。あなた方には危害は絶対加えないから、協力してもらいたい。何の関係もない皆さんには申し訳ないと思う。したがってその責任は、私は結果的には自ら死をもって謝罪します。 私は子供のときから、朝鮮人だ、朝鮮人だ、といって日本の人たちからずいぶん惨めな思いをさせられ、自分の感じやすい気持ちを傷つけられ、自分の母や兄弟、自分の同胞たちのいろんな面を見てきております。だから、それが要するにこういう事件に大きな動機としてつながっているんだ、ということをその人たち全部に言っております」 妻が600万円を持ち逃げ、不倫相手の夫を監禁しただけじゃない⋯《金嬉老事件》「朝鮮人差別と戦った男」の“あまりにさびしい”帰国後の人生(昭和43年の事件) へ続く
鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載)
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