初めての古代語の授業。実はゲームやコミック、アニメにラノベと元の世界ではサブカルチャーの大ファンだった監督生にとって、この授業は待ちに待ったものであった。
それもそうだろう、古代語なんてサブカルチャーでもよく扱われる題材だ。そこに古代呪文なんて付加もつけば、そりゃあもうオタク心に火が付くってものである。
そんなわけで、今回の授業にて受講生全員に配られた本日学ぶ古代呪文の一覧に嬉々として目を向けた監督生は―― 一通り目を通して、疲れたように目頭を揉んだ。
あれ、おかしいな?古代呪文って言う割にはどこかで見たような内容だったぞ?
目を閉じ、目頭を揉み、瞼は閉じたまま深呼吸を二度、三度。
さっきのは見間違いだそうに違いない!と改めて古代呪文一覧に目を見やり――
「おぅっふ……」
おっと変な声が出たのは仕方がないだろう。
記載された最初の一文は『守護霊よ来たれ エクスペクト・パトローナム』。古代呪文としてはわりとメジャーな、自身を守護する霊を作り出し、使役する呪文だ。
元の世界でも見たことのあるその呪文に見間違いじゃなかったー!と監督生の心の中は大荒れだ。
いや何で異世界の魔法学校でフィクションの魔法学校の魔法習うの?何なの?洒落なの???というかよくよく見たらその他の呪文も何処かで見た事あるものばっかりじゃん!
頭の中ではツッコミの言葉が次々に溢れている監督生である。
ちなみに、記載されていた他の古代呪文は以下の通りだった。
・闇の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ レ・リーズ
効果:封印解除の鍵を作り出す
・天光満つる処に我は在り 黄泉の門開く処に汝在り 出でよ 神の雷 インディグネイション
効果:天より雷を降り落とす
・黄昏よりも昏きもの 血の流れよりも紅きもの
時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において
我ここに闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりし
全ての愚かなるものに 我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを ドラグスレイブ
効果:街をも破壊できるほどの爆発を起こす
※ 威力が高いため、使用を制限されている
全部見たことある――どころか詠唱も、内容も
知らぬ間に授業が始まったのか、先生が何か言っている。が、虚無になった監督生の耳には全く届きはしなかった。
「これ、か~~え~~る~~の~~~~ 大 合 唱~!トードジャ! って唱えたらカエルになっちゃう呪文とかあるかも?」
なーんちゃって、と乾いた笑いを浮かべながら、ポソリと小さく呟いた監督生に反応したのは偶然傍の席に座っていた意外な人物だった。
「オイ草食動物、なんで禁術を知ってんだテメェ?」
ギロリと睨んでくるのはサバナクローの寮長だ。が、
「ガチであるんですかビックリだよ!!!」
百獣の王であるライオンの獣人からの圧力のある眼光に怯むよりも何よりも、ついついツッコミをする方に天秤が傾いた監督生である。伊達にそれなりの期間、個性豊かなNRC生に揉まれた訳ではない。しかしその直後、「うるせえよ」と頭に一発軽いものだが喰らってしまい、頭を抱えたのは条件反射なのでご了承いただきたい。
「で、テメェがなんで禁術の事を知ってるんだ? 姿を別の生き物に変える呪文は使用すら不可能な、存在すら禁忌とされているものだ。それを、魔法の無い世界から来たヤツが知っているなんて、どこかで禁術の情報が漏れているとしか思えねえ」
「なんで…って、えっと……」
元の世界では架空の呪文として知られてましたー!なんて言ってもこの先輩は信じないのでは?どころか何ふざけた事言っているんだと砂にされかねないのでは?と言いよどむ監督生に、レオナ先輩は苛ついたようで。
「何でいい澱むんだよさっさと答えろ」
さらに鋭くなった眼光に、ヒエェ…と小さな悲鳴を上げた監督生は震える声で答える。
「自分の、故郷の…ゲームで、見た…んですが?」
ついでに言うと、今日習う予定の呪文も全部、故郷のサブカルチャーで出てきたものばかりです。
監督生のその答えに、案の定レオナ先輩は「はぁ?」と懐疑的だ。この表情を例えるなら「この草食動物なにふざけた事ぬかしてるんだ?」だろうか。
嘘じゃないのにぃぃ、とか細く呟く監督生の耳には自分の回答に驚いた先生や生徒達の騒めきに気付いていない。
「まってくれ監督生、この禁術はカエルにされたが最後、一生元の姿には戻れないものだ。だからこそ禁術として流出すら厳しく制限されているってのに…」
先輩との間に割り込みどんな絶望的なゲームなんだと青ざめるのは、禁術研究に余念がない事で有名な三年の
「いやRPGの状態異常なんで一生元に戻れないって訳じゃないですよ? アイテムでちゃんと人間に戻れますし。…というかこの呪文、ゲーム内で使える数ある呪文の中の1つって扱いなんですけど……」
そう言って幾つか監督生が上げた某ゲームで使われている呪文の殆どがツイステッドワンダーランドでは古代呪文として残っている魔法だった訳で。――という事は、今まで不可能だと思われていたこの呪文の解呪方法も、監督生の言うアイテム…つまり何らかの魔法薬で可能ではないのか!?という結論に達するのは当然の事だった。
「んで? そのアイテムって一体何なんだ?」
出し惜しみするな、さっさと吐けとレオナ先輩に促され、監督生はこの場では言いにくいな、なんて思いながら(でも砂にはなりたくないので)、自分はアイテム名しか知りませんよと前置きし、みんなの疑問に答える。
「これ、アイテムって言っていいのか分からないんですけど…まあ持ち物扱いになってるのでアイテムって事にしておきますが。――カエル化した対象を元の姿に戻すアイテムの名前って『乙女のキッス』って言うんです」
その瞬間、教室内の幾人かが赤面したのは、思春期男子学生という多感なお年頃のせいという事で。言いたい言葉はグッっと飲み込む監督生であった。
とりあえず小説・漫画・ゲーム・アニメから有名所を検索のうえ持ってきました。このネタ知らないよ!って呪文がありましたら申し訳ないです(;'∀')
最初は伝道者タグっぽい話をイメージしてたのに、書いてるうちにどんどんメインがズレていきました。なんでやねん。
あと最初の予定では先輩の出番がもうちょっとあったはずなのに、気付いたらなんか出番が減っていた…ホントごめんなさい。だからユニーク魔法は止めてくださいぃぃ!!!
2021年9月6日:twst夢500users入りタグ追加ありがとうございます!
2022年8月15日:twst夢1000users入りタグ追加ありがとうございます!
---------- 以下読後推奨 ----------
監督生
自分は!厨二心をくすぐられるような古代呪文が見たかったんだよおおぉぉぉ!!!!(魂の叫び)
レオナ・草食動物の言ってる言葉が半分くらいしかわからない・キングスカラー
故郷の…ゲーム?って、カイワレ大根がよくやってるやつだろ何ふざけた事言って………は?マジかよ……(訳:いやゲームに存在してたって……(絶句))