抗議団体と学校側のやりとり解明へ「電子鑑識の活用視野」海保が家宅捜索に踏み切った背景

沖縄県名護市辺野古沖の転覆死亡事故で、船を運航する団体の事務所に家宅捜索に入る第11管区海上保安本部の海上保安官ら=3月20日午前9時28分、沖縄県名護市
沖縄県名護市辺野古沖の転覆死亡事故で、船を運航する団体の事務所に家宅捜索に入る第11管区海上保安本部の海上保安官ら=3月20日午前9時28分、沖縄県名護市

沖縄県名護市辺野古沖で同志社国際高(京都府)の生徒が乗った船2隻が転覆し、生徒ら2人の命が奪われた痛ましい事故は20日、第11管区海上保安本部(那覇)が抗議団体の関係先の家宅捜索に踏み切り、新たな局面に入った。団体側の通信機器を解析するなどし、学校側とのやりとりから出航権限の所在や両者の契約関係など解明していくものとみられる。

「(抗議団体と)学校側のやりとりを解明するため、デジタルフォレンジック(電子鑑識)の活用も視野に入る」。捜査関係者はこう明かす。

転覆した2隻は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設工事の反対を訴える「ヘリ基地反対協議会」が抗議活動で使ってきた船だった。先に転覆した抗議船「不屈」の船長で死亡した金井創(はじめ)さん(71)は牧師で、令和5年からキリスト教に基づく教育を行う同校の生徒を辺野古沖で乗船させていた。

学校側によると、生徒の乗船判断は「現地で担当教員と、船長の金井牧師が相談して決めることになっていた」(西田喜久夫校長)。出航判断も金井さんにほぼ一任していたとしている。

今後の捜査の結果、船に往来の危険を生じさせ、乗船者を死傷させたという事実関係が明らかになれば、船長の過失責任が問われる可能性がある。

船長は波浪注意報が出ていた中で出航の判断を下した。小さな船舶に定員に近い多くの生徒を乗せ、波の高い海域を航行したことと事故との因果関係を捜査するもようだが、業務上過失致死傷罪の成立には、①事故の危険を事前に予見できたか②その結果回避のため必要な措置を講じたか―の立証が不可欠で、緻密な捜査が求められそうだ。

団体が海上運送法に基づく事業登録をしていなかったことも判明しており、11管は同法違反容疑でも捜査を進める。出航基準が明文化されていないなど団体側のずさんな運航実態が明らかになっており、団体の安全管理体制に問題はなかったのか。11管は慎重に捜査を進める。(大竹直樹、倉持亮)

辺野古転覆 海保が2隻運航の抗議団体を家宅捜索、業務上過失致死傷容疑など

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