(社説)柏崎刈羽原発 不信増すトラブル続き
福島第一原発の事故を起こした東京電力の原発運転は、不安を抱えたままだ。
東電は、きのう予定していた柏崎刈羽原発(新潟県)6号機の営業運転開始を延期した。3月12日に発電機から地面へ漏電があったことを示す警報が鳴った問題で、発電と送電を止めた。原因や改修方法を調べるが、時間がかかれば原子炉の停止も検討するという。新たな営業運転の開始日は未定だ。
運転ありきの日程優先ではなく、立ち止まるのは当然だ。柏崎刈羽では今回に限らず、1月に再稼働をした前後からトラブルが続いている。
再稼働に向けて準備を進めていた1月17日には、制御棒を引き抜く検査で警報が正常に作動しないトラブルが発生。20日の再稼働を延期した。1996年の運転開始時から、正常に動いていなかった可能性があるという。
1日遅れで再稼働させたものの、5時間半後に制御棒を引き抜く作業中に警報が鳴り、2日を待たずに原子炉を停止した。原因が判明したとして2月9日に改めて原子炉を起動させ、営業運転への移行を当初予定の2月26日から3月18日にずらすことを決めていた。ただ、その後も原子炉内で中性子を計測する機器が正常に働かないトラブルなどがあり、送電線につないで首都圏への送電を始めたのも想定より遅れた。
東電にとっては、14年ぶりの原発再稼働だ。長い停止期間を経て巨大なシステムを動かすだけに、準備を重ねてもトラブルは起こりうるだろう。安全対策の強化で加えられた部品も多く、原発の扱いに不慣れな職員も増えた。
その事情を踏まえても、過酷事故を起こした東電には、厳しい目が向けられている。小さなトラブルでも発生の事実や原因、背景などの情報公開を続けなければ、不信が増すことは忘れてはならない。
東電は事故後も不祥事が相次ぐ。原子力規制委員会は17年、再稼働に向けた申請を認める際に安全文化の定着を問うた。東電は「安全性をおろそかにして経済性を優先しない」など七つの約束を、法的拘束力のある保安規定に盛り込んだ。それでも、21年にはテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委が事実上の運転停止命令を出している。
今年も、柏崎刈羽6号機の30年を超える運転に必要な認可をめぐり、申請書に多数の誤りがあることが判明。テロ対策に関わる秘密文書の長期にわたる管理不備で規制委が追加検査を決めた。東電に安全文化が確立するのか、疑念は尽きない。