【槍弓】きみのしらないきみの
パラレルじゃない槍弓です / 槍弓と藤ねぇ / 凛誕に見せかけて節分という詐欺紛いの話です / 表紙から分かるように色気のない話です
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玄関に足を踏み入れた瞬間、鼻先を掠めたにおいにランサーは一瞬顔をしかめた。
「お前そんなところでなにやってんだ?」
いつも通り。
勝手知ったるなんとやらで居間に入ったランサーは、座卓で正座するアーチャーに向かって問う。
それをアーチャーは冷めた鉄色の目で受け留めると、ため息にも満たない小さな息を吐く。
耳に届いた不満の息を聞こえない振りをし、座卓へと進む。
屋敷の中は静かで、気配もアーチャーのものしか感じない。
「お前ひとりか?」
「みな遠坂の屋敷にいる」
「へぇ?」
表情を消しているアーチャーに、ああまたなにかひと悶着あったのかとランサーは勘ぐると座卓を挟んで向かいに座る。
玄関先で感じたにおいは居間に入って一層濃くなり、アーチャーの手元を見てその正体を知ったランサーは器用に動く褐色の手を眺めた。
「今日は嬢ちゃんの誕生日じゃねぇの?」
「だからだ」
「なにがだからなんだよ。嬢ちゃんの誕生日ともなれば、パーッとパーティするのが普通じゃねぇの?」
「だからだ」
詳細を答えようとしないアーチャーはランサーを見ることなく同じ言葉を繰り返す。
視線を無表情のアーチャーへと移し、しばらくその顔を眺めるとランサーは推測で口を開くことにした。
「なんだよ、料理中に坊主をからかっておん出されたのかよ」
呆れたように言うが、アーチャーは表情も変えなければ動かしている指を一瞬でも止めることはなかった。
「違う」
「違うって、そうじゃなきゃなんでお前がここで独り巻き寿司なんて作ってんだ? 嬢ちゃんの誕生日だってのに」
ランサーの声に応えるように、アーチャーの手の中で巻きすがきゅっきゅと音を上げる。
巻きすを解き、出来あがった太巻きを拾うとすでに数本の完成品が積まれた皿へと移す。
つやつやとした真っ黒な海苔で巻かれた寿司は、ランサーの視線を奪うには充分な重量感を持っていた。
一連の作業に区切りがついたにも関わらず、アーチャーはランサーを見ることなく次の巻き寿司へと取りかかる。
広げた巻きすに香り高い海苔を敷き、寿司桶から酢飯を軽く手のひらに盛って海苔の上へと移す。
丁寧にふわりと広げられた酢飯の上に、きゅうり、玉子、炊いたニンジンとかんぴょうにしいたけ、カニかまぼこを並べてゆく。
「今日は、節分でもある」
手元を見たままアーチャーが答えた。
「その前に、お前のマスターの誕生日だろ」
この主従は結びつきが強い。
単なる魔術師とサーヴァントという上下関係あっての繋がりではなく、彼等は互いに自由意思で相手を想う。
この主従には、家族を想う無償の愛と似たものが確固として築かれていた。
だからこそランサーはアーチャーが独り、こんな場所で暖房も点けずに地味な作業をしていることを訝しんだ。
ランサーを見ずともその視線のうるささに閉口したのか、アーチャーは今度こそ小さくため息を吐くと口を開く。
「桜が、」
主が愛する妹の名を出す。
「桜が、凛のためにケーキを焼きたいと言ってな。ならばここよりも遠坂の屋敷の方が道具が揃っているからと」
「ああ、お前のコレクションな」
遠坂邸には多くの製菓道具が揃っている。
西洋風の屋敷に見合い、食器や調理道具も洋食に向いたものが多く揃えられている。
だが、独りで屋敷を維持管理しつつ学業や魔術師としての鍛錬を怠らずに暮らしてきた凛にその道具たちを使いこなすだけの時間はなく、多くが棚や箱の中で静かに眠っていた。
その長年使われていなかった道具を引っ張り出し、丹念に磨いては次々と使用し新しい料理や菓子を作りだしたのがアーチャーだった。
くすんだステンレスを磨き、錆が浮いていた鉄を擦り、丁寧に丁寧に磨き上げられた調理道具たち。
それを凛はアーチャーの趣味と実益を兼ねたコレクションと呼び、再び息を取り戻した道具たちが形つくる料理を前に嬉しそうに笑った。
「あれらは私のものではない。遠坂の屋敷のものだ」
「だけど、使ってんのはお前だろ」
「役割上そうなっているだけで、私が得たものではない」
せめて眉を寄せるぐらいして言えば子供じみて面白いものを、アーチャーは全く表情を変えずに言う。
だからといって、求める反応を期待してからかえばこの男は雑音の一切を遮断し作業に集中してしまう。
それぐらいは分かるだけに、ランサーは無駄に軽口を叩かない。
「はいはい。で、サクラ嬢ちゃんがお前ん家に行って、それに嬢ちゃんも付き合って、さらに坊主とセイバーも向こうにいるってわけか?」
「遠坂の屋敷は私の家ではない」
「いちいちうるせーな。そりゃーすまなかった、言葉のあやだ」
ぞんざいに謝れば、灰色の目が険呑に細められた。
だがそれも一瞬のことで、ランサーが続きを早く言えというように手を払うとアーチャーは目を閉じてまたため息を吐く。
「そうだ。衛宮士郎は凛のために今夜は洋食メインの料理に挑戦したいと言い、セイバーはそれについて行った」
大食漢の騎士王がついて行ってなんの役に立つのかは知らないが、とりあえずランサーは頷いておくことにする。
「凛と桜の会話から、この屋敷にはない道具で料理をしてみたいと思ったそうだ」
「へぇ、さすが道具マニア」
「己の未熟な腕を道具で誤魔化せるとでも思っているのだろうよ」
いや、それは違うと思うが。
とはランサーは言い出せなかった。
士郎は単純にこの武家屋敷にはない道具で料理を作ってみたいだけだろう。
それを言えば、この目の前にいる弓兵は未熟者を庇うのかと気分を簡単に害してしまうに違いない。
「あー、オレってば無駄に空気読めるのが不運だよな」
生前は多くの民に敬われ友には雑でありながらも絶対の信頼で自由に振る舞っていたことを思えば、この現界で無駄に処世術を学んだ気がする過去の英雄だった。
「ラックEがいまさらなにを」
ランサーの言う意味を理解していない弓兵は、やはり無表情で少しずれた返事をする。
「そんで、お前はなんでその場にいずにここで寿司巻いてんだ?」
「今日が節分だからだ」
会話が一巡してしまった。
ランサーは積まれた巻き寿司を眺め、数度大きく呼吸をすると再びアーチャーへと視線を戻した。
「だから節分ってのは分かったがなんでお前は嬢ちゃんのためのご馳走を作らずにここで寿司巻いてんだ節分ってのはよくわかった」
聖杯から与えられた知識と、バイト先での世間話により節分というものがどういった年間行事であるかは知っている。
だが、それが凛の誕生日を優先するとはランサーには思えなかった。
「凛が、節分なので太巻きが食べたいと言ったからだが? そして遠坂の屋敷の台所はすでに定員オーバーなのでこちらに来た」
「・・・ああ、そう」
至極分かりやすい答えにランサーは脱力すると座卓へと顎を載せる。
最初からそう言いやがれと思いつつ、ランサーは口を閉ざすと作業を再開したアーチャーを眺めることにした。
酢と、出汁と醤油、そして海苔の香り。
普段食事が並べられる座卓には、下準備されたさまざまな具材が並べられている。
「なんか、複雑な匂いだな」
「作ってしばらく置けば、味も匂いも馴染む」
「いま食っちゃいけねぇのかよ?」
「まずは凛に供するのが道理であろう。君の言う誕生日主役のご希望の品だからな」
それを言われるとランサーはいいじゃねぇかよ一本くらい、とは迂闊に言えない。
「腹減った」
「貴様はここに何しに来た」
「アホかテメェ。オレの手にある花束見て言ってんのかよ」
言うと、ランサーは畳に置いていた花束を持ち上げた。
がさり、と重量のある音をあげて花束が鳴る。
「嬢ちゃんの誕生日パーティするって聞いてたからな」
「女性に対する配慮だけは得意と見える」
「妬くなよ」
「鰯のかわりに貴様の首を玄関にでも飾るか」
「んなことしたら後で後悔して泣くから止めとけ」
「誰がだ!」
ばんと座卓を叩いて弓兵が反論する。
そこでようやくアーチャーの表情の変化を見られたランサーはにかりと笑った。
「・・・なんだ貴様、その顔は」
不満そうな声と表情。
「いんや、それでこそお前だなって」
「古代人の思考は理解できん」
わざとらしい嫌味を吐くと、弓兵は再び作業を進めた。
「ところで」
「うるさい。これらは夜まで食べることは許さん」
「いや、そうじゃなくってよ」
相変わらず顎を座卓に載せたまま、ランサーは視線を合わせてくれないアーチャーを見上げる。
「なんで台所じゃなくって、こっちで作業してんだ?」
座卓に広げられた食材。
きゅうり、玉子、炊いたニンジンとかんぴょうにしいたけ、カニかまぼこ。
それらは確かにたくさん並べられていたが、キッチンの調理台でも台所のカウンターでも載せられる量。
わざわざ座卓まで材料を運び、気軽に水を使えない場所で作業するなど合理的に作業を進める弓兵にしては不自然と感じなくはない。
「ボウルに水入れて持ってきてまでここで寿司巻く理由が分からん。お前が立ちっぱなしで料理すんのはしんどいとか言うわけねぇし」
ランサーの素朴な疑問はアーチャーを驚かすには充分だった。
伏せていた顔を上げ、目を丸くしてランサーを見る。
「・・・言われてみれば、そうだな」
いまそれに気付いたとばかりにアーチャーは不思議そうに首を傾げた。
「なぜ私は居間で巻き寿司を作っているんだ?」
自身に問う言葉。
その様子にランサーは一瞬焦りを抱く。
不思議がるアーチャーの表情は、あまりにも幼いものだった。
つい先ほどまでふてぶてしい表情をしていたくせに、まるで心の柔らかい部分を露出させたかのような幼い表情はきっとこの場には相応しくないもの。
違う、そんな顔を見たかったわけではないとランサーが感情のまま口を開こうとした瞬間。
玄関からカラカラと扉を開く音が上がった。
「しーろーう! いるー?」
聞き慣れた声の後、ぱたぱたと廊下を進む音。
ランサーとアーチャーの目は、自然と廊下と繋がる戸へと向く。
「しろーう! おねいちゃ、って、あれ?」
襖を開いた先。
そこに求める人物の姿はなく、やって来た人物は眉をぴょこりと上げた。
「よう、ねーちゃん」
「あ、いらっしゃーいランサーさん」
軽く手を上げるランサーに、大河は笑顔で応えると居間へと入る。
そのまま台所をのぞき、求める人物がいないと知ると大河は居間のふたりへ訊ねた。
「士郎、知りませんか?」
「ああ、坊主なら遠坂の嬢ちゃん家でご馳走作ってるってよ」
アーチャーの代わりにランサーが答えれば、大河はえーなどと言いながら座卓までやってきた。
「今日遠坂さんのお誕生日パーティするって聞いてたけど、あちらのお家でするなんて聞いてなーい」
「作った料理はこちらに運び、こちらでパーティをする手はずになっているので安心するといい」
冷静なアーチャーの声に、大河はあららと呟くと眉を下げてあははと笑う。
「いやーん、なんだか食い意地張ったみたいなこと言っちゃったー。そうじゃなくって、私も遠坂さんのお誕生日お祝いしたかったんですよぅ」
本当ですよと念を押す大河に、ランサーもアーチャーもなまぬるい笑みを浮かべる。
「んで? ちょっと出掛けなきゃなんねぇから、パーティの時間に遅れるけど全部食べちゃダメとか言いにきたのかい?」
にやりと笑ってランサーが言えば、大河は頬に手を当てにゃははと笑う。
「図星かよ、ねーちゃん」
「えー、だってー。遠坂さんのお誕生日でしょ? だったら絶対絶対士郎も桜ちゃんもアーチャーさんも素敵なお料理作るって分かってるんだもの」
「残念だな、藤村大河。私は見ての通り一般的な太巻きだ」
「あ、今日は節分ですもんね! 恵方巻き! 私大好きですよ!」
「ねぇちゃんに嫌いなものなんてあんのかよ」
からかうランサーの声に、大河は腰に手を当てるとえへんと胸を張る。
「あったりまえですよーだ! 私にだって苦手なものあるのだー!」
大河は座卓に手をつくと腰を下ろす。
「へぇ? なんだよ?」
意外だという顔を隠しもせず聞いてくるランサーに、大河は指を立てると真剣な顔を作る。
「それは、愛情が込められていないお料理です」
まるでCMのキャッチコピーのようなセリフにアーチャーとランサーの眉間にしわが寄る。
「はぁ? そんじゃ、工場生産のパンとかアウトってことかよ?」
そんなはずはない。
こないだだって、見切り品だといってトヨエツで大量の菓子パンを買ってきて夜だというのにもりもりと食べていたくせに。
「ブー! 違いますー!」
してやったりという顔をすると、大河は大きな瞳をくりくりとさせて両手を組んで笑顔を作る。
「そういうんじゃなくって、士郎でも桜ちゃんでも遠坂さんでもアーチャーさんでも、病気だったり不機嫌な時に作るお料理は美味しくても悲しくなるんです」
好きな人が健康で幸せな気分であってくれないといやだと大河は言う。
「ははっ! ねーちゃんらしいな!」
その答えはランサーを喜ばせ、アーチャーを微笑ませた。
「そんなわけで、今日は遠坂さんへのお祝いの気持ちがいっぱいいっぱい詰まったお料理だから、絶対絶対美味しいんです!」
「そりゃそうだ!」
わははとランサーが笑い、あははと大河が笑う。
ついさきほど居間に走った薄氷のような緊迫感は見事に霧散し、かわりに笑い声が居間にこだまする。
「それにしても太巻きたくさん作られましたねー!」
「まだ味が馴染んでいないからな、食べるのは夕飯までの楽しみにしていてくれると助かる」
やんわりとつまみ食い禁止だと言えば、大河は歳がいもなくぶーと唇を尖らせた。
「ちぇー。でもでも、今日は遠坂さんが主役の日だものね!」
主役をさしおいては食べられないと、言ったそばから大河の腹からくぅと音が鳴る。
「あ、あらヤダ! いやーん! なんてタイミングなんでしょー」
顔を赤くし、あははと照れ笑いするのは妙齢の女性であることを忘れていない証拠だろうか。
士郎相手であれば平気なことも、さすがに大人の男性を前にしては恥ずかしいのだろう。
「そ、それじゃあ、士郎に今夜はちょっと遅くなるからって言っといてください」
そう言って立ちあがろうとする大河を、アーチャーが止める。
「待ちたまえ、藤村大河」
「はい?」
なんですか? といった顔を向ける大河の目の前で、アーチャーは新しい海苔を取ると半分に切り、手早く酢飯と玉子を巻くとそれを差し出した。
「行儀は悪いが、これなら歩きながらでも食べられるだろう? なに、貴女なら門をくぐる前には食べきるだろう」
「わぁ! ありがとうございます!」
ほのかな温もりをもつ玉子巻きを受け取り、大河は満面の笑みを浮かべる。
「それじゃ、行ってきますね」
「おう、早く帰って来いよ」
「気を付けて」
座ったままのふたりに見送られ、居間の戸に手をかけた大河が振り返る。
「あ、そうそう」
「なんか忘れもんか?」
「ううん、そうじゃなくって」
大河はアーチャーを見ると、先ほどまでとは違う笑みを作った。
「むかし、士郎と一緒にここに座って一緒に巻き寿司を作ったなーって、思い出しました」
アーチャーが息を飲む音がランサーの耳に届く。
「そうやって具材をいーっぱい並べて、好きなものをね、巻いて色んな巻き寿司を作ってたんですよ。ゆでたエビとか、とびっこなんかもあったなー」
数年前の過去を思い出しているのか、大河は顎に指を当てると天井を見る。
「二人並んでお寿司作るにはキッチンは狭いし、カウンターで立ちっぱなしで作業するならってんでお膳に材料二人で並べてねー」
『藤ねぇ! 巻く前からつまみ食いするなって! 後で足りなくなるだろう! ああ、もうカマボコが・・・』
それは楽しい記憶なのだろう、大河の顔から笑みは去らない。
「私が好きなものばっかり巻くから、ちゃんとした太巻きが作れないって士郎に怒られちゃって」
『藤ねぇ! 煮締めたかんぴょうにマヨネーズなんてうわぁあああああ!!』
「ちょっと創作しようとしたら、士郎ったら怒るんですよ」
ふふっ、と大河は笑う。
視線を座卓へと戻し、見上げてくる二人の男性に向かってにこりと笑う。
「そうそう、いまのランサーさんの場所に私が座って、アーチャーさんの場所に士郎が座ってたんですよぉ」
『藤ねぇ! ちゃんと作らないならせめて邪魔だけはしないでくれ!』
そう言って血の繋がらない弟は姉のつまみ食いを見越し、一本の細巻きを作った。
「邪魔するならこれでも食って見ててくれって、士郎も玉子巻きを作ってくれたんですよ。好きだったなー、士郎の玉子巻き」
嬉しそうに話された過去は、アーチャーの呼吸を止めるには充分だった。
「ちょっと前の話なのにね、なんだか随分むかしのことに思います。それだけ士郎が成長しちゃったってことなのかなー」
声は僅かな寂しさと、弟の成長を喜ぶ色が含まれていた。
「懐かしいこと思い出させてくれてありがとうございました。それじゃ、行ってきまーす!」
茫然とする男二人を残し、大河は元気よく敬礼すると廊下へと飛び出していった。
しばしの沈黙の後、それを破ったのはランサーだった。
大河が出ていった戸から視線を外すことなく、背後にいる男へと話しかける。
「太巻き一本」
「・・・なんのことだね」
「知るか。とりあえず、太巻き一本な」
「・・・勝手にしろ」
「おっし、そんじゃ熱い茶でも淹れっか」
「いまか」
「当たり前だろ。虎のねーちゃんに寿司くれてやったんだから空腹のオレにもいますぐ食わせろ」
言うとランサーは立ち上がり、台所へと進む。
「勝手を言いおって」
「うるせぇ。そんだけ材料も飯もあるんだ、一本くらい融通しろってんだ」
「駄犬風情が生意気な」
普段であれば聞き捨てならない言葉を吐かれながらも、ランサーは怒り出すことはなかった。
「茶ぁ淹れたら、食うからな」
それまでは振り返らないと決め、ランサーはヤカンを手にすると水栓を捻った。