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レコーディング中にレコーディングエンジニアってなにやってるの?という疑問

前書き

通常、卓があるようなレコーディングスタジオではスタジオのスタッフがアシスタントエンジニアとしてついてくれます。

このアシスタントエンジニアが基本Pro Toolsの録音/再生/停止/テイクの繋ぎをレコーディング中はおこなうので、メインエンジニア(レコーディングエンジニア)がなにをしているのか?というのが意外とわかりづらく、長年いっしょにレコーディングしてきたプレイヤーでもあんまり実はよく理解していなかったりしたりもします(笑)
私はクラシック系のプレイヤーや作曲家とレコーディングをご一緒することも多く、そうするとレコーディング機会がそんなに多いわけではない業界になるのでそういう疑問も起きるわけですね。

レコーディングエンジニアの仕事

どこかのスタジオに所属していたり、事務所に所属していたり、フリーランスだったり様々ですが呼ばれればどこのスタジオにでも行き仕事をします。A社のスタジオ所属のエンジニアが競合他社のB社のスタジオに行って仕事する、ということもあります。

レコーディング当日までにクライアントと打ち合わせをして、曲の内容にあわせて「どこにどんなマイクを立てるか?どんなHA(マイクプリアンプ)やエフェクトを使うか?」ということをまとめたリスト(回線表)というものを作成して事前にスタジオに送付します。
クリックが使われるレコーディングの場合はレコーディングの様子を思い浮かべながら、どんなクリックの音色が好まれるか、音漏れしづらいか、なに音符単位で鳴らすとレコーディングが円滑に進めそうか、そんなことを気にしながら事前に仕込みをします。
アレンジャーから事前にレコーディング用トラックが送られてきた場合はそのトラックにエラーがないか、問題なくレコーディングが進行できるかざっと確認もします。

レコーディング当日は事前に送った回線表をもとに、まずはスタジオ側に用意してもらったマイクの位置を自分の意図通りの音が録れるように調整。

レコーディング前にプレイヤーのみなさんから音を出してもらって、録音レベル(音量)を決定します(サウンドチェック)。
EQ、コンプ、リバーブを使用する場合はここで「こんなもんかな?」と思った量をなんとなくかけちゃいます。モニターバランスもなんとなくここで作ります。
関係ないですがサウンドチェックでレコーディング時と同様に近い音量をしっかりくれるプレイヤーの方には感謝しかありません🙏

1曲目の最初のテイクでは、サウンドチェックでなんとなく決めた録音レベル、エフェクトかけ加減、モニターバランスをベースに、微調整をおこないます。実際のレコーディングになるとサウンドチェックのときと音量感や音色が少し変わることが多いので、そのあたりを音を聴きながら、メーターを見ながら微調整する感じです。

レコーディング時のモニターバランスやモニターの出音について、人によって考え方は様々ですが私は「まずプレイヤーが演奏しやすくて、アレンジャーやディレクターが完成図をある程度想像できて、エンジニアもノイズなどエラーに気づきやすい三者の落としどころになる音」を目指しています。

レコーディング時点で完成予定図に音を寄せすぎると(エフェクト処理をおこないすぎると)プレイヤーが「自分の音ってこんな音だったっけ?」と自身の演奏に対する判断を悩んでしまいます。

かといって、完成予定図では結構リバーブを効かせるつもりなのにレコーディングはノンリバーブで進行してしまうと、アレンジャーやディレクターという演奏に対してジャッジする立場の人が「今のテイクは良かったのか、もう一回録り直したほうがいいのか?」という判断がしづらくなってしまいます。

その辺りのバランス感を探りながら、みんなが仕事しやすい音を1曲目の最初のテイクを録っているうちになるべく素早く作ります。

そのあとのレコーディングでは、録音レベルをメーター見てたまにちらちら監視しながら、常に「適切なモニターの音になっているか?」を気にして、ズレていたら微調整を繰り返します。
ただ、プレイヤーたちも一度作られたモニターの音を聴いてそれに合わせて演奏しているので、あんまりころころ変えるとプレイヤーが混乱します。
例えば「スネアの音が少し小さい気がしたので大きくした」をプレイヤーもエンジニアもおこなってしまうと、めちゃくちゃ大きくなってしまうわけです。
なので基本はほんとに僅かな微調整にとどめ、大幅な変更はよっぽどなにかあっとき、程度にするように私はしています。

これはあくまで1曲のなかでの話で、曲が変わったとき、とくにアレンジャーが変わったときはがらっとモニターの音を変える必要がある場合もあります。

そしてこういう操作をおこなうとき、歌1本やダビング程度だったらPro Tools内でもできますが、オケの同録(同時録音)なんかだとマウス操作だと間に合わないわけです。
卓を使えば複数のトラックをぱぱっと操作できるので、なので大型スタジオには卓が置いてあり、レコーディングエンジニアは卓の前に座っているわけですね。私はドラム録りくらいの規模になったらPro Tools内でバランス録るんじゃなくて卓で作業したいです。

ちなみにディレクションはレコーディングエンジニアの業務ではなくディレクターの業務なので、演奏に対してエンジニアがどうこうコメントしたり指示したりということは本来しないのですが、アーティストからの直依頼案件などでディレクターがいなく、アーティストと信頼関係もある場合はエンジニアが色々コメントしたりすることもあります。

私はエンジニア兼ディレクターで呼ばれることも多いのでその立場で呼ばれているときは色々お話しして私を中心に進行させていただきますが、純粋にエンジニアとしての立場で呼ばれているときはエンジニアの本来の業務に注力します。
たまに、エンジニア=ディレクターと勘違いされている方もいて(クラシック方面はエンジニアがディレクションをすることも多い気がします)「あのエンジニア、全然ディレクションしてくれなかった」みたいな話を聞いたりすることもあるのですが、本来別業務なのでディレクションもお願いしたい場合は事前に認識のすり合わせをしておいたほうが当日ごたごたしなくて済むかな、と思います。

アシスタントエンジニアの仕事

それに対して、アシスタントエンジニアの仕事です。
レコーディングエンジニアはあちこちのスタジオで作業するのに対して、アシスタントエンジニアは基本的にそのスタジオ専属のスタッフです。

レコーディングエンジニアから事前に受け取った回線表やセッティング図をもとに、レコーディングスタート時間に間に合うように事前に準備を済ませておきます。歌録り程度であれば数十分で終わりますが、大編成の同録だと3時間くらいかかることもあります。事前にばっちりのセッティングを済ませておいてくれているアシスタントエンジニアのみなさんには本当にいつも感謝です!
セッティング図がなくとくにセッティングについて指定されていない場合、「自分のスタジオでは通常、こういう配置で録ることが多いな」という配置で並べておきます。

レコーディングの作業が気持ちよくおこなえるよう、スタジオの掃除をしておいたり、鉛筆を削っておいたり、コーヒーを補充したりといった環境整備もアシスタントの仕事です。

エンジニアがスタジオに到着したら、エンジニアの持ち込み機材がある場合はそれらを受け取って迅速にセッティングし、エンジニアのマイキング作業をお手伝いします。

レコーディングが始まったらPro Toolsの操作は基本的にアシスタントエンジニアの仕事です。録音、再生、停止、テイクの繋ぎ作業などはアシスタントエンジニアがおこなっていきます。
音に関わる部分はレコーディングエンジニアの仕事なので、「各トラックの音量、定位、エフェクトを触る」をPro Tools内でおこなう場合はアシスタントではなくレコーディングエンジニアが触ります。なので通常、画面/マウス/キーボードの3点セットはレコーディングエンジニア席とアシスタントエンジニア席の両方に置かれています。

ここまで読んでいただいておわかりの通り、レコーディングエンジニアの役割は相当重要ですがアシスタントエンジニアの役割もなかなかにウェイトが高いです。
レコーディングがスムーズに進行するかどうかは、アシスタントの腕にかかっていると言っても過言ではない感じです。

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レコーディング中にレコーディングエンジニアってなにやってるの?という疑問|三國浩平/作編曲家、レコーディングエンジニア
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