介護学科を受験する留学生の紹介業者、取材した大学・短大30校のうち9校が契約…獲得競争の激化で大学担当者「安定した業者は特に信頼」「近くなりやすい環境」
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大学・短期大学の介護学科の留学生を巡り、大学の間で、受験生を紹介する業者の利用が広がっている。介護人材は外国人が増え続けている一方、大学側に受験生を募るノウハウがないためだ。東大阪大(大阪府東大阪市)では、業者への「過度な配慮」から不公正な入試判定が行われていたことが発覚した。業者との適切な距離感が求められる。(山根彩花)
■「ウィンウィン」
第三者委員会の報告書や東大阪大への取材によると、同大学は2025年度の短期大学部介護福祉学科の留学生入試で、大阪市のコンサルティング会社から紹介された受験生に対し、優先的に合格させたり、募集要項にないオンラインの受験を認めたりしたことが判明している。同学科の入学者127人のうち、同社の紹介が半数以上を占めた。
大学を運営する学校法人「村上学園」は同社の助言で18年に介護福祉学科を開設。同社は、受験生の紹介のほか、卒業後の就職先となる介護事業者の仲介も行っていた。
中村光男学長は昨年12月の取材に、同学科で長年、定員割れが続いていたことを挙げ、「受験生とウィンウィンの形で受け入れてしまった」と振り返った。
業者を利用すること自体に問題はなく、同大学は優遇を改めた上で、26年度入試でも同社から受験生の紹介を受けたという。
■留学生が初めて5割超
複数の大学関係者によると、介護職は仕事がハードで低賃金のイメージがあり、介護系の学科は日本人学生が減少。経営が苦しい大学・短大は少なくなく、留学生の獲得競争が激化している。
厚生労働省によると、25年度に大学や短大、専門学校などの介護福祉士養成施設325校に入学した7970人のうち留学生は57%の4532人。留学生が占める割合が初めて5割を超えた。
読売新聞は、東大阪大以外で、24年度の介護福祉士の国家試験で留学生の受験者がいる大学・短大30校に取材。21校は「業者を利用していない」などと答え、9校は留学生の募集のためにエージェント会社やコンサル業者と契約していると回答した。受験生が入国するのに必要な書類の準備や、海外を回って学生に受験を呼びかけることを任せているケースもあった。
入試での優遇の有無については6校が回答し、多数の職員が関わっていることなどを理由に、いずれも「起き得ない」と否定した。
佐賀女子短期大(佐賀市)は地元の業者に依頼していたが、短大に補助金を出す佐賀県から「複数の業者から契約金額の見積もりを取るべきだ」と指摘を受け、24年から別の業者にも依頼している。藪敏晴副学長は「手続きの透明性を保つことを大切にしている」と語った。
十数社の業者と契約している大学の担当者は「長年受験生を安定的に紹介してもらっている業者は特に信頼している。優遇はしないが、距離が近くなりやすい環境はある」と明かした。
■合格が前提
卒業生を雇用予定の介護事業者は、合格を前提に考えており、合否への影響が懸念される。
石川県の介護会社は、外国人を誘致する専門部署を設置。17年から自社の選考に合格した外国人を介護福祉士養成施設に紹介し、卒業後は自社などで働いてもらう支援制度を実施。担当者は「合格できる人材を送っている」と話した。
介護業界の外国人について研究する静岡大講師の比留間洋一氏は「介護事業者側から学費や生活費の奨学金を受け取っている留学生もおり、不合格になると返済を求められ、借金を抱えることになる」と指摘。「大学側も仲介業者から、入試前にこうした事情を伝えられることが多く、『何とか合格させてあげたい』との心情になる可能性がある」と語る。
留学生の受け入れに詳しい一橋大の太田浩教授(国際・比較教育学)の話「受け入れに必要な専門知識や経験がない状態で多くの留学生を入学させようとすると、大学がエージェント会社に丸投げし依存してしまう可能性がある。大学が日本語学校との連携を強化し、語学教育から学位取得まで一貫して教育することで、留学生を誘致できる仕組みを整えるのが望ましい」