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Heaven's hell/Novel by 赤木

Heaven's hell

4,432 character(s)8 mins

スパイ的なエージェントで相棒しているランサーとアーチャーの話。
槍→弓

唐突に銃撃戦っぽいアクションが書きたくなった。
が、お色気要素が満載になってしまった、反省。

色々考えている話を、せっかくなので最初だけ書いていこうというコンセプトで後々まとめる話の第二弾。

前回のお話を含め、コメント、スタンプありがとうございます!!
続き書こう!!とすごく気合が入り、本当に有り難いです。

この手の海外ドラマみたいな話で、ストレートで女好きの槍とゲイでよくゲスいのに引っかかってる弓のバディものもいいなぁと思ったり。
暴力振るわれたりするけど、一般人に手を出せずに好きに殴らせてしまう弓にすごく怒る槍とか
最初はとっかえひっかえ変わる弓のあまり良くない恋人歴を、からかったり流したりする槍だけど、段々と相棒としての愛情が傾いていく内に、「俺の相棒傷つけてんじゃねぇよ」っていう怒りや独占欲が膨れ初めて、その内にそれが恋情に変わってりしてるといいなぁ

殴られて顔腫らした弓の手をぎゅっと握って、
「俺にしとけよ」
っていうランサーがみたいです

「君はストレートじゃなかったのか?」
「お前傷つけられんのもう耐えらんねぇんだよ。俺にしとけ」
「君みたいな良い男、私には勿体ない」
「絶対傷つけねぇから。なぁ……」
するりとランサーがエミヤの褐色の頬にすり寄る。

みたいな。
この後、「私で勃つのか」みたいな会話して、初セックス後に、体の相性が良すぎてずぶずぶランサーの愛情に溺れて幸せになるエミヤがいるといいな。
でも、しょっちゅう殴り合いの喧嘩もしててほしい。

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仕事終わりの一杯というのは至福だ。
困難な仕事であればあるほど、その幸福は身に染みる。
随分と久しぶりに訪れた馴染みの店は、変わらずにランサーを迎えてくれた。薄暗い店内は、しかし橙の間接照明のおかげで温かみがあり、人はまばらで落ち着いている。
賑やかな場所は勿論好きだが、静かに飲みたい時ランサーは好んでよくここを訪れていた。もう通い始めて長くなるが、気に入りの場所であり、静けさを求めている以上まだ誰かを連れてきたことはない。いや、本当は今日誘ったのだが、つれなく断られてしまった。

上品すぎない洒落た店内や、酒を飲ませる場所にしては勿体ない程の美味いつまみと飯が出てくるから気に入ると思ったのだが、仕事明け早々では、汚れを落とすシャワーの方が最優先らしい。この後、一杯と誘った時に返された蔑みの目は、少々癖になりそうなほどあからさまで、見事に玉砕したことを言葉にせずとも教えられた。
いつもの席に座ると、長く間が空いたせいか初老のマスターがほんの少し眉を上げてみせたが、何も言わずにいつのも酒を出してくれた。こういう所も気に入っている一つだ。
琥珀色の酒を一口含めば、芳醇な匂いが鼻に抜け、気持ちの良い辛みと共に喉を焼く。
こうした場所でアイツはどんな酒を頼むのだろうか。強くないことを知っている。だからといって甘い酒を頼むことはしまい。見栄を張るために頼むのならばあの辺りか、いや、潰したいわけではないから無理はさせない方がいいに決まっている。
いやしかし、良い感じに酔ったアイツの可愛さときたらとんでもないのだから、それを楽しまないという手はない。鋭利な鋼の瞳がとろりととろけ、褐色の肌に朱がのぼり、幾分も柔い口調になった破壊力が──。
そこまでつらつらと考え、ランサーは長く息を吐く。
今隣にいないことが惜しい限りだ。少々強引にでも引っ張ってくるべきだったのかもしれない。
そう考えていると、ポケットに入れていた携帯電話が震えて着信を知らせた。

《Archer》

相手は先ほど別れたばかり、今しがた考えていたランサーをすげなく振った相棒だ。仕事が終わって連絡してくるとは珍しい、と通話ボタンを押し耳に当てた瞬間に聞こえたのは、派手に銃弾が飛び交う鈍い音だった。
「随分賑やかだな」
電話の向こうの様子はそれだけで察することはできた。静かなバーのとはまるで別世界のランサーたちにとっての日常だ。
「おかげ様でな。くっそ!」
至近距離から聞こえた一発鈍い銃声。しかし、後に何倍もの銃声と辺りが弾け飛ぶ音がした。
「珍し、荒れてんな」
いつも冷静な彼には珍しい声音だ。それに普段はランサーと対峙している時以外に彼はこの手のスラングを吐くことは滅多にない。
「私はシャワーを浴びてたんだぞ!」
銃声の合間に聞こえた叫び声に、思わずランサーはにんまりと笑う。思わず、その状況を頭の中で思い描いてしまったからだ。
「何だ、今裸なのか?」
「っ……!」
ノイズの混ざる向こう、派手に砕け散る音の中に返事は聞こえず、それが何よりの肯定だった。ランサーが口笛を吹くと、即座に返ってきた怒号に携帯を耳から離す。
「ランサー!!!!」
「悪ぃ、悪ぃ。それで?俺の方にも来てないかって心配してくれたわけ?」
「何を言ってるんだ、貴様は」
低い声がさらに低くなり、電話だからこそ余計直接的にランサーの鼓膜を震わせる。良い声だ。こんな時でさえもそう思って心が昂る。

偏屈で皮肉屋で完全無欠の皮を被ったどうしようもなく優しい相棒に、すっかり参ってしまっているのをランサーは自覚していた。
自覚してからにはランサーに隠すという選択肢はない。猛烈なアプローチに、日々拒絶し、呆れ、困惑していたアーチャー。
バディを組んだ当初はとてもドライな関係だった。いや、それを通り越して険悪といってもよかった。ただ仕事だから組んでいるだけ。あの頃だったら、この状況をアーチャーは一人で切り抜けただろう。もしかしたら、事後報告もなかったかもしれない。

それを、今はこうしてわざわざ電話してきた。銃撃戦の最中、自分の命が危険に晒されている中で。これは相当自惚れていいのではないのだろうか。
果たして、相棒の無自覚な本心は、口にしたこちらの心配か、本人が露とも自覚のないSOSなのか。いや、こちらの好きにとらせてもらおう。欲張りに、両方と。

「西通りだな。すぐ行く」
「来なくていいわ、たわけ!」
別れた後の時間を考えて目途をつけたセーフティハウス。本当に来てほしくないなら、もっと気の利いた答えを返すはずだ。いつもより焦っているのが声でわかる。丸腰で襲われたにしても、アーチャーならばさほど問題はないはずだ。ならば何かが起こっているか。こうした己の本能の中で感じる些細な違和感やひっかかりをランサーは逃さないようにしていた。
「へぇへぇ。あー、回りうるさくて聞こえねぇなァ。いつもんとこに車つけとくから、そのままで来いよ、ダーリン」
「だから、クソ!!貴様、人の……」
まだ電話の向こうでは愛しい声が続いていたが、ランサーは気にせず通話を切る。

残った大半の酒をくいっと豪快に煽り、グラスを置く。
「何だ、もう行くのか?」
カウンターの向こうのマスターに声を掛けられる。座って五分も経っていない。ランサーは肩をすくめた。
「さっき別れたばっかりの可愛いダーリンが、もう寂しいって言ってくれるんでな」
でれっとした惚気に、付き合ってられないとばかりに首を振られた。そういえば、こうしたプライベートの入った会話をするのは初めてかもしれない。
「今度はそのダーリンとやら連れて来るといい」
そのせいか、そう返ってきたマスターの言葉にランサーは笑顔で頷いた。
「おう、今度な」



西通りの小さな路地に車が到着すると同時に、五階の非常口の扉が乱暴に開いた。
「アーチャー!」
サンルーフを開いて叫ぶ。
と、声に反応したアーチャーが身をひるがえして何のためらいもなく非常階段の手すりを飛び越えた。
敵の銃弾が落下するアーチャーの頭すれすれを通り抜ける。
「ばっ」
かじゃないのか、と言いかけた口を閉じる。
アーチャーもさすがに五階から真向に飛び降りることはなく、下の階の外付けの古い金属の非常階段の踊り場の柵に一度手をかけ、もう一度飛び降りる。
気付いた敵が下に向かって銃を構えるのを、ランサーは下から応戦する。アーチャーほどではなくても、この距離ならば外すことはない。
二階に危なげなく達したと思った瞬間、古い柵がアーチャーの飛び降りて来た体重を支えきらずにバキリと無残に折れた。
「あ」
反射的に足が車を動かす。
受け身もとれずに、アーチャーはサンルーフから車の中に落下した。鈍い音だったが、すぐに起き上がる姿はさながらサイボーグみたいだなと、ランサーは声を出さずに思った。
「何だ、パンツ履いてんじゃん」
だが違うことは口にする。
しなやかな筋肉で覆われたアーチャーの褐色の体は唯一黒い布地で守られていた。マイクロボクサーだ。
「私がこの尊厳を死守するためにどれだけ頑張ったと思ってるんだ!ランサー!!銃は?!!」
「銃は後ろ。……なぁ」
ランサーは車を発進させながら、怒涛の勢いで勝手知ったる人の車の座席を押し倒し、銃の入ったザックを開けるその背中に声をかける。
「何だ、私は今忙し……」
「ジャケット、着るならそこな」
俺のだけど、と付け加える。物騒な武器が詰まった黒いザックの隣、ランサーのジャケットが無造作に投げ出されている。
後は相棒の判断に任せ、ランサーはカーチェイスに専念することにした。

「ランサー!大通りには出るな、人が巻き込まれる!!」
「無茶言うな!!」
コンパクトなスポーツカーは狭い道でも小回りは利くが、体格のいい成人男性が二人乗るには中々に手狭だ。
銃を手に持ち、サンルーフを開けるすぐ側の気配に思わず目をやり、ランサーはすぐに後悔した。
張りのある柔らかな筋肉に覆われた足はむき出しで、短い丈のジャケットからピタリとしたボクサーパンツに覆われた形の良い尻が、後方の敵に狙いを定めているために突き出されている。真横で。

「役得っつーか……」
正直、天国のような地獄だ。

追ってきた敵の追跡をかわすために無理に進路を変更し、思い切りハンドルを切る。それでもぶれない体幹はさすがだが、正直すぐ隣に魅惑の尻と足がある事実は変わらない。
「ランサー!」
名を呼ばれただけで何を望まれているのかがわかるようになったことは、もう少し褒めてほしいし、惚気るくらいしてほしいのだが、いかんせんそれが伝わっているか難しいところだ。
「へいへい」
「ランサー!」
これはお怒りの名前呼びだな、と手元を見ずに予備弾を渡す。
しかし、好奇心は抑えられずにチラリと上を見てしまった。
むっちりとした胸筋がランサーの細身のジャケットでさらに強調されて苦しそうだ。乳首が見えそうで見えないのも満点。はち切れんばかりという言葉が良く合う、けしからん状態になっていた。
「ふわーぉ」
ふざけた呟きは銃撃戦の音に掻き消えたが、聞こえていたら大目玉だろう。


アーチャーが残りの弾を全て撃ち終る頃には、追っ手の数は激減していた。後はランサーが物理的に距離を引き離していけば撒いてしまえる。
「ここを抜けたら本部に連絡だ」
「だな」
アーチャーのいたセーフティハウスはエージェントたちに教えられている休息や隠れ蓑として使う場所だ。それが敵に知られているのならそれは大きな問題になる。
秘匿を何より重んじている組織だ。外部からの不正アクセスで漏れたとは思えない。それならば、一番に考えられるのは内部の人間の犯行だ。
「……」
考えることは同じらしい。
固い顔をしているアーチャーと目が合う。視線が絡む。
そこから先に目を反らしたのはランサーだった。
「……その前に服なんとかしねぇ?」
どんなに腕を組んで恰好をつけたとしても、アーチャーの全裸ジャケットの破壊力は凄まじい。
というか、腕を組まないで欲しい。谷間が、谷間が強調されている。
「ど、どこを見てるんだ、たわけ!!」
「いや、見るだろ」
運転していないのなら前ではなく、横をガン見していたいのがランサーの正直な欲求だ。
隠すためだろうが、足を組んでいるのも逆効果だ。
正直、太ももを鷲掴みにして足を開かせたい欲望がムラムラと湧き起る。

「たわけ!このドたわけ!!私を見ても面白いことなど何も──ランサー!前、前!!!!!」
目の前を突っ切ってきた大型トラックにランサーは慌ててハンドルを切る。

「っっっ!!!!!」



その日から始まる怒涛の一週間を、後にランサーはこう振り返る。


「天国と地獄が一遍に来た、みてぇな」



Comments

  • わんわんお
    January 13, 2025
  • p13
    December 17, 2023
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    相棒っていい!続き待ってます!

    October 20, 2018
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