【Fate】続・戦場に捨てられた男【第5次槍弓】
軍人パロの続きでございます。一応。試しに書いてみたんですが、なんか上手くいかなかったです。これ【novel/821773】の続き。私一発屋なんだから…続きとか、期待しちゃ駄目だよ…orzくじけた で、これ以上は多分つまらなさそうなので書きたかったなーってネタだけ2ページ目においときます。結局槍弓になってない…そこに行くまで書きたいって気はあるんですが、すっげー長いね…R指定とか入りそうだし。あと、槍主人×弓執事ネタとかよくないです?誰か!あ、これの続きネタの方も書いてくれる方いないかな…!【追記】2/20ルーキー8位有難うございます♪ヽ(´▽`)/相変わらず誤字すいません…あと言い出しっぺは、どれに掛かってる…?続き?主人×執事?てか続き見たい、です?【追々記】2/21ルーキー2位…((((;゜Д゜)))有難うございます!ブクマも…!続き…うーん、haプレイ中で…←
- 230
- 162
- 14,547
なんちゃって軍人パロ
ノリとテンションで呼んでください
前回のあらすじ
弓が、槍の捕虜←
「この男の身柄は、俺が預かる」
部屋に響いた言葉はまるで誰の耳にも入らなかったかのように静かに消えていった。その言葉の意味を、誰もが瞬時に理解できなかったといっても過言ではない。
それは、言葉を発した張本人、ランサー自身とて同じであった。
言葉を口にしたのち、わずかに静寂がよぎる中、一番初めに動いたのはランサーで、しかもその表情は驚きに目を見張り、信じられないというように己の口元を手で覆い隠した。
今部屋に響いたのはまぎれもなく自分の声であり、言葉を発したという意識はある。だが、その言葉は何と言った?
目の前の空っぽの男には生かしておく価値などないはずだというのに。記憶がないからとどこかに放り出し、敵国に保護されては困るのは自国。そして記憶を持たぬがゆえにいくら情報を引き出そうとしても、それは無意味。
つまり目の前の男には今何の価値もないのだ。むしろ殺してしまうほうが、国にとっては益になることは明白。だというのに、生かしておくだけではなく、自分の手元に置こうとしている。
己の言葉の意味が、ランサーには理解できなかった。
「中佐!しかし…」
「どうせ記憶ねぇなら殺意もねぇだろ?寝首かかれることもないだろうし」
「思い出して、ということもあります」
「部下助けるために自分を犠牲にする男だぞ?生かされた恩を仇で返すとは考えがたい」
「ですが…」
「いいんだよ。全責任は俺がとる。たとえ俺に何かあったとしても、この国に手出しはさせねぇさ」
理解はできないというのに、戸惑う部下の言葉に聞く耳を持たず、どうにか男を連れ帰ろうとしている自分がいた。
理性の部分では自分がしている行動の意味を否定する要素をいくらでも持っている。だというのに、それを上回るほど、本能が男を欲していた。きっとそういうことだろうと、理性の部分すらも押さえ込んで、ランサーは諦めたようにため息をついた。
欲しいと思ったことは確かに事実なのだ。たとえ自分が殺されたとしても、この男に殺されるのならば構わないと思えるほどなのだから、もう手におえる範疇を過ぎている。
ならば本能に従ったほうがいい。我慢をするのは性分に合わない。欲しいものを欲しいときに、欲しいままに。それがランサーの信念だ。
「そういうことだ、一緒に来てもらうぜ?」
「好きにするといい。君の言うとおり、私には帰る場所はないのでね」
人好きするといわれる笑みを浮かべ、ランサーは座り込んでいる男と目を合わせため、男の前にしゃがみ込んだ。
そこは捕虜にするにしては異質な行動ではあるが、それを咎められるだけの人間はこの部屋にはいない。何より、部下はランサーが信頼している者ばかりであるし、ランサーの自由奔放さを理解している。
今のことも誰もがバカげていると思いながらも、これ以上止めようとしないのは、言っても無駄だということを長年の経験から知っているからであろう。そんな物分りのいい、いや、理解ある部下にランサーは心から感謝した。
「じゃ、俺の家に連れてくから。手は拘束させてもらうぜ?」
この男、砦の守護者を捕虜としてとらえたことは、本来ならば上に報告すべきことなのであろうが、ランサーはそれをしなかった。
報告することで、この男がどんな目に合うかなど、火を見るより明らかだ。どれほど記憶がないと主張したところで、気が狂うほどの尋問を受けさせられ、ありもしない情報を聞き出そうと、地獄のような日々が始まるだろう。
最終的には廃人か、最悪の場合死に至る。むしろ死んだほうがましだと、途中で思うかもしれない。そんなところに、この綺麗な男を送ることなど考えただけでも反吐が出るようなことである。
記憶をなくしてもなお自己を失わず、ギラギラと光る鋼色の瞳。それがなくなるなど、考えたくもない。
「あぁ、私は捕虜なのだろう?これくらいは当然だ」
「理解が早くて助かる」
「いや、むしろ殺されてもおかしくないような状況で、私は君に助けられているのだろう?これくらいで済んでいることに、感謝こそすれ、恨むことはあるまい」
後ろ手に縛っていた拘束を外し、手枷をする。その行動を制限するだけでなく、外に出れば一目で囚人か、捕虜だと分かるようにするために。
普通ならば拘束されることに眉の一つも動かすものだが、男はあっさりとその拘束を受け入れた。しかも、自分が今おかれている状況を把握しているようであるのだから、驚きの一つも浮かぶ。
「無くなったのは、個人の記憶や、情報ってことか…」
「何をぶつぶつ言っているのだ?」
「いや、お前がどれくらい忘れてんのかなって思って。生活に支障ない常識面は記憶しているようだな」
「あぁ、確かに…そのようだな」
口にしておきながらも、それは記憶でないと、ランサーは舌打ちした。言葉を話す、道具を使うといったようなことは、経験から学ぶものではない。人が身につけることのできる学習の面、つまりは記憶ではなく、記録。
今この男の中にあるのは自己を完全に排除した記録の面だけが残されているのだ。その記録がいくらあったところで、この男そのものが構成されることは決してない。
男が男たるべき情報はどこにも存在していないことを改めて思い知らされ、ランサーは自然と苛立ちを募らせていく。だが、これはただの八つ当たりだ。男の国がした、国を守ろうとした者への仕打ちとしてはあまりにも酷なものに対して。
男は何も悪くはない。ただ守ろうとしただけだ。大切なものを、決して掛け違えることもなく、真っ直ぐに貫き通しただけ。
ただ、それを貫き通した砦の守護者は、今ランサーの前にいる記憶をなくした男とは、きっと別人なのであろう。
「あぁ、そうだ。お前の名前なんだが」
「ん?君は私の名を知っていたではないか?」
「お前の名前は知られすぎてる。その名を名乗ってたらどっかで命狙われんだろ?勝手に死なれたら俺の責任になんの」
「そうか…君の迷惑になることはやぶさかではない。しかし、捕虜に名など必要なかろう?」
話をそらすように違う話題を振るも、返ってきた答えに、ランサーは再びため息をついた。
部下を逃がした、というところから、なんとなくわかっていた。この男は、自己犠牲で成り立っている節があると。自らのことなど後回しで。それがどれほどかと思っていたが、まさか記憶をなくしても染みついたそれが取れないなど、厄介極まりない。
まるで、自分を物か何かと勘違いしているような言いぐさ。記憶をなくしても自己を持った男は、自分自身でその自己を否定し、物のように扱っているなど、なんと滑稽な姿だ。
忘れてしまったのなら、そういうしがらみも置いてくればいいのにと、今はいない、エミヤシロウに対して、心の中で罵倒を吐く。
「あ、アーチャーなんてどうだ?」
「は?君は今人の話を聞いていたのかね?」
「お前、戦場では弓の名手だったんだろ?俺も槍使いってんでランサーって通り名があるんだ、だから…」
お揃いな、と口元を引き上げて笑って見せれば、男、いや、アーチャーは驚いたように目を見開いた。
記憶をなくした男を、砦の守護者、エミヤシロウと呼ぶには、あまりにも不釣り合いで、その名についたしがらみを、ランサーは目の前にいる男に背負わせる気などなかった。命を狙われるから、など言い訳に過ぎない。
ただ、おいてきてもいいと思えるものを、己の前で捨てさせるため。此処にいるのは、砦の守護者と呼ばれた男ではなく、ランサーの捕虜となった男、アーチャーなのだと、独占欲を誇示するように名前を付けた。
そんなランサーの真意を知ってか知らずか、アーチャーは困ったように苦笑をした。
「お揃いか…」
「そう、お揃い。いいと思わね?」
「そうだな…、断る理由はない。それに…、悪くない…。エミヤと知らぬ名で呼ばれるより、ずっと…」
聞こえた言葉にランサーは満足げに笑う。エミヤシロウは記憶をなくす前の自分の名。そして、アーチャーは記憶をなくしてからの自分に付けられた名。どちらがいいかと考えた末、男がとったのは、ランサーがつけた名の方。
命掛けで守ろうとした国に、その名を置いてきたように思え、ランサーは喜びに打ち震えた。それと同時に、誰にも渡したくないという気持ちがより強くなる。
ランサーはアーチャーを手に入れた。欲するままに。次は、誰にも取られぬようにするのが、当然の流れであろう。
「わかった。ならそれで。これからよろしく頼む」
「あぁ、こちらこそ」
浮かべられた笑みは、どこか安心したような、柔らかなまなざしがともっていた。
己はエミヤシロウの守ろうとした国の、敵将であるにもかかわらず。ただ、アーチャーにとってそれは関係のないことなのだろう。
それが一層ランサーの喜びを増長させたのは、言うまでもない。
「しかし、男の部屋に期待すんなよ?俺は家事はからきしだし」
「そのくらいなら私がしよう」
「へ?お前そんなことできんの?」
「あぁ、多分だが」
「んじゃ、よろしく頼むわ」
家についたのち、試しに作ってみたと出された料理のおいしさに、違う意味でランサーはアーチャーが手放せなくなってしまったのは、また別のお話。
そして、あまりの家事の出来に、アーチャーの手枷が、鎖の付いた今より少し可動域の広がるものに変わるのに、そう時間はかからなかったという。
終わりー