映画が拡散した“誤った福島像”。この15年、風評加害側の責任は「放置」されてきた【専門家インタビュー全文】
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「これは事実と違う」と立ち止まる
――映画には「子どもを産めない」といった描写もありました。原発事故の放射線被曝そのものによる健康被害はないことは、これまでの科学的知見からも明らかです。 これらの事実は、公的資料や過去の新聞記事を調べればすぐに確認できるものです。 通常の社会問題であれば、最低限の事実確認をした上で語るのが当たり前ではないでしょうか。 ところが、福島の問題については、何も調べないまま、いわば“丸腰”で語っても「いいね」と言ってくれる人がいる。そうした歪んだ構造があります。 この状態を放置したままでは、地道に正確な情報を発信し、誤解や差別と向き合ってきた福島の人々の努力は報われません。 別の角度から見れば、科学的事実を積み重ね、差別や偏見と闘ってきた人々の存在を、こうした映画は軽んじ、嘲笑しているようにも映ります。 ――福島を題材にした創作活動は、事実、科学、当事者の声、表現の自由などとどう向き合えばいいのでしょうか。 古い認識や凝り固まったイデオロギー、政治・経済的な利害関係の中で、物事の一面を信じ、「世界を理解したつもり」になることは、とても楽です。 重要なのは、こういう情報発信に触れたとき、「私が知らなかった世界の真実がここにある」と思わないことです。 むしろ、「これは事実と違う。もっと私は勉強したんだ」と立ち止まり、正確な情報を確認し、それを周囲に伝えていく姿勢こそが、原発事故から15年という今の社会において大事になってきます。 私が関わった高校生を対象にした研究では、回答者の7割が「福島第一原発でつくられた電気は全て首都圏などに送られていた」という事実を認識していないことがわかりました。 福島第一原発の経営母体についても、「東京電力」と正答した人は約半数にとどまり、ほかは「東北電力」「福島電力」といった誤った選択肢を選んでいます。 ただ、この回答者には悪意はありません。 こうした基礎的な認識の不足がある中で、福島に対する差別が今なお続いているという現実を、伝え続けていく必要があります。 (取材・執筆:相本啓太)
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