TAを学位修了要件に含むことを理由に修了を認めないのはアカハラ…大学院生が大学を提訴「自分と同じような学生が出ないように」
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徳島大の男子大学院生が、ティーチングアシスタント(TA)を学位修了要件に含むことを理由に修了を認めないなどのアカデミック・ハラスメント(立場を利用した嫌がらせ)があったとして、徳島大を相手取り、精神的苦痛を受けた慰謝料など約60万円を求めて地裁に提訴した。学生から相談を受けるNPOによると、他大学でも担当教員とTAとの間にトラブルが起こっているという。(佐藤萌)
訴状などによると、院生は2024年4月、徳島大大学院に入学した。当時システムエンジニアとして個人事業主だった院生は、TAの申請に必要な「扶養控除等申告書」が提出できないと大学側に相談。しかし「他の学生も出している」との回答で、指導教員も把握のうえ、労働契約を締結せずにTA業務を行うようになった。
25年4月、早期修了に向けた手続きを進めていたところ、大学側から「TAとして労働契約を締結して業務を実施しなければ、早期修了は認めない」と通告を受けた。院生はこのとき初めて、学位修了要件にTA実務が含まれていることを知ったという。
「無償で行っていたTA業務を証明してほしい」と指導教員に依頼したが、断られるなどして修了できない状況に追い込まれた院生は、精神的苦痛から「うつ病」と診断された。
院生は大学側が修了要件の根拠とする学位授与方針に、TAとしての労働契約の締結は定められておらず、強制的に労働契約を迫る行為は労働基準法に反すると主張。さらに、一部の学生がTA業務を行わずに修了しているにもかかわらず、自分のみを不当に扱っているとしている。
大学との交渉を経て修士課程を修了し、博士課程に進んだ院生は「自分と同じような学生が出ないようにとの思いで提訴した。大学には再発防止に取り組んでほしい」と話す。
この事案について、徳島大の人権委員会は25年11月、アカデミック・ハラスメントに該当すると認定。読売新聞社は審議結果の文書開示を請求したが、内容は黒塗りだった。徳島大総務課は「係争中の案件については、コメントは差し控える」としている。
「教授と学生との間には力の差」
NPO法人「アカデミック・ハラスメントをなくすネットワークNAAH」(大阪市)によると、TAの学生による同ハラスメントの相談は年に数件あるという。
川西寿美子・代表理事は「教授と学生との間には歴然とした力の差があり、問題が起こっても相談せず、諦めてしまう学生も多いだろう。教授や大学は規則に基づいた対応をする必要がある」と話す。
2022年度時点の文部科学省の調査で、大学院TAの雇用件数は約8万3500件。工学など理系分野が多くなっている。
TAとは…
大学の学部生らに対する助言や実験での補助、試験の採点といった業務を担う大学院生を指す。業務に手当を支給することで、経済的な負担の大きい大学院生の処遇改善を一つの目的としている。