“中国人客6割減”の影響が大きい百貨店業界。苦しむ「髙島屋」を横目に、「パルコ」が好調を維持できる理由
高島屋が直面するインバウンドの罠
髙島屋は2025年3-11月が1.3%の減収、2.2%の営業減益でした。前年同期間は10%を超える増収であり、営業利益も8%伸びていました。反動に見舞われています。 髙島屋は国内の顧客の店頭売上が3%増えました。しかし、インバウンドは19%も減少しています。中国人観光客に限ると22%の減少。2025年10月は国慶節の押し上げ効果が働いたにも関わらず、2割以上も減ったのです。今後も日中関係の冷え込みが続くことになれば、更なる落ち込みが視野に入ります。 2026年2月24日、髙島屋は特別損失の計上により、130億円としていた純利益を105億円の純損失に一転する業績の下方修正を発表しました。これは2028年に満期を迎えるユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の買い入れと消却を行うため。 髙島屋の株価は新株予約権付社債の転換価額を上回って推移しており、株価に潜在的な希薄化が生じていると判断。買い入れと消却を行うことで、株主還元をしようというものでした。つまり、この損失は一時的なものであり、髙島屋の株価対策でもあるため、一概にネガティブなものであるとは言えません。 都合が悪いのはむしろ、中国人観光客の急速な減少によってインバウンド売上が剥落していること。世間では、中国人観光客減少を他国の観光客がカバーするという楽観論が浸透しています。しかし、1人あたりの消費額が大きい観光客の穴を埋めるのは簡単ではありません。
三越の二枚看板「世界アプリ」と「海外外商」
三越伊勢丹ホールディングスは2025年4-12月が2.7%の減収、3.1%の営業減益でした。売上、営業利益ともに、わずかに前年を下回っているのは髙島屋とよく似ています。 同期間のインバウンド売上はおよそ2割減少。今年1-3月の中国・香港の観光客の売上は前年の7割程度と予想しています。 三越は海外顧客の安定化を図るため、世界アプリと海外外商の両輪による取り組みに力を入れています。海外顧客向けアプリは会員数が70万を突破。クーポンなどを配布することによって消費意欲を高めた結果、客単価はアプリ開始前と比べて9%増加しました。 海外外商は2025年4月に正式な部署として稼働を開始。海外外商顧客総取扱高は前年比で44%も増加しています。 百貨店のインバウンドは、どうしても待ちの営業スタイルになりがち。しかし、顧客基盤を整備してのリーチや、海外外商を設けることでサポート体制を厚くすることができます。三越の取り組みは、観光客減少が懸念される中で注目すべき取り組みだと言えるでしょう。