渡邊渚さんが綴る「相次ぐ性被害事件」について訴えたいこと 「被害に遭うまでの自分は、その日死んでしまう」「加害者を許すことを強制しないで」
必要なのは、加害を許さない社会をつくること
性犯罪者の社会復帰についても、時々議論が巻き起こる。「示談金を払って罪は償った」「加害者にも人生がある」という声も上がるが、被害者や被害者家族は、一生、元の生活には戻れないことを理解してほしいと思う。その人たちが歩むはずだった人生は二度と返ってこない。 被害者の破壊された人生を無視し、加害者が何事もなかったかのように元の生活に戻り、社会に許容されるはずがない。殺人犯や強盗犯が大きな罰を受けることには違和感を抱かないのに、性が入ってくるとたちまち緩くなる。性犯罪も、被害者の心を殺し人生を奪ったことに変わりはない。 許すことを崇高なものと位置づけず、被害者や社会に対して、許すことを強制しないでほしい。 私はこれまで、内閣府の調査やデータをもとに、盗撮や痴漢についてのエッセイも書いてきた。すると、「日本は外国に比べれば安全」「痴漢なんかで済んでありがたいと思え」なんて言葉を投げかけられる。 そういった発言をする人たちに、私は「そんな社会で本当にいいのですか?」と伺いたい。あなたの大切な友人、パートナー、娘、息子、孫が、同じように性犯罪の被害に遭い、自分の生きたい人生を歩めなくなっても、同じことが言えるのだろうか。 下を見て、我々はまだマシだ、なんて思わなければならない国に、未来はない。うっかり性犯罪を犯したり、たまたま痴漢をしてしまったり、仕方なく盗撮してしまったりすることなんて、あり得ない。 性犯罪は、加害者の数分の衝動が被害者の何十年という人生を破壊する。それでもなお、被害者を疑い、責め、沈黙させる行為は、加害者を守る社会を醸成する片棒を担ぐことだ。 性犯罪を減らすために必要なのは、被害者に「気をつけろ」「お前が悪い」と言うことではない。加害を許さない社会をつくることだ。 【プロフィール】渡邊渚(わたなべ・なぎさ)/1997年生まれ、新潟県出身。2020年に慶大卒業後、フジテレビ入社。『めざましテレビ』『もしもツアーズ』など人気番組を担当するも、2023年に体調不良で休業。2024年8月末で同局を退社した。今後はフリーで活動していく。2025年1月29日に初のフォトエッセイ『透明を満たす』を発売。同年6月には写真集『水平線』(集英社刊)も発売。渡邊渚アナの連載エッセイ「ひたむきに咲く」は「NEWSポストセブン」より好評配信中。
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