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楽しいことだけやりなさい。

岐阜在住の女性T様から「ぶつかり稽古頼もーーーう!!」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。坂爪さん、おはようございます🌞noteには毎回パンチを喰らうのですが、今朝の記事には泣きそうです。わたしも人に会うのが怖くて、小学生で隠遁願望があったくらいです。自分から「会いたいです!!!」とコールするのは、10年ぶりどころではないかもしれません。今日の記事に登場された方の気持ちは、坂爪さんに連絡を躊躇しているわたしそのものです。わたくし、12日に誕生日を迎えます。この先は、できれば風狂野良ババアとして生きてゆきたく存じます。その野良ババア化計画。坂爪さんに直に会って、喝を入れていただけたら、とご連絡いたしました。

T様は死ぬほど緊張していた。だが、昼ご飯を食べましょうとなったら「熱海の地魚が食べたい」「金目鯛食べたい」「刺身の盛り合わせ定食も捨てがたい」と、ノリノリになった。T様は「坂爪さんに会いたいと連絡してから混乱が止まらず、会ったら何を話そうと考えても一向に考えはまとまらず、連絡なんてしなければよかったと後悔した」と言った。私は「そんなこと言われても」と思った。俺って死神なのかなと思った。死神にしては人気がある。みんな、死神に会いたいのだ。

T様は言った。自由に生きたいと思うのだが、体の中に粘土みたいなものがあって、振り払いたいのに振り払えない。どうすればいいと思いますかと聞きたかったが、話しながら「振り払えないのではなく、振り払わないのだ」と思った。なぜ振り払わないのか。楽だからだ。実際に振り払うのではなく、振り払いたいと言っているだけでいいからだ。ふがいない。坂爪さんの貴重な時間を、ふがいない自分に使わせてしまって申し訳ない。私は「そんなこと言われても」と思った。言葉が人生を作る。ふがいないと言うよりも、ふがいなさを自覚した上で「それでも俺は食らいつく!!俺は絶対に風狂野良ババアになる!!」と思って挑んだ方が、なんと言うか、有言実行感がある。

T様は「それです!!それがやりたいのです!!私は食らいつきたいのです!!」と言った。食事を終えて、珈琲を飲もうとなり、何店か喫茶店を巡ったが何処も満席で困った。私が「今はどんな気持ちですか」と聞いたら、T様は「凪です」と言った。私は「このタイミングで凪れるなら、T様の本性はのんびり呑気なおっとり屋さんで、食らいつく必要なんてないのだと思う」と言った。それを聞いたT様は、風船が爆発したみたいに爆笑をして「そうかもしれません!!」と言った。人類全体が何かに食らいつきながら生きる必要はない。のんびり呑気なおっとり屋さんも必要だ。

坂爪禅師(俺)から喝を受け終わり、自由を獲得したT様は「最後に一つだけお願いしていいですか」と言った。私が「もちろん」と言うと、T様は「私の背中を思い切りぶっ叩いてください」と言った。私は「わかりました」と言って、容赦ない一撃をお見舞いした。T様は「うおおおおおおおおおお」と言いながら、そのままの勢いで海を目指して走り出した。遠くから「最高ダァ〜!!ありがとうございましタァ〜!!」と叫ぶT様の断絶魔が聞こえた。古いT様は死に絶え、新しいT様が産声をあげた瞬間である。考えない。感じる。計算をしない。今を生きる。楽しいことだけやりなさい。そうすれば、勝手に生まれ変わる。

それは野暮

私の尊敬する方に、力強く真っ直ぐ心に届く表現をする文筆家の先生がいます。昔、その大先生に「是非お会いしたい」と連絡をして会ってもらったことがあります。私としては、一生の間に幾度もないくらいの思い切った行動でした。先生の綴る文章は、科学的な根拠は何もないのに生命的であるとしか思えず、「科学を表現する」という自分の仕事の方向性に行き詰まっていた私は、藁にもすがる思いで連絡をしたのです。

待ち合わせ場所である喫茶室に現れた先生は、今風の服装にも関わらず、野武士のような琵琶法師のような、無頼の空気を纏った男性でした。そして驚いたことに、まず私に一輪のガーベラを手渡してくれました。見ず知らずの私に花を準備してくれていたのです。

席につくなり私は、自分が科学を表現する仕事をしていることを伝え、客観的な科学を踏まえた上で心に届く表現をすることの難しさを語り、先生の文章が素晴らしいと思ったこと、その表現の源がどこにあるのか教えて欲しいと頼みました。続いて先生に、「なぜこんなにも的確な生命的表現ができるのですか?」「先生が書いておられたあの言葉はどこから発想されたのですか?」「どんなことを勉強してきたのですか?」などと矢継ぎ早に質問をしました(今思えば礼儀を欠いた行為だったと反省します)。しかし先生はほとんど何も言いません。私が10回喋って1回だけ何かが返ってくるといった具合で、「うーむ…」と言って横を向いたり、下を向いたり、頭を掻いたり頭を抱えたりするばかりでした。

助言を引き出したくて焦った私は、ふと自分の手元にあるガーベラを見て「なぜ、プレゼントが花なのですか?」と尋ねました。すると「それは野暮だね」と即座に答えが返ってきたのです。「言葉にするなんて、野暮ではありませんか。花がきれいだと思ったなら『きれい』でいいし、花をもらって嬉しかったなら『嬉しかった』でいいのですよ」

この発言に私は何とも言えない衝撃を受け、「ありがとうございました。では、帰ります!」と言って、一方的にその場を切り上げてしまったのです(これも非常に礼儀を欠いた行為でした)。先生の驚きが混じった苦笑いは忘れられません。

「言葉にするなんて野暮だ」という先生の発言は、私が期待していたものとは正反対の内容でした。やはり表現のコツは自分で掴めということなのだろうか、とさえ考えた帰り道、ふと先生の様子を思い出して気づいたのです。彼は初対面の私に向き合い、じっと話を聞き、かけるべき言葉をずっと一生懸命に考えてくれていたことに。「言葉はアナログではなくデジタルである」と、永田和宏館長はよく言います。人間は、言葉として浮かんでくることより遥かに多くのことを考え、言葉にできることより遥かに多くのことを感じているはずです。私がお会いした先生の元にはいつも多くの人が訪れるそうです。ただ話してみたいという人もいれば、家族との関係に悩む人、大切な人を失った人など、事情は誰一人として同じではありません。先生はその一人ひとりに花を差し出し、話を聞き、分かり合えた時は共に喜び、そうでない時は共に傷付いてきたのでしょう。

先生の才能だと思っていたものが優しさだと気づいた時、それをただ羨んで盗もうと考えていた自身の浅さと、自分に向けられていた優しさに気づけなかった後悔が重なって、道の真ん中で大泣きしました。表現は等身大の人間がするものであり、生身で感じ紡いだ言葉にこそ力があるのだと、リアルな先生に会って初めて気付いたのです。何かを言葉にしようとか、決まった形にしようとする前に、まず対象とする生きものや人、現象の全体に眼を向け、感じ、考え、ゆっくりと形にしていくこと。それ以来、私が肝に銘じるようになったことです。

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おおまかな予定

3月12日(木)東京都文京区界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

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坂爪圭吾 ばっちこい人類!!うおおおおおおおおお!!

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