高校の同級生が変わったペットを飼っていた。でっかいトカゲだ。
何という種類かは忘れたが、たしかイグアナだったと思う。 しっぽまで合わせると全長は人間くらいあった。
イグアナをペットに飼ってもなつくのか?と疑問だったが、その同級生いわく、家に帰るとお出迎えしてくれるし、自分のことも認識している。 自分の家のイグアナは賢くてとにかく可愛いと、溺愛していた。
しばらくして、そのイグアナが亡くなってしまった。 同級生は父と母の三人家族だったが、みんな号泣して悲しみに打ちひしがれたらしい。
悲しみの中、お墓を作って埋めてあげなきゃという話になったが、同級生は賃貸マンションに住んでいて、これほど大きなイグアナを埋める場所がない。 近くの山なら埋めてお墓を作れるだろうということになったらしい。
全長が大人と変わらないイグアナの遺体を裸で運ぶわけにもいかず、泣きながら毛布でくるんで車に運んだ。 昼間だと近所の人がびっくりするといけないので、深夜に決行することにした。
悲しみのあまり車内は無言だったらしいが、父親があることに気づきこう言った。
「…これ、死体遺棄しているように見えないか?」
母親と同級生もそれに気づく。
「…見えるね」
「というより、それ以外に見えないね」
家族に緊張が走った。
「…とにかく、勘違いされては厄介だ。警察には見つからないように気を付けよう」
「トランクの中にスコップも入っているしね」
「深夜に山に埋めようとしているのも怪しすぎるね」
家族三人はスピードに注意し、交通ルールを犯さないよう細心の注意を払った。 ドラマではここで検問に遭遇するのが定番だが、そうならないよう祈った。
山に着くと、三人は「早く埋めなければ」という意識で頭がいっぱいだった。
「とにかく早く埋めて、すぐ逃げるぞ!!グズグズするな!!」
「墓標はどうしよう!?」
「そんなもの建てたら埋めているのがばれるだろ!!」
「そ、そうか!?わかった!!」
ペットのイグアナを弔うための行為が、いつの間にか犯罪を犯した三人家族のそれに変わっていた。
父親と息子が手早くスコップで穴を掘り、毛布から出したイグアナを入れると一心不乱に土をかけた。
「どうだ!?ばれないか!?」
「暗いからよくわからないけど、多分だいじょうぶ!!」
「よし、早く車に乗り込め!!ばれないうちにずらかるぞ!!」
こうして、家族三人は無事にイグアナを穴に埋めることに成功した。
帰りの車中で父親はつぶやいたらしい。
「なんか、万が一、人間を埋めることになっても……やれそうだな」
車内に笑いが起こり、安堵感に包まれた。 イグアナが死んだことの哀しみが、多少まぎれたらしい