謝罪文

 

 私は2011年から15年間、自らが普段使っている携帯電話の番号を公開し「いのっちの電話」と名付け、死にたいと感じる人からの電話を受け続けてきました。ここ5、6年ほどは1日20人ほどの方が毎日かけてくるような状態でした。無償で行い、睡眠中や仕事中で電話に出られないときでも、着信が残っている電話番号に関してはかけ直してきました。

 2026年2月27日、その「いのっちの電話」において、Aさん(仮名、女性)から、私からの性的な発言で傷ついた、というX(旧Twitter)上での告発がありました。相手の方と電話をしたことを私は記憶しており、指摘された発言の内容も間違いありません。
 希死念慮に苦しんでいる状態の女性に向けて性的な話題を持ちかけてしまったことは、完全に間違った行為であり本当に申し訳ありません。このことを反省し、もう二度と同じようなことを繰り返さないようにするために「いのっちの電話」を辞めます。
「いのっちの電話」を辞めることに対してAさんに一切の責任はありません。
 Aさんには直接謝罪をしたいと思っていますが、二次被害を引き起こす可能性があるので、まずはこの謝罪文で伝えます。

「いのっちの電話」は電話だけのサービスであり、会うことはありませんし、名前も聞きません。掛け直すことはありますが、基本的に1回だけの電話のやり取りでした。しかし15年間やっていく中で、自殺する可能性があると心配になったため、3回、実際に電話をかけてきた方と会ったことはあります。しかしその時に性行為をしたことは一度もありません。

「いのっちの電話」は私としては純粋に人助けをしたいと思って始めました。私自身が同じように死にたいと定期的に感じていたからです。自らの性的欲求を満たすために「いのっちの電話」を利用したことは当然ながら一度もありません。
 
 しかし、今回のAさんと同じように「いのっちの電話」において、私からの性的な発言によって傷ついてしまった方々は他にもいらっしゃるだろうと私は考えています。その理由は、私自身の間違った思い込みがあったからです。
「いのっちの電話」で、相手の方が死にたいという極限状態の時に、性的な発言をすることで笑ったり、心が開いたりすることで、死にたいと思わなくなったという経験が何度かありました。その何度かの経験だけで、全ての極限状態に対応できるはずだと思い込んでしまいました。そのため、傷ついてしまった人は1人ではないだろうと私も認めます。その方々にも心から謝罪いたします。

 この問題が発生した当初、私は、これまで数万人の電話に出続けてきて、それで実際に命が助かったという報告もあったために「いのっちの電話」を辞める必要はないと考え、そのような対応もしてきました。何万件対応した中で、問題が発生したのが1件なら許されるのではないかと、驕った考えをしてしまったことも事実です。そして、それらは全て間違いだと自覚しました。Aさんに対してもこのような返答をしてしまい、そのことも申し訳なく思っています。すみませんでした。

 心理士やカウンセラーなどの技術を学ぶことなく、独自で始めたからこそ、このような間違いを犯してしまいました。
 死にたいと困っている人に対して、私がやってしまった行為は、簡単に許されることではなく、私は今後、知らない方に対する人助け自体、自分に禁じるつもりです。
 
 また私は双極性障害と診断されており、一般に、躁状態の時にこのように性的に奔放になるケースも言われたりしますが、私の場合、それには当てはまらないと考えています。なぜなら診察も受けていますが、最近では軽躁状態ですらないと診断されており、今回の問題は、私個人に全て責任があります。

 
                                  2026年3月5日  坂口恭平


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コメント

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イナカモン

南無阿弥陀仏この世界 南無阿弥陀仏この時代

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>「いのっちの電話」を辞める必要はないと考え、そのような対応もしてきました。 文章を読みましたが、いのっちの電話という悩み相談を受けることを止めるべきだと感じました。他に適任者がいます。

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今後は救われるはずの命が救えなくなるのかと思うと複雑な気持ちです。 自分に代わりができるかというと、できません。。 坂口恭平さんは誰をも救う不動明王のような人だと思います。 電話ができなくなっても、絵をはじめとする作品から癒される人が増えるようになることを祈っています。

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トモ

坂口さんの絵が大好きです。 いのっちの電話も、電話したことはありませんが、もしもの時はかけられると御守りのように思っていました。そしてそんな方はたくさんいらっしゃると思います。 たくさんの人が貴方の本や絵やその他の関わりに救われています。 いのっちの電話を辞められて、直接的にお話…

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謝罪文|坂口恭平
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