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Mother/Novel by きか

Mother

2,611 character(s)5 mins

ま、ママ~~~~~~~~!!!
鈍感エミヤはそのうち他の鯖に刺される。ぐだとエミヤ。キャスニキと子ギルと頼光ママが出る話。ぐだこなのかもしれな(雑)
表紙画像はこちらからお借りしました。ありがとうございます。illust/56430089

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「ママぁ」

ころりとこぼれた音の弾みに、狂気など一切感じさせない聖母のかんばせで源頼光は腕を広げる。

「ええ、ええ。母はここですよ」

広げられた腕に吸い込まれるように人類最後の希望、唯一のマスターは倒れ込む。
女性特有の甘い匂い。柔らかい胸の弾力。心地よい体温。圧倒的な強さがもたらす安心感もあって、カルデアの全英霊のマスターである藤丸立香は長い吐息で前身の酸素を吐き出し頼光の体に全身を預ける。

「ママ…」
「あらあらまぁまぁ!マスターは甘えん坊ですね。ですがそれも私の可愛い子。いい子ですね。よし、よし」

狂化故にマスターや所縁深い金時を我が子と呼ぶ頼光の微笑みはただただ美しい。そこに邪魔者さえいなければ、彼女の狂化ランクは理性的ともいえるだろう。
刃を握るには嫋やかな細指で、頼光は立香の髪を撫でる。よし、よしと甘やかな声で囁き我が子の愛おしさに彼女は心を震わせている。
鬼ヶ島での戦いを経て召喚に応じた源頼光。
まさしくバーサーカーと言わしめるその火力で、古参の英霊たちとすぐに肩を並べられるほどに運用される彼女にマスターは目に見えて甘える。
彼女もそれをよしとするし、喜んで泥のように甘やかすので性質が悪い。
一度忠告してやれば、「エミヤうるさい」と随分と不細工な顔でマイルームから追い出されたのは懐かしい話だ。
そう、懐かしいと思えるほど過去の出来事である。
特異点と、特異点に満たない揺らぎをいくつも修正し、カルデアは蛮勇英傑そろう最後の砦となった。
無論マスターを案じたり想ったりする英霊は少なくはない。頼光ひとりがマスターの甘えを享受するというのはバランスが悪いという話だ。
マスターに懸想するのが己を律する事の出来る純英霊ならまだしも、欲望に忠実な反英霊であればマスターの身とその際に起きる戦闘での被害は甚大になるだろう。
そんな人の心配もつゆ知らず、マスターは頼光の豊満な胸に顔を押し当て幼子の様にもごもごと喃語を上げ続けていた。

***

「素直に羨ましいっていえばいいじゃないですかねぇ」
「そう言ってやるなよ」

英雄ではなく子供の姿で召喚された幼いギルガメッシュと、長くマスターの導き手として共にあったドルイドのクー・フーリン。
複雑そうに、見方を変えれば忌々しそうに眉間に深い皺を刻む弓兵エミヤを見やりクククと笑う。

「日本人が禁欲的なのは美徳だろう?」
「その結果が世界の奴隷なんで笑えないんですけどね」

人よりも聖魔に近い二人の英霊。
神秘を内包する赤い瞳を細めて煙草を噛みしめ紫煙を揺らす。
生きていても死んでからも、不器用で仕方がない男だ。それが面白くて面白くてしょうがない。
王とドルイドの視線も気付かず、恋する乙女なんで可愛らしいものではなく、嫉妬に溺れる愚者の眼差しで立香と頼光を睨むように見つめるエミヤ。
それも、まぁ仕方がないと言えば仕方がないだろう。だって彼女が現れるまで、マスターである立香の弱さと嘆きを受け止めるのはこの男の役目だったのだから。

「ママって呼ばれると嫌がってたくせによ」
「ツンデレってやつですね!」

と聖杯による無駄知識を遺憾なく発揮する聡明な王は、無邪気に、しかして蛇を思わせる冷たい笑みを浮かべて哀れな男を嘲笑った。

「いつまでも知らないフリをしているからですよ」


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